萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

白玉簾、吐竜の滝

2020-08-26 11:15:00 | 写真:山岳点景
飛沫つらなる銀色、透かす緑あざやぐ夏の涼 
山岳点景:吐竜の滝2017.7


真昼の猛暑日アンマリだから写真で暑気払い×残暑お見舞いを、笑
滝や渓流は涼しくて楽しいですが、転滑落etc危険だらけなので要注意。
渓流の水遊びや沢登りは事故も多い×道迷い遭難の死亡原因スポットも沢沿いです。
【撮影地:山梨県八ヶ岳山麓2017.7】

夏休み×緊急事態宣言出てないとは言っても×県境越えての外出自粛で近場の里山散歩・のち午後はおうち時間なココントコ週末、笑
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霧氷の森、冬の朝

2020-08-25 23:29:18 | 写真:山岳点景
白銀の森、凍れる青い朝に 
山岳点景:霧氷@霧ヶ峰2019.4


猛暑日ツヅキに・厳冬期の写真で残暑お見舞いを、笑
霧氷は氷点下で樹木などに着氷する白~半透明の氷層の総称・樹氷も霧氷の一種です。
冬山は厳寒に冴える凛々しさが好きです、トハイエ低体温症・短い日照時間・転滑落etc危険だらけなので要注意、笑
【撮影地:長野県霧ヶ峰2019.4】

夏休み×緊急事態宣言出てないとは言っても×県境越えての外出自粛で近場の里山散歩・のち午後はおうち時間なココントコ週末、笑
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第86話 建巳 act.5 another,side story「陽はまた昇る」

2020-08-25 21:24:00 | 陽はまた昇るanother,side story
Le tram traȋnait ses mélodies 
kenshi―周太24歳3月末


第86話 建巳 act.5 another,side story「陽はまた昇る」

僕が今から行くところは、道だろうか、線路だろうか?
けれど目的地の今日はそこだから。

「…ひさしぶり、」

声そっと微笑んで、見あげる窓は聳え立つ。
ここに来るのは今日で最後、想いに穏やかな声が言った。

「なるほど、湯原さんも大胆ですね?」
「加田さんも、大胆だと思いますか?」

訊き返した隣、細い瞳やわらかに笑ってくれる。
今日で二度め、まだそれしか知らない青年が周太を見た。

「ここに来ると知ったら、周りに止められるのではありませんか?」

冷静な言葉、そのくせ穏やかな朗らかな視線が訊いてくる。
精悍なくせ優しい笑顔にジャケットの藍色が深い、白いシャツ端正に映える。
冷静だけれど明るくて穏やかな誠実、このひとが今日、自分の元に来た理由わかるようで微笑んだ。

「加田さんが今日いらしたのは、大叔母は今日のこと気づいたからですか?」

あの大叔母なら気づくかもしれない。

―長野にも駆けつけた人だもの、ね…お父さんのことあるからなおさら、

大叔母は後悔している、今も。
14年前に従甥を亡くした過去を悔やみ怒り、哀しんでいる。

『十四年前こうするべきだったわ!あなたを引っ叩けてたら喪わないですんだのに、あなたも私も大事なものをっ!』

長野の山麓、夜の雪ふる駐車場で叫んだ瞳。
あのとき傍にいた黒いコート姿は、今はジャケット姿やわらかに微笑んだ。

「大事なひとは大事にしたいと、誰もが願うのではありませんか?」

それでも行くのか?
こんな問いかけ当り前な入口、周太は青年を見あげた。

「だから僕は今日ここに来たんです。今日のために僕は、警察官になったんです、」

今日のため、唯それだけが理由だった。
唯ひとつ知りたいと願っていた、だから警察官になって今日ここにいる。

「今日のため、湯原さんは警察官になったんですか?」

静かな声が尋ねてくれる。
この場所に今、こうして隣に立つ人に周太は微笑んだ。

「はい、警察官であることを自分で終わりにするために、警察官になりました、」
「ご自分で、終わりにするために?」

明るい静かな視線が訊いてくれる。
否定はしない、ただ受けとめてくれる声に笑いかけた。

「自分の意志で辞めることが僕には大切なんです。父もしたかったことだから、僕は叶えます、」

この想い、大叔母も解っているのかもしれない。

「お父さまも、したかったことなのですか?」
「はい、」

肯いて見あげる先、職場だった窓が遠く高い。
あの場所もっと遠くへ自分は行く、願う隣からテノール静かに言った。

「湯原さんの退職は体調不良が理由です、退職手続きもご本人は来られないはずですよ?」

言われて、記憶そっと敲かれる。

『湯原の退職は体調不良を表向きの理由にする、だから退職手続も本人は来られない、』
『あのひとのサシガネだよ、もう二度と警察とは関わらせたくないそうだ、緊急措置も辞さないとな?』

たった数日前、上司でパートナーだった男が告げた現実。
すべては自分を守るため、そう納得しても譲れないまま問いかけた。

「加田さんが伊達さんと話したんですね?大叔母の指図でしょうか、」

自分を守ろうとしてくれる、その想いは温かい。
けれど自分で立ちたい願いの隣、明るい静かな瞳が微笑んだ。

「今日のためだから、黒いスーツで今日ここに来たんですか?」

黒いスーツ、白シャツに紺色のネクタイを締めてきた。
それを指摘してきた視線は穏やかに朗らかで、そのくせ冷静な瞳に告げた。

「はい、だから行ってきます…僕は自分で知りたいんです、」

誰に肩代わりもしてほしくない、父のこと。
だから14年ずっと追いかけて、願い続けた歳月に静かな眼が笑った。

「私もご一緒します、いいですね?」
「…え?」

どうして?
差しだされた提案の途惑いに、冷静な瞳が笑った。

「今回の事件、私の仕事に無関係ではありません。職権乱用ではないから心配しないでください、」

告げられる言葉に現実が覗きこむ。
そうして解かれる疑問に、声そっと低めた。

「…だから長野に来られたんですね?あの夜、あのタイミングで、」

ずっと疑問だった、なぜ、この青年と大叔母が現れたのか?
そして与えられたヒントに雪夜の声が響く。

『早く銃を引きなさい、ここにいる加田さんも起訴を保証してくれます』

数週間前あの夜、雪降る病院の駐車場、銃声と硝煙あわい鋭い香。
雪の駐車場で大叔母が呼んだ名前、その細い瞳ただ微笑んだ。

「公私混同でもありませんよ?」

微笑んで衿元、ネクタイさらり締めていく。
ジャケットのボタン2つとめて、髪かきあげると加田は笑った。

「さあ、行きましょうか?」

五秒前は物静かな青年、今はスーツ姿の検事。
こういう人だから今日ここに来たのだろうか?

(to be continued)
【引用詩文:Jean Cocteau「Cannes」】

第86話 建巳act.4← →第86話 建巳act.6

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水紗が舞う、吐竜の滝

2020-08-25 09:06:00 | 写真:山岳点景
迸る、轟く白紗かすんで水が舞う 
山岳点景:吐竜の滝2017.7


猛暑日アンマリだから写真で暑気払い×残暑お見舞いを、笑
滝や渓流は涼しくて楽しいですが、転滑落etc危険だらけなので要注意。
渓流の水遊びや沢登りは事故も多い×道迷い遭難の死亡原因スポットも沢沿いです。
【撮影地:山梨県八ヶ岳山麓2017.7】

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葉月二十四日、金盞花ー never despair

2020-08-24 23:47:01 | 創作短編:日花物語連作
炎天の涯に、 
8月24日誕生花キンセンカ


葉月二十四日、金盞花ー never despair

太陽、黄金に灼けて沈む。

海風が髪ふきあげる、頬なぶる潮が甘く濃い。
睫かすめる風吹きよせる涯、金色まばゆい朱夏が水映る。
辛い甘い風、瞳染める赤い熱い黄金、きらめく光の雲が海に凪ぐ。

「…きれいだ、」

吐息こぼれる声ただ、風光を讃える。
この風に光に放たれていく、この匂いに熱に逢いたかった。
逢いたくて、帰りたくて、そうして募らせた涯に幼馴染が笑った。

「きれーだろー?オマエのふるさとだぞー」
「うん、」

素直に肯いて、頬かすめる香あまく熱い。
踏みしめる砂まだ昼が名残る、熱くるむコンバースを透かす。
足裏やわらかに温かい、砂ふむ靴底、熱、からい甘い香、それから朱い黄金。

ずっと帰りたかった、ずっと。
その風が頬ふれて撫でて、懐かしい寂寥ごと今をくるむ。

金盞花:キンセンカ、花言葉「誠実、変わらぬ愛、初恋、忍ぶ恋」「失望・絶望、悲嘆、寂しさ、別れの悲しみ」

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驟雨に咲く、百合の白秋

2020-08-24 09:40:00 | 写真:山岳点景
雨が洗う、真白まばゆい稜線の秋 
山岳点景:百合ユリ2020.8


ひさしぶりの丹沢は自生の百合が盛り、真白な群落が雨に光っていました。
秋の気配ちょっと涼やかな写真・猛暑日続きの暑気払い×残暑見舞いになればイイなあと、笑
夏休みもお盆も明けて残暑厳しいけれど・近場でも山野は花も風も雨も、炎天に凛ときれいです。
【撮影地:神奈川県2020.8】

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休日雑談、初秋の山×湖底の村人

2020-08-24 00:33:09 | 雑談


ひさしぶり丹沢へ、
と言っても今は丹沢山地の麓に住んでいるから・
だから厳密には丹沢湖メインでドライブってことになるんだけど、笑

あーーひさしぶり登山したいなあー!

っていう・ふらすとれーしょん?みたいなの溜まってはいて、
とはいえ・県境またぐのはアレなワケだから、
だったら・上るなら丹沢山地になる、

んだけど夏の丹沢=ヤマビルまみれ→登りたくないなあ。

登るんなら降雪がっつりの後がいい、ヤマビル凍死するから。
登るならば塩水×緻密繊維でヤマビル防止すればいいんだけど、塩かゆい×蒸暑い。
そんなこんなでドライブまでだなーと丹沢湖までカナーリひさしぶりに行ってきた。

丹沢湖=三保ダムで出来た湖、
この湖底には三保村という静かな山村があったんだけど、
この村に代々住んでいた家の出身っていう高校時代からの友人がいる。

三保村がダムに沈み廃村となったのは、友人が生まれる前のこと。
それでも友人の祖父は、消えた故郷に因んで孫を名付たそうだ。
それくらい美しい村だったのだと。

その村の出身という自負が友人にはある。
その想いから友人は僻地医療を知り、医学の世界に携わる道を選んだ。
そうして今、医療の現場で新型感染症と向き合い、命を見つめている。

もう半年以上、友人は実家に帰っていない。
同じ県内に住んでいるけれど、実家から車で2時間程度だけど、それでも帰らない。

「もし万が一、自分がウィルスを実家に持ち込んだら町の人たちにも申し訳ない」

そんなふうに友人は、電話で、手紙で、話してくれる。
そんな友人の実家は、代替地として同じ村から転居した人たちの町にある。

「もう湖底に沈んだ故郷だけど、自分は生まれる前の村だけど、ふるさとを守る人になりたい」

そんなふうに言って、友人は医療の道を選んだ。
その言葉のままに今、ふるさとを守るため実家に帰らないでいる。

「ほんっとさー、転職しちゃおーか思ったりもするよ?やっぱコワイよ、家族にも会えないし、」

そんなふうに友人は話してくれる、
今は会えない、そう言って電話や手紙で話してくれる。

「でも自分はこれしか出来ないなあってさ、これ以外なにをしたいかー言ってもナンもないんだよね?」

恐い、会えない孤独、
それでも、これしか出来ないと言えることは潔い。
そういう潔癖なまで真直ぐな友人が「こわい」と弱音を吐いてくれたことは、ホッとする。

弱音を吐けるなら、その吐き場所が休み場所にできるなら、人はなんとか踏ん張れる。
そういう吐き場所にしてもらえるなら、友人としてありがたいなあって思う。
自分に吐いて、それで生きてくれるなら、いつか会える日が来る。

弱音を吐いてもらう=再会の約束かもしれない、

そんな想いにホッとする、
そんな再開の約束があるのなら、生きてまた会えるから。
だから返しの言葉は・今年は梅酒を漬けてみたよ、呑みに来いな?だ。

そんな友人のふるさとは今、野生の百合が咲き乱れている。
白い花ゆらゆら湖の風ゆれて、山の雨きらめく雫に輝いていた。

あー、あいつ今日も白衣で走ってるんだろうなあ?

なんて山の花にツイ思い出して、
ひさしぶり一緒に呑みたいなあ、なんて思いながら歩く道、
カエデが赤く染まりだしていた、で、

あー、あいつ酔うと赤くなっちゃうよなあ?

なんて懐かしい×可笑しくて、
何だろう?この何とも言えない想いは。


白百合と紅葉、空と水の青、山の緑、
それだけかもしれないけれど、静かな初秋の風光は穏やかで惹かれます。
たんなる人間関係からの感傷みたいなモンかもしれなけいけど、ソレでもイイは良いです、笑
【撮影地:神奈川県2020.8】

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百合、白秋の花

2020-08-23 23:48:13 | 写真:山岳点景
露光る、花やさしい白秋の初め 
山岳点景:百合ユリ2020.8


ひさしぶりの丹沢は自生の百合が盛り、真白な群落が雨に光っていました。
秋の気配ちょっと涼やかな写真・猛暑日続きの暑気払い×残暑見舞いになればイイなあと、笑
夏休み明けて残暑厳しいけれど・近場でも山野は花も風も雨も、炎天にも凛ときれいです。
【撮影地:神奈川県2020.8】

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葉月紅葉、丹沢の初秋

2020-08-23 22:54:11 | 写真:山岳点景
秋初める、紅葉きらめく晩夏の雨 
山岳点景:楓カエデ2020.8


ひさしぶりの丹沢湖、紅葉が始まっていました。
秋の気配ちょっと涼やかなカンジに・暑気払い×残暑見舞いになればイイなあと、笑
夏休み明けて残暑厳しいけれど・近場でも山野は花も風も雨も、炎天にも凛ときれいです。
【撮影地:神奈川県2020.8】

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青の渓谷、鹿留渓谷

2020-08-23 10:25:00 | 写真:山岳点景
緑滴る、碧い清流きらめく森で、
山岳点景:鹿留渓谷2017.8


あんまり暑いから写真で暑気払い×残暑お見舞いを、笑
滝や渓流は涼しくて楽しいですが、転滑落etc危険だらけなので要注意。
渓流の水遊びや沢登りは事故も多い×道迷い遭難の死亡原因スポットも沢沿いです。
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