高齢者「親しい友人なし」3割 4カ国調査で日本が最大

2021年05月12日 11時11分31秒 | 社会・文化・政治・経済

5/12(水) 8:40配信

共同通信

親しい友人がいない60歳以上の人の割合

 日本、米国、ドイツ、スウェーデンの高齢者を対象に実施した内閣府の国際比較調査で、日本の高齢者は約3割が親しい友人がいないと回答し、4カ国の中で割合が最大だったことが12日、分かった。近所付き合いの希薄さも目立っており、高齢者の孤独防止対策が急務となっている。

 昨年12月~今年1月、4カ国の60歳以上に調査。約5千人が回答し、うち日本人は1367人。

 家族以外で相談や世話をしたり、されたりする親しい友人がいるかを尋ねたところ、日本は31.3%が「同性、異性のいずれもいない」を選んだ。他は米国14.2%、ドイツ13.5%、スウェーデン9.9%。


緊急事態、6都府県に拡大 我慢の生活いつまで

2021年05月12日 10時58分30秒 | 社会・文化・政治・経済

5/12(水) 8:20配信

共同通信

新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言は12日、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県で5月31日までの延長期間に入った。愛知、福岡両県も追加され対象は6都府県に拡大。多くの人が集まる施設やイベントを巡る休業要請の内容が、業界や地域によって割れる。感染者は拡大傾向が継続し、先行きが見通せない我慢の生活がさらに続きそうだ。

政府は宣言対象地域の大型商業施設などに対する休業要請を見直し、午後8時までの時短営業を求めている。大規模イベントは入場者を5千人か収容率50%の少ない方が上限だ。

知事判断での休業要請なども可能なため、東京都では映画館などが対象となった。


<社説>入管法改正案 人権への配慮を欠く

2021年05月12日 10時57分28秒 | 社会・文化・政治・経済

2021年2月23日 07時45分

 退去処分を拒む外国人の長期収容解消に向け、入管難民法改正案が閣議決定された。難民申請の回数を制限するなど、人権への配慮を欠いた法案だ。野党の対案も考慮した国会審議を望みたい。
 不法滞在が発覚した外国人の大半は自ら出国している。だが、退去処分を受けながらも送還を拒んでいる人びとが約三千人いる。一部は長期に収容されている。
 拒否者の多くは祖国で迫害される恐れがあったり、日本で家族と暮らす人びとだ。約三分の二は政府に難民認定を求めている。現行法では難民認定の申請をしている間は送還が停止される。
 改正案の最大の問題は、三回以上の申請に対しては原則として送還停止を認めないとした点だ。現状では却下後も繰り返し申請する人が多く、政府はこれを長期収容の原因と見なしているためだ。
 政府は申請回数に制限のある国は少なくないと説明するが、待ってほしい。日本の難民認定率は0・4%。制限があるドイツは25・9%、フランスは18・5%だ。日本の「難民鎖国」の現状が申請の繰り返しを招いてはいないか。
 認定率の低さについて、政府は欧米とは申請者の出身国が違うとも指摘する。そうだろうか。例えば、トルコ出身のクルド人は米国やカナダでは八割以上が認定されているが、日本は認めていない。このまま法改正されれば、他国の人権侵害に加担しかねない。
 改正案には退去強制の拒否に刑罰を設けたが、これも収容施設と刑務所の往復となりかねない。
 かねて国連が批判してきた司法判断抜きの収容や上限のない収容期間について、今回の改正案で触れられていないことも問題だ。
 一方、対象者に逃亡の恐れがない場合、支援者らが監理人として見守る監理措置制度が盛り込まれた。社会生活ができるというが、退去処分後は就労できず、健康保険や生活保護の資格もない。就労や逃亡には刑罰が設けられた。これでは社会生活は営めない。
 閣議決定に先立ち、野党は参院に対案を提出した。難民認定を担う独立機関の新設や収容に裁判官の許可状を必要とする点などが柱だ。改正案の国会審議では、対案も踏まえて議論すべきだ。
 不法滞在問題には歴史的な経緯がある。コロナ禍での技能実習生の困窮とも重なるが、外国人を安価な労働力と見なしてきた政策のツケだ。人権を優先し、透明性がある改正こそ必要ではないか。

名古屋入管でスリランカ人女性死亡 政府の法改正案に批判の声「改善でなく焼け太り」

2021年05月12日 10時55分11秒 | 事件・事故

2021年3月27日 10時06分 東京新聞

 名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性が6日に死亡した問題で、支援団体などが26日、東京都内で省庁からの公開ヒアリングを開いた。同様の死亡例が相次いでいるため、政府は今国会で入管法を改正する構えだが、支援者らは「入管が管理を強化できる内容で、改正の必要は全くない」と怒りの声を上げている。 (木原育子、望月衣塑子)
収用中に死くなったウィシュマさん、日本で英語の先生になるのが夢だったという。(フェイスブックより) 

 「(入管は)苦しむ彼女を見殺しにした。なぜ点滴一つも打たせなかったのか。根本的な考えを変えないと死亡事件が繰り返される」。ヒアリングで、外国人労働者や難民の支援団体「START(スタート)」(名古屋市)顧問の松井保憲さんが声を震わせた。
 女性はラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(33)。
支援者にはウィシュマさんと呼ばれていた。関係者によると、不法滞在で昨年8月20日から収容。今年1月上旬に食事が食べられなくなるなど体調が悪化し、同28日に吐血した。食道炎の症状が見られ、名古屋入管は外部の病院で内視鏡などの検査を受けさせたが、点滴などは行われなかった。
入管施設で死亡した女性が支援者に送った手紙。日本語や英語で体重が減ったことや食事が取れなくなっている状況を伝えている 

 ヒアリングで、出入国在留管理庁警備課の梅原義裕補佐官は「2月下旬に摂食しない旨の報告を受けたが、数日後再開したとの報告が(名古屋入管から)あった」と説明。松井さんは「実際と懸け離れた恣意的な報告だ。合致しない」と憤った。
 石橋通宏参院議員(立民)は、調査のために設置される第三者委員会に外部委員を入れる案について「4月上旬までに提出される報告のために、まだ人選を検討しているのか。(調査した)フリではないのか」と追及。会場から「お墨付きを与えるだけだ」という声が飛んだ。
 近年、他の入管でも収容者の死亡が相次いでいる。長崎県では2019年6月、長期収容に抗議しハンガーストライキ中だったナイジェリア人男性が餓死した。
スリランカ人女性の死亡などを巡って行われた出入国在留管理庁などへのヒアリング=26日、東京・永田町で 
スリランカ人女性の死亡などを巡って行われた出入国在留管理庁などへのヒアリング=26日、東京・永田町で
 今回の入管法改正案の特徴は、3回以上の難民認定の申請に対しては原則として送還停止を認めない点。現状では却下後も繰り返し申請する人が多く、政府がこれを長期収容の原因とみなしているためだ。だが、改正案は、送還を拒否すれば刑罰が科されるなど強制力が強い。これまでの仮放免制度の代替措置として、支援者らが監理人として見守る監理措置制度を創設することも盛り込んでいる。
 26日には日本外国特派員協会(東京)で記者会見もあり、法改正に詳しい指宿昭一弁護士が「入管が管理を強化できる制度だ。自らの誤った政策で死亡者を出しておきながら、改善ではなく、焼け太りを狙っている。絶対に成立させてはならない」と訴えた。
 支援者らは、ウィシュマさんが昨年8月、同居していたスリランカ人男性から暴行を受けて静岡県警に相談し、入管に収容された経緯も問題視。松井さんは「DV被害から逃れるために入管に入るのを希望した。シェルター施設のようなものだと思っていたようだ。帰国するつもりは全くなかったが、『本国に帰国する』と書かれた用紙にDVから逃れるためにサインをしてしまったと聞いた」と語る。
 DV防止法には「被害者の国籍、障害の有無を問わず人権を尊重し、安全確保と秘密の保持に配慮しなければならない」とある。NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の山岸素子事務局長は「DV相談をした際、警察署はまずシェルター施設で保護するなどの対応をすべきだったのでは。被害を訴えたら収容されるとなれば、被害者は声を上げづらくなる。問題なかったのか、調査すべきだ」と疑問を投げかける。

---------------------------------------------------
名古屋入管でスリランカ人女性死亡 遺族が来日し入管に訪問へ
2021年5月1日 22:03 名古屋テレビ

名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性が死亡した問題で、1日、女性の遺族が来日しましました。

 千葉県の成田空港に到着したのは、死亡したラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の妹のワヨミさん(28)とポールニマさん(26)です。

 代理人弁護士によりますと、遺族は滞在中に、ウィシュマさんの葬儀を行うほか、名古屋出入国在留管理局に訪問する予定だということです。

 ウィシュマさんは在留ビザが失効し、去年8月から収容されていました。

 収容中に繰り返し体調不良を訴え、3月6日に病院へ運ばれた後に死亡していて、法務省が経緯の調査を指示していますが、これまでに死因はわかっていません。

 


入管収容所に25年通った喫茶店主 外国人励まし続けた

2021年05月12日 10時46分33秒 | 社会・文化・政治・経済

荒ちひろ2021年4月7日 16時00分 朝日新聞

入管収容問題について語る「牛久入管収容所問題を考える会」代表の田中喜美子さん=2021年3月8日、茨城県つくば市、池田良撮影

 いつ出られるかも知れぬまま、何年も「収容所」で過ごす。そんな外国人に寄り添うべく、面会を続けてきた女性が茨城県にいる。田中喜美子さん(68)。法改正の国会審議が始まる長期収容の問題に、どう向き合ってきたのだろう。(荒ちひろ)

たなか・きみこ 1952年、茨城県生まれ。同県牛久市に入国者収容所が開所したのを機にできた市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」の代表を20年以上、務める。つくば市内で喫茶店を経営しながら、95年からほぼ毎週、収容されている外国人への面会に通い続け、市民向け報告会や入管側への処遇改善の申し入れなども行う。会は2010年に東京弁護士会人権賞を受賞。
 毎週水曜日、午前7時20分。田中さんは、茨城県つくば市の自宅から車で隣の牛久市へ向かう。目的地は出入国在留管理庁(入管)の入国者収容所「東日本入国管理センター」だ。

 様々な事情で在留資格を失った外国人が収容されている。いつ出られるかもわからない日々の中、たわいのない会話が「少しでも気晴らしになれば」とアクリル板越しの面会を続ける。気づいたら、25年を超えた。

 施設では「速やかに送還されるまで」として何年間も収容され、心身に不調をきたす人も多い。自殺や抗議のハンストが相次ぐ。記者はそうした入管の問題について取材する中で、当事者や支援する弁護士らから厚い信頼を寄せられる「牛久の田中さん」の存在を知った。

 本職は喫茶店主。


「安全な国だから」送り出した母 娘はなぜ入管で死亡

2021年05月12日 10時45分44秒 | 事件・事故

荒ちひろ2021年4月16日 17時44分 朝日新聞

亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの家族が、スリランカからオンラインで記者会見した。(左から)妹ワヨミさん、母スリヤラタさん、妹ポールニマさん=2021年4月16日、
 名古屋出入国在留管理局で3月、収容中のスリランカ国籍の30代女性が死亡した問題で、女性の母親ら遺族3人が16日、オンラインで記者会見を開いた。「どうして娘が亡くなったのか、警察などがきちんと調べ、明らかにしてほしい」と訴え、真相解明と情報開示を求めた。

 遺族らによると、亡くなったのはウィシュマ・サンダマリさん(当時33)。2017年に留学生として来日した。出入国在留管理庁によると19年1月に在留資格を失い、昨年8月から収容されていた。今年1月から体調不良を訴えていたが、3月6日に脈のない状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。

 会見した遺族は、コロンボ郊外に住む母スリヤラタさん(53)と妹のワヨミさん(28)、ポールニマさん(26)。

 3人によると、ウィシュマさんはスリランカの学校などで英語を教えていた。日本の子どもたちに英語を教えたいと、来日したという。

 スリヤラタさんは「娘が外国に行きたいというので、安全な国がいいと言った。日本は安全な国だからと送り出した。娘はとても優しく、教え子たちにも愛されていた。こんなことが起きて、とてもショックを受けています」と述べた。


収容中に死亡のスリランカ女性 医師の指摘、記載されず

2021年05月12日 10時43分12秒 | 事件・事故

三輪さち子、編集委員・北野隆一2021年4月29日 19時12分

 外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案の審議で、3月に収容中のスリランカ女性(当時33)が死亡した事案が焦点になっている。法務省出入国在留管理庁(入管庁)が経緯を調査した中間報告に、「仮放免」の必要性を指摘した医師の診断内容が記載されていなかった。野党は、入管庁が「隠蔽(いんぺい)」した可能性があるとみて真相解明を求めている。

拡大する写真・図版
名古屋出入国在留管理局で収容中に亡くなったスリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん=遺族提供

 「改正法案も、入管庁に多大な裁量を持たせることになる。入管庁に信頼が置けるかが非常に大事だ」

 28日の衆院法務委員会。立憲民主党の寺田学氏は、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題の真相解明は入管法審議の前提だと訴えた。

 問題は名古屋入管局で起きた。昨年8月に収容されたウィシュマさんは今年1月以降、嘔吐(おうと)や体のしびれが続き、トイレにも職員の介助が必要な状態になり、3月6日に死亡した。

 入管庁は法案審議が始まる直前の4月9日に中間報告を出したが、亡くなる2日前に診断した精神科の医師が「仮放免してあげれば良くなることが期待できる」と指摘した事実が盛り込まれていなかった。共産党の藤野保史氏は「仮放免にかかわる話が抜かれている。隠蔽ではないか」と批判する。

 入管庁は23日の衆院法務委で、「名誉とプライバシーの関係から記載しなかった」と説明したが、調査を指示した上川陽子法相は「今のような理由で控えるのは少し不十分な状況だ」と非を認めた。

 野党側は早期に最終報告を提出するよう求めたが、上川氏は「できるだけ早く」と語るにとどめた。

 真相解明はウィシュマさんの遺族も求めている。27日にオンラインで立憲の会合に参加した遺族は「(死亡の経緯が記された)文書には分刻みで容体の変化が記録されている。監視カメラで本人の様子を撮った映像があると思う。ぜひ見せてほしい」と訴えた。

名古屋入管で死亡したスリランカ人女性の母親や妹らが、日本の国会議員や弁護士らの質問に答えた=2021年4月27日午後6時50分、Zoom画面から

 これを受け、野党側は28日の審議で、遺族と議員に映像を開示するよう求めたが、上川氏は「保安上の観点から公開は適切ではない」と受け入れなかった。

 審議中の入管法改正案では、難民認定申請中は送還しないとする現行法を改め、同じ理由の申請は事実上2回までとするなど入管庁の権限を強化する内容が含まれている。

 野党側は今回の事案で入管庁への不信感を強めており、改正案の審議よりも真相究明を優先させるよう求めている。これに対し、与党は連休明けの5月7日にも採決したい意向で、野党側は強く抗議している。(三輪さち子、編集委員・北野隆一)


名古屋入管収容のスリランカ女性死亡 医師「適切な栄養補給されず」

2021年05月12日 10時39分26秒 | 事件・事故
深掘り 上東麻子 和田浩明 
 
毎日新聞 2021/5/11 18:28(最終更新 5/11 22:12) 
 
 名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月6日に死亡した問題で、毎日新聞は関係者から死亡直後と1月25日の2回分の血液データを入手し、その分析を医師に依頼した。
医師は、1月時点と比べて死亡直後の血液データの栄養状態が大幅に悪化していることから、「亡くなるまでの40日間に、適切な水分、栄養補給がされていなかったことを意味する」と指摘した。
出入国在留管理庁がまとめた中間報告書には、収容施設内の診療室に勤務する准看護師がウィシュマさんの「OS―1(経口補水液)の飲用量が多すぎるのではないか」と疑い、水分補給を制限するよう職員に指導したと記されていた。同庁は7月にも最終報告をまとめる方針だが、入管側の医療対応が適切だったかどうかが焦点になりそうだ。【和田浩明、上東麻子/デジタル報道センター】
 
 中間報告書などによると、ウィシュマさんは2021年1月中旬から嘔吐(おうと)や食欲不振、体重減少、体のしびれなどを訴え始めた。入管側は「容態観察」のため監視カメラ付きの単独室に移した。ウィシュマさんは健康上の理由で一時的に収容を解く仮放免や、外部病院での点滴などを求めたが入管側は認めなかった。
 
 3月6日午前8時12分ごろには、入管職員が血圧や脈拍を測ろうとしたところ「計測器がエラー表示となり測定できなかった」と報告書に記されている。午後2時7分ごろ、ウィシュマさんの脈拍がない状態であることを職員らが確認し、名古屋市の総合病院に緊急搬送した。午後3時25分、搬送先の病院で死亡が確認された。
 
 入管側が衆院法務委員会の議員に示した司法解剖結果には「甲状腺炎による甲状腺機能障害により全身状態が悪化し、既存の病変を有する腎などの臓器不全が加わり死亡したとするのが考えやすい」と記されている。
 
 しかし、緊急搬送された後、病院で受けた血液検査やCT検査の画像から、複数の医師が「集中治療室での高度医療が必要なレベルで、もっと早く病院で治療を受けさせるべきだった」「死亡前1カ月以内に採血などの検査が行われていなかったら医療的には疑問があります」などと指摘していた。
 
すでに「脱水気味だった」
 

外国人施設収容、長期化を解消へ 「私、動物じゃない」

2021年05月12日 10時35分14秒 | 社会・文化・政治・経済

伊藤和也 2020年11月7日 5時00分 朝日新聞

 強制退去処分を受けた外国人の施設収容が長期化している問題を解消するため、出入国在留管理庁が検討している出入国管理法改正案の概要がわかった。難民認定申請中は何度でも送還が停止される規定の適用を、2回程度に制限するなどして早期の送還を促す。一定の条件のもとでは施設外で生活できる「監理措置」(仮称)を導入し、収容の短期化を目指す。

 この問題をめぐっては、長期収容に抗議した男性がハンガーストライキの末に餓死し、各地にハンストが拡大。昨年10月に法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の専門部会が議論を始め、今年6月に提言をまとめた。これをもとに入管庁は、来年の通常国会への提出に向けて具体的な内容を詰めている。

 与党と調整中の改正案では、難民認定を申請すると送還が停止される規定を見直す。送還対象者の約6割が申請中といい、申請回数や理由を問わないこの規定が問題の一因と入管庁はみている。複数回の申請者については、過去の申請を不認定処分とした当時の判断に影響する事情の変化がなければ送還の停止を認めないという。

 さらに、送還の決定後速やかに出国すれば再入国の拒否期間を5年から1年に短縮。機内で暴れて送還を妨害するなどケースを限定して罰則も設ける。これらにより早期の退去を促す。

 一方、「監理人」(仮称)として認めた支援団体や弁護士、知人らの監督のもとで生活できる監理措置を創設。重大な前科がないなど逃亡の恐れが低いと判断した人が対象で、対象者の生活状況などの定期的な報告を監理人に義務づけ、逃亡に罰則も設ける。場合によっては収容を経ずに送還することも可能にし、強制退去処分とするかを決める審査段階から送還まで原則として収容が続く現行制度を抜本的に見直す。

 また、「補完的保護対象者」(仮称)を新設し、難民と同じ「定住者」の資格で在留を認める。難民認定には至らないものの、母国が紛争中で帰国できない人などを想定している。(伊藤和也)

 検討が進められている出入国管理法の改正案は、入管施設で長期間収容されている外国人の速やかな送還を目指している。ただ、外国人らの支援者は収容すること自体を「最後の手段であるべきだ」と指摘する。

コンゴ国籍の女性 迫害逃れ日本に「私、動物じゃない」
 「私、ずっと元気ない。悪いことしてないよ。私、人間だよ。動物じゃない」。泣きながら片言で訴える声がスマートフォンの向こうで響いた。東京・霞が関で5日に行われた記者会見。会場から東京出入国在留管理局(東京都)で収容中の女性(50)に、支援する弁護士が電話をつないだ。


「いま たべたいです」 死亡女性の手紙が語る入管の闇

2021年05月12日 10時31分27秒 | 事件・事故

鬼室黎2021年3月13日 15時00分 朝日新聞

衰弱して死亡したスリランカ人女性が名古屋出入国在留管理局の収容場から支援者に出した手紙やイラスト。日本語とローマ字が交ざり、「ほんとう に いま たべたい です」などと書かれている=2021年3月11日午後、名古屋市中区、鬼室黎撮影(画像の一部にモザイクをかけています)

 在留資格のない外国人を収容する名古屋出入国在留管理局で6日、スリランカ人の女性(33)が死亡した。遺品となった手紙には「ほんとう に いま たべたい です」と書き残されていた。

 面会していた支援団体STARTによると、女性は精神的ストレスや体調不良もあり食事も歩行もできないほど衰弱し、嘔吐(おうと)するため面会中もバケツを持っていたという。昨年12月に仮放免を求めた申請理由書の写しにはローマ字で「病院に行って点滴を打ちたいですが、入管は連れて行ってくれません」とある。

拡大する写真・図版
名古屋出入国在留管理局=名古屋市港区

 上川陽子法相は9日の会見で「庁内の診療室や外部の病院を受診していたとのことだが、死因を含め事実関係を調査中」と答えた。入管施設では毎年のように死亡者が出ている。真相究明が待たれる。(鬼室黎)

衰弱して死亡したスリランカ人女性が名古屋出入国在留管理局の収容場から支援者に出した手紙やイラスト。日本語とローマ字が交ざり、「ほんとう に いま たべたい です」などと書かれている=2021年3月11日、鬼室黎撮影(画像の一部にモザイクをかけています)

 

 


入管収容のスリランカ人女性死亡「面会のたび体調悪化」

2021年05月12日 10時29分23秒 | 事件・事故


大野晴香2021年4月8日 9時17分 朝日新聞

名古屋出入国在留管理局への要求について説明する支援団体のメンバーら=2021年4月7日午後0時8分、名古屋市港区

 名古屋出入国在留管理局で収容中のスリランカ人女性(当時33)が死亡する事案があり、支援団体が7日、名古屋入管に抗議し、真相究明を求めた。女性は在留資格がないとして昨年8月20日から収容されていたが、3月6日に死亡。団体は死因や治療の状況などを1週間以内に回答するよう求めている。

 入管によると、女性は脈のない状態で発見され、病院に救急搬送されたが約1時間後に死亡が確認された。死因は不明としている。食道炎の治療を受けており、死亡直前の3月上旬に外部の医療機関を受診していたという。

 昨年12月から女性と面会を続けてきた支援団体「START」の松井保憲さん(66)によると、女性は1月以降、食べても嘔吐(おうと)するようになり、面会の度に体調が悪化。「点滴を打ってほしい」と話していたという。2月の面会時は自力で歩行できず、車いすに乗り、頻繁に嘔吐するためバケツを持っていた。最後に面会した3月3日は「死んでしまいそうだった」という。

 STARTは死因や、点滴投与をしなかった理由を明らかにすることなどを求めている。

 松井さんは「この問題は各地の入管でも同じこと。収容施設の処遇が改善されないと同じようなことが繰り返される」と話した。

 上川陽子法相は先月9日、事実関係を調査すると表明。出入国在留管理庁は今月上旬に報告書をまとめるとしている。

 名古屋入管の担当者は取材に「適切に対処したと認識しているが、調査の報告を待ちたい」と話している。

 同庁によると、7日現在で全国17の入管施設に305人が収容されている。死亡事案は2011年以降の約10年間で10件という。(大野晴香)