萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山歩雑談:気軽な遭難事故

2020-11-09 20:20:23 | 解説:用語知識
山は本性が見える?


山歩雑談:気軽な遭難事故

かなーり以前、検索した偶然に閲覧したブログ記事があって、
奥多摩で遭難事故したヒトの記録だったんですけど、

×初登山
×単独行

おいおいワザと事故りにいったんだろオマエ?すぎる条件に呆れました、笑
こういうNGハイカー多いんですよね、

・標高2,000メートル未満
・東京都心からのアクセス簡単

っていう条件の山域で多く出没します、
具体的に言うなら・たとえば、

〇奥多摩:中央線&青梅線で新宿直結
〇大菩薩~奥秩父:中央線&青梅線で新宿直結
〇丹沢:小田急線で新宿直結

今、ソーシャルディスタンスで遊ぶ=アウトドア!ってイキナリサンが多いエリアです。
そして山は知識×経験なしでは死に直結します、低山でも高山でも変わりません。

設問1.足の痙攣、嘔吐、意識混濁、原因は何が考えられる?対処は?
設問2.遠雷が聞こえた時の天候予測、判断と行動は?
設問3.秋の山、時間ごとの特徴は?
設問4.空気に湿度と冷気を感じた時の天候予測、行動判断は?
設問5.秋の山、アイゼンは要or不要?その理由は?

なんてコトを“自力”で回答解決=「自助」できないなら遭難の可能性は高いです。
それは低山でも高山でも同じです、どれも「山」ですから。

特に今シーズンは感染病防止のため、山岳救助隊の駐在なし&山小屋の使用制限もあり。
通常通りの救助体制がとれない状態です。
まして登山者同士での救助など感染症の恐れからオイソレできるもんじゃありません。

ようするに今シーズン、
遭難しても救助なんて無理ムリしないよ?ってコトです。

っていうか「遭難しても大丈夫」って考えは通常時でもアウト・そんなヤツは登る前から遭難してますから。笑
そーゆーやつが初心者に多いから、しょーもない遭難事故がなかなか減りません。
そーゆーやつが救助隊員や救助協力者を巻きこんで、死なせます。

きちんと準備=知識×装備×経験者の意見×慎重な判断に登って、それで遭難したら仕方ない。
がんばったけど避けられなかった危険について助け合うのは「相互扶助」そーゆーのは誰でもある。

だからこそ努力ゼロの他人任せタイプが遭難しても助けません、関わるとしてもホントの最低限まで。
そーゆー他人任せ=相手に責任をなすりつけるタイプは他人を際限なく巻きこむ→自分も遭難させられる危険が高いからです。

実際に数年前、
低山で道迷い遭難したオバサンが、救助してくれた警察の山岳救助隊員にトンデモナイ非常識をして問題になりました。
四国の某山ではサンダル履きのコンビニ軽装男が遭難→警察の救助隊員を殉職させ、その死に対する不遜が批難されました。
どちらも準備不足&自己責任皆無、無責任な準備不足が原因の遭難+責任感も無いから反省も感謝も、弔意すらありません。

だから、装備も無いクセ登って疲労困憊なヒトを見たら「引き返したほうがいいですよ?」と声かけるだけです。
手当もしないし何も助けません、その手のヒトは「あんたのせいで」なんて責任転嫁しかねませんから。
実際、遭難救助者に対する裁判の事例もあったからナオサラです。

そーゆーヒトが子どもを巻きこんでる場合、自分は子どもの手当だけはします。
でも連れて下山はしません、親の保護責任に任せるだけです。

山では自分のことは全部自分でするのがアタリマエの世界です。
山にコンビニなんかありません、電波の届かないことも珍しくない、人間社会の便利も甘えもアタリマエに通用しません。
誰に責任転嫁しようとしても「自助」すべて自分です。

だからこそ、自助の範疇を超えた相互扶助はありません。
助けてもらえなくてアタリマエ、自分に出来る範囲のところで楽しむのが山のルール・ルールから外れたら死ぬだけです。
ことに今シーズン・救助隊などプロも慎重な状況下では、慎重になりすぎるくらいの装備×判断が求められるのではないかなと。
【撮影地:標高2,600メートル付近@山梨県2016.11】


そんなわけで山は「初心者は経験者と登る」がアタリマエなんですけど。
その経験者もいつも一緒の相手ならイイですけど・感染症防止もあるからマッタク他人と一緒するのは難しい面もあるかと。
言ってしまえば・未経験者や初心者が山を始めるには、今シーズンは止めたほうが良いんじゃないかなー思います。
もし感染とかなったらモメますし、感染を恐れて指導ちゃんと出来ないとまた責任問題になりますしね?

そんなこんなで未経験者や初心者がイキナリ単独やろうとするって多いかもしれないんですけど、
山は知識×経験なしでは死に直結します、低山でも高山でも変わりません。

高山では遭難しやすい、っていうのは無知でもなんとなーくわかるかもしれません、
低山でも遭難ってなんで?って思うひとは多いだろなーと。

「低山=生活の山」ってヒントでいくつの危険性を考えられますか?

生活の山=道が多い

道迷いしやすい
ナゼかっていうと「あ?この道でいいかなー」なんてナントナク進んだら作業道=迷います。
そんなわけで転落死あるある「あ、あっち行ったら近道じゃない?」で無理やり進んで崖から転落なんて多いです。

生活の山=水がある

滝や渓谷が多く転滑落が危険
俗に「水の流れを沿って行けば山を下れる」なんて言いますけど・アレほんとは危険です。
水の流れ=水は地面を削りとる=断崖や滝に繋がる、って地形も多いのがリアル山です。
そこを知識も技術も無いクセ無理に降りようとするから・ホント簡単に転落死します。

また人間にとって生活の山は、野生獣にとっても生活の場だったりします。
野生獣に遭遇したらドウなるか?対処どうしたらイイか?

「あ、子熊だ!」

って時・わーわー写真撮りまくるナンテしてたら死にますよ?笑
野生獣の子ども=親が近くにいる=子連れの獣は危険・っていうのは山の常識です。
親なら子どもを死にもの狂いで守ろうとするでしょう?熊に限らず・どの動物も同じです。

ソンナカンジでやっちゃったら死ぬよ?が多いのも山なんですけど、
どんなNGあるの?っていうと、

○単独行
○地図なし
○登山計画なし
○道迷いの対処も知らない←迷ったら「元来た道を戻る=登り返す」大原則を知らない。
○装備不足&レベル不足←各自装備・安全確保は自己責任、最低でも「山の三品」必須。

上の5つは警察・消防・民間どの山岳救助隊でもNGに挙げています。
これ5つ全部当てはまって遭難したら、そりゃー救助隊員に怒られてアタリマエ。
山の常識ワキマエナイ危険と恥をキッチリここで覚えないと次は死ぬ、だから鬼のように叱ってくれます。

上の5つ揃ったトンデモ遭難者は遭難時の対応まったく出来ません。
本人が対応できない分だけ=救助する側が無理を強いられます、そのために救助隊員が重傷・殉職した例は少なくありません。
それでもトンデモ遭難者は「救助隊員が死んだけど登山自体は楽しかった」なんて言っちゃったりします、
それくらい無謀遭難者は「自分が悪かった」自己責任が皆無、コレって犯罪者とよく似た心理だなあと。

なぜダメなのか反省しない=学習能力が無い→反省しないから欠点克服も出来ない。
そして同じように遭難して、次は死んでしまった例はいくつもあります。
1968年の西穂高遭難事故とかホントソレ。

で、なんで上5つダメなのか?っていうと、
長くなったから興味ある方は過去記事「秋山遭難」でも参考に、笑

誰もが自由に山を歩いてイイ、というために「自助」自己責任が山のルールです。
自己責任無き者は来るなという不文律、それは人間が曲げようとしても変えられない「山」自然界の掟みたいなもんだなと。
きちんと謙虚に学んで、教わって、ホントの意味で山を楽しんで歩けたらいいなあって思います。


撮影地:谷川岳の標高1,500付近より@群馬県

載せた写真どれも11月の山です、
もう雪が降るんですよ?標高2,000メートルなくても、笑
谷川岳も豪雪で知られていますが標高2,000未満の山、丹沢も2,000未満×麓から雪が見えなくても・森の底は雪あったりします。
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