萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

登山撮影:花の行方と黙秘事情

2018-05-24 23:53:16 | 解説:用語知識
花、愛でるなら。
山の写真常識


登山撮影:花の行方と黙秘事情

春、山は花時間が始まります。
ソンナ山歩きはちょっと進むごとカメラ立ちどまり、が楽しいんですけど・
有名な花名所ではたまーに・というかワリと高頻度で危険なヒトを見かけます。

どんな危険かというと例えば・断崖の花。
石楠花シャクナゲ


山では斜面に花が咲いているナンてよくあるコト。

斜面=足場が悪い=滑落注意。

なんですけど、
ソンナところで三脚つかえば→三脚の加重で足場崩れてカメラごと転落するし、
ファインダーばかり気を取られて踏みだせば→崖から転落滑落するワケです。

撮影時は足場要確認→落ち葉の下が崖・残雪だと踏み抜き転落や転落。
三脚は使わない→枝・根っこにひっかけ転倒転落もよくある話。
三つ葉躑躅ミツバツツジ


撮影時に枝を折ったりするヒトもあるそうですけど・ソンナことするヤツって山神に祟られますよ?笑

ホント冗談ではなくある話・昔から。
ソンナ一例あげるなら例えば、

「石楠花は山姫の花簪」

山姫は山の女神を呼ぶ古い言葉ですが、
山母ヤマハハ、山姥ヤマンバ・ヤマウバ、山嬶ヤマカカ、山女ヤマオンナ、
などなど・さまざまな呼び名で全国いたる山に彼女たちを伝える物語があります。

どれもが女性の姿をした山を司り守る存在、ようするに山の主のことなんですけど、
山の女主が春、髪を飾るために咲かせる花簪が石楠花シャクナゲなんだとか。

ある娘ないし男が山を通り、
美しい石楠花に見惚れて欲しくなり、摘みとり、
そうして帰る道すがら、後ろから声が追いかけてくる。

「花を返せ」

その声を無視して逃げ続け、
けれど山から出ること叶わずに行方不明になる。

っていう伝承なんですけども、
この「行方不明になる」っていうのは昔も今もようするに遭難事故ってコトです。
石楠花シャクナゲは崖・急斜面・高地の岩場などに群生することが多いんですけど、
崖も斜面も岩場もよーするに転落滑落しやすい遭難ポイントなんですよね。

危険なところに咲く花=摘もうとすれば転落死の危険

危険だから「山姫の花簪に触れてはならない」と伝承されているわけです。
こんなふうに昔話伝説といったモンは物理的事情×危険回避の知恵から生まれています。

ソンナワケでここに掲載している石楠花も撮影地は急斜面地帯です、
ヤタラ踏みこんだら危ない場所・なので「某所」としか書けません、笑
石楠花シャクナゲ


落葉樹の森の底、落ち葉の底から花は咲きます。
もし・落葉の下なにあるか?気づかず踏めば花芽は折られ枯死するわけです。

早春なら三角草ミスミソウから始まって、
碇草イカリソウ、二輪草ニリンソウ、片栗カタクリ、菫スミレいろいろ、
晩春ゆっくり上がる気温に山吹草ヤマブキソウ、海老根蘭エビネラン、春蘭シュンラン、

書き切れない多種多様な花が落ち葉の下で生きています、
それらの植生きちんと理解して・見分け方~踏まない注意と知識技術ちゃんとして、
花の命きちんと尊重することが・山野の花を撮り続ける時間を保ってゆく方法だってコトです。

そんなふう咲く夏の花、銀竜草ギンリョウソウが好きで毎年いつも撮りに行くんですけど、
ヤタラ踏みこまれて花芽を踏みつぶされたら群落が消えてしまうので「某所」としか書けません、笑
銀竜草ギンリョウソウ


それから・山カメラで直接的カナリ危険なコトは、

野生獣との遭遇。

カメラの撮影時って息をツイひそめて静かになるもんです。
注意力もレンズ集中して、周囲への注意は散漫になりがち。

呼吸薄くなる=においが薄まる→野生獣に存在を気づかせられない
静かになる=音がしない→野生獣に存在を気づかせられない

野生獣の危険は「出会いがしら」存在を予期せず出遭うと驚き、襲いかかります。
ソンナ野生獣たちは山が棲家です・姿が見えなくてもフツーに山で棲んでいます。

自分の存在をきちんと知らせて歩く=熊鈴・ラジオ・笛
野生獣の気配がしたら静かに立ち去る=臭い・糞・爪痕など痕跡を見つける知識技術

ここに載せている写真の撮影地でも野生獣の痕跡に出遭います。
今回の写真のときは南斜面からの風に肉食獣特有の臭いがしました、笑
ソンナ山道のかたわら、樹皮ぐるり剥がれて食べられていた木もあったり・ってワケで「某所」としか書けません。
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撮影地:石楠花群生地@山梨県某所2018.5

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