旧統一教会系「勝共連合」が誇る“20代女性軍団”の正体 議員事務所を回って「お手伝いします」と潜入〈dot.〉

2022年07月27日 09時26分51秒 | 事件・事故

7/27(水) 7:00配信 AERA dot.

勝共連合は20代の容姿端麗な女性を国会議員の事務所に送り込んでいたという。

 安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親が多額の献金をしていたことで注目されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。その過程で、政治家と旧統一教会との関係にも耳目が集まっている。

【写真】父親が勝共連合で活動していたという「統一教会2世」の女性はこちら

 旧統一教会の創始者・文鮮明は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合(通称、勝共連合)」を設立した。その時は日本が共産主義陣営と激しく対立した冷戦時代だったこともあり、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。これを足がかりに、勝共連合は旧統一教会の“別動隊”として政界への関わりを深めていく。

 元自民党本部情報局国際部主事で、福田赳夫元首相秘書だった中原義正氏はこう話す。

「私が自民党の中野四郎元国土庁長官の事務所で秘書を務めていた1970年代初期、20代の若い女性が突然、『何か、お手伝いすることはありませんか』と言って、議員会館の事務所にやって来ました。目がくりっとした愛くるしい容姿の女性でしたね。女性は『勝共連合の者です。岸信介先生にご指導いただいています』と言っていた。しばらく、事務所でコピーをしたり、お茶を入れたりする仕事をしていたけど、給料も出さず、タダで働いていました」

 同事務所だけではなく、他の自民党議員の事務所にも、同様に20代と思しき勝共連合の女性が出入りしていたという。

「当時、安倍晋三氏の祖父・岸信介元首相の渋谷の自宅の隣に旧統一教会の本部がありました。統一教会にとっては、そこが日本の政界進出の足掛かりでした。岸元首相の系譜を受け継いだ清和会の国会議員の事務所を中心に、勝共連合の女性たちが入り込んでいきました。当時、私は清和会所属の国会議員秘書たちのまとめ役をしていたから、他の議員事務所からも、『うちの事務所にも来た』という話をよく聞きましたよ」

 国会議員の事務所に押しかけて無償で雑事を請け負う20代の容姿端麗な女性たち――この“20代女性軍団”の狙いは何だったのか。

「事務所で気に入られて、議員の弱みを握り、情報を教団に上げる目的もあったのではないか。しかし、私の知る限りでは、色恋沙汰でおかしくなった国会議員がいるとは聞いたことがない。うちの事務所の女性は2日に1回のペースで来ていたけど、押しかけて来た人を正規に秘書として雇ったりはしないから、女性は自然と来なくなった」

 政界ばかりではない。大学も“美女軍団”の標的になっているという。ジャーナリストの鈴木エイト氏はこう語る。

「東大の学生を旧統一教会に引き込むためにキャンパスに“美女”を送って、仕込んだという話は元信者から実際に聞きました。東大の旧統一教会系の学習サークルに容姿がきれいな女性信者を使って誘い、頭がよくて優秀な学生をスカウトする。そうやって優秀な人材を弁護士に育てたりして、教団の“頭脳”として囲い込む事例もありました」

 大臣経験のある自民党衆院議員(中曽根派)の元秘書はこう話す。

「うちの事務所には、いつの間にか『世界日報』が毎日届けられていました。事務所で購読していたわけではないのに、ずっと入っていた。ほかの議員の事務所にも『世界日報』が入っていましたよ。そして、選挙になると、頼んでもいないのに旧統一教会系の団体の見たこともない人たちが応援に来ていました。黙々と選挙の支援をしてくれていたが、誰に聞いても、どこから来たのかよくわからなかったんですよね」

 元東京タイムズ政治部長で、政治評論家の本澤二郎氏もこんなことがあったと明かす。

「岸信介元首相と親しい元大臣のところに知り合いの女性秘書がいたんですが、ある日、『今度、うちの事務所に入った運転手は勝共連合なのよ』と私にそっと耳打ちしてきたんです。その運転手は男性でした。統一教会は70年代にまず岸氏の周辺にいる議員から入り込もうとしていたのではないか。それから清和会に浸透し、じわじわと自民党全体に広がっていったのだと思います」

 勝共連合のスタッフが国会議員事務所にやすやすと入り込めた背景について、元自民党政調会調査役で政治評論家の田村重信氏はこう指摘する。

「政治家は、誰であろうが選挙で応援してくれる人はありがたいのです。昔は、ヤクザだって断らない議員もいたくらい。支援者が1人減って、その1票が相手陣営に入ったら、2票マイナスです。応援を断ったら敵を利するだけですし、組織票は必要だからみんな必死ですよ。それゆえ、どこの宗教団体だって全部ウエルカムになってしまう。票をもらわないと当選できない政治家の切迫感は想像以上なのです」

 前出の鈴木エイト氏によると、旧統一教会側もそうした政治家の心理をよくわかって行動しているという。

「旧統一教会系の団体は、政治家が地方議員の時から後援会組織に運動員を派遣しています。選挙のスタッフを数多く派遣して、マンパワーで議員を支えるんです。そうやって事務所に入り込み、議員の弱みまで握って、最終的には自分が選挙に出るというところまで構想を持っているのが旧統一教会なのです」

 80年代後半から90年代前半にかけては、霊感商法などが社会問題化した旧統一教会。だが、教団の名称変更やマスコミ報道が下火になったこともあり、世間からネガティブなイメージは次第に薄れていった。

「2006年に安倍晋三氏が旧統一教会の友好団体である天宙平和連合(UPF)の大会に祝電を打った時以降、政治家が旧統一教会の関連団体主催の集会に出席したり、祝電やメッセージを送ったりしても、メディアは報じなくなりました。それゆえ、政治家と教団の関係性はなかなか表面化せず、問題にもされなくなった。議員たちも問題化しないから、何回もくり返すようになりました」

 鈴木エイト氏は「旧統一教会と関わりを持った現職国会議員」と題した100人を超えるリストを作成し、メディアに提供した。国会議員が旧統一教会系の団体のイベントに参加したり、祝電やメッセージを送ったりした事例、旧統一教会系の新聞「世界日報」のインタビューを受けた政治家や献金を受けた国会議員をリストアップした(7月18日時点)。

 このうち9割は自民党議員だったが、野党議員も含まれていたことは世間に波紋を広げた。

 昨年9月、安倍氏は旧統一教会のイベント「神統―韓国のためのTHINK TANK2022 希望前進大会」にビデオメッセージを送り、「(文鮮明の後継である)韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します」と述べた。

「安倍氏はあの日に限って統一教会との関係を隠しませんでした。翌日以降はビデオは公開しないとの条件でしたが、あの映像が拡散しても自民党にも、自身の政治生命にも、何の影響もないと思っていたのでしょう。逆に旧統一教会や関連団体は、安倍氏に近い議員たちから堂々と祝電をもらったり、祝辞を受けたりすることで、問題のない団体であるというお墨付きを得た。メディアも政治家と旧統一教会の関係を問題視して報じる姿勢は一切ありませんでした。それが今回の銃撃事件を生んだとしたら、政治家もメディアも検証されなければいけないと思います」(同)

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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“旧統一教会と関わりがあった現職国会議員”は101人!総力取材で見えた「9割が自民党」の密すぎる関係

2022年07月27日 09時23分50秒 | 事件・事故

7/26(火) 6:01配信 SmartFLASH

「14年間信者で、これまで1800万円を献金してきたが、教団と縁を切りたい。返金交渉は可能でしょうか」

【画像あり】「旧統一教会」関係議員101人、全リスト

 安倍晋三元首相(享年67)が凶弾に倒れて以降、霊感商法対策弁護士連絡会には、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の信者から、冒頭のような相談が次々に寄せられているという。

「事件が起きてから、以前の10倍以上に相談が増え、電話はパンク状態です。『自分も母親が信者で家庭崩壊した』『2世信者が助け合えるような集まりを作ってほしい』という相談も多く寄せられています」(同連絡会・渡辺博弁護士)

 1980年代以降、霊感商法が社会問題になった統一教会。いまだ多くの信者を抱え活動できているのは、政治家との深いつながりがあるからではないかーー。

 ジャーナリストで「やや日刊カルト新聞社」主筆の鈴木エイト氏は、「旧統一教会と関わりを持った現職国会議員」リストを作成した。名前が挙がった国会議員は、延べ101人。リストをもとに本誌が各議員に事実関係を質問し4た。浮かび上がったのは、国会議員と旧統一教会との、“密すぎる関係”だった。

「旧統一教会系新聞社発行の新聞にうっかり名前を出しただけという議員はそれほど問題視していませんが、旧統一教会の関連団体とわかって講演したり、献金を受けている議員もなかにはいます。安倍氏がトップだった清和会の議員が特に多い」(前出・鈴木氏)

 旧統一教会と関係が深くなった議員のもとには、選挙時に運動員として働く信者や、事務所スタッフや秘書になる信者も送り込まれるという。

「報酬を受け取らないし、すごく真面目に働いてくれるので議員としては助かります。同様の人材供与はほかの宗教団体でもあるようですが、旧統一教会信者がいちばん熱心に手伝うといいます」(同前)

 なかでも自民党議員とのつながりは深い。今回のリストでも、じつに9割を自民党議員の名前が占めている。カルト問題を長く取材してきたジャーナリスト・藤倉善郎氏がこの関係の深さを解説する。

「旧統一教会は、伝統的な家族関係を重視し、LGBTの権利拡大などには反対する極右思想に立っています。関連団体の『勝共連合』がその実働部隊で、もともと反共思想という点で自民党と旧統一教会は関係が深い。旧統一教会は、自民党タカ派の運動の一角を担おうとしているのです。しかし、彼らが自民党に食い込む理由は、思想が近しいというだけではありません。

 教団は信者らに、『政治家を抱き込んで弱みを握れ』と指示しています。さらに信者を国会議員にして、結果的に日本を支配しようという“野望”を、旧統一教会は抱いているというのです。忘れてはいけないのは、旧統一教会はカルト教団だということ。ほかの宗教団体とは別格なんです」

 一方、自民党議員の側にも旧統一教会と関係を持ちたい理由があるという。宗教学者の島田裕巳氏は旧統一教会に絡む利権を指摘する。

「旧統一教会は、冷戦構造が崩れた後に北朝鮮とのパイプを持っており、国会議員にとっては非常に魅力的です。さらに、日本とは日韓トンネル事業を進めようとしており、すでに超党派の議員団も作っています。まさに新たな利権が生じていて、そこに自民の議員らは絡もうとしています。そもそも信者の数がそんなに多いわけではないので、議員にとって票田としての意味はあまりないのです」

 その一方で、国会議員との関係を断とうとする宗教団体は多いという。「各団体とも高齢化が進行し信者数が激減している」と語るのは雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏。

「創価学会が支援する公明党や、幸福の科学の幸福実現党は、今回の参院選で大幅に票数を減らしました。そこに今回の安倍元首相暗殺事件です。政治にかかわるメリットはもうないのではないかと考える宗教団体が増えています。統一教会も例外ではありません。これまでは積極的に政治に関わってきましたがいまや組織的退潮も著しい」

 前出の鈴木氏は今後、“宗教団体苦難の時代”になっても「旧統一教会に関与する議員は減らないだろう」とみる。

「リストに漏れた“疑惑の議員”も含めれば、前回調査の2017年当時より、“関係議員”の数は増える一方です。議員にとっての『メリット』を考えれば、旧統一教会との関係を断つのは難しいでしょう」

 かつては霊感商法、現在は2世3世問題と、問題山積の旧統一教会。政治と宗教のいびつな関係はかくも深い。

週刊FLASH 2022年8月9日号

 

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旧統一教会と関係ある「安倍派議員35人」のリストがコレだ! 自民党内でも圧倒的な人数

2022年07月27日 09時20分48秒 | 事件・事故

7/23(土) 18:02配信 日刊ゲンダイDIGITAL

統一教会と関わりある安倍派所属議員35人

 安倍元首相銃撃事件で再燃した「政治と宗教」への関心は高まる一方だ。〈#自民党って統一教会だったんだな〉がツイッターでトレンド入り。まさにその通りで、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の政界への浸透はすさまじい。とりわけ群を抜いているのが安倍派(清和会)だ。

【写真】安倍首相が他国の国葬で“居眠り”疑惑…画像拡散で世界の笑いものに(2015年)

 日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップ。その数は35人に上った。もっとも、あくまで判明分のみだ。

 党内最大派閥の安倍派は21日に総会を開催。総力支援を受けて参院選で初当選した生稲晃子議員ら新人・元職らの加入などで4人増え、21日時点の会員数を「97人」と発表した。となると、旧統一教会と関係のある議員はおよそ4割。ア然とするほかない人数だ。

 ほかにも慣例により、党や安倍派から離れている細田博之衆院議長(当選11回)も関連イベントに出席、講演を行った過去もある。安倍側近でありながら、出戻りが難航している高市早苗政調会長(当選9回)は、フロント団体「天宙平和連合」の行事に祝電を送っていた。安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送り、銃撃の要因のひとつとなったのも、この団体のイベントだった。

福田赳夫元首相も「偉大なる指導者、文鮮明」と絶賛
2021年の安倍派会合で熱心に話し込む山谷元国家公安委員長(左)/(C)日刊ゲンダイ

 なぜ、こうも問題教団と親密なのか。清和会の成り立ちもまた大きく影響している。

 安倍元首相が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相は、旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた教祖・文鮮明の早期釈放を求め、当時のレーガン大統領に「元首相」の立場で嘆願書を送るほど入れ込んでいた。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。

 一方、清和会のもうひとつの源流である福田赳夫元首相も熱が入っていた。教団が「希望の日」と称し、1974年に帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸氏、福田氏、安倍氏(父)など40人の自民党議員が出席。蔵相だった福田氏は登壇し、「偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして、本当に今日はいい日だな、いい晩だな」などとスピーチ。会場は何かと万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしていた。

「統一教会とつながりを持つ議員は自民党の中でも清和会が圧倒的です。岸元首相以来の流れが今なお引き継がれ、安倍元首相の再登板で強まったといえます」(鈴木エイト氏)

 自民党「文教族」の中核を成してきた清和会は、「カルト族」が実態か。

 

 

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相模原 障害者施設19人殺害事件6年 「誰もが生きやすい社会に」

2022年07月27日 09時09分38秒 | 事件・事故

2022年7月26日 NHK

相模原市の知的障害者施設で19人が殺害された事件から6年となる26日、現場に再建された施設で追悼式が行われました。
事件から6年となる中、19歳で犠牲となった美帆さんの母親は、亡くなった19人のため誰もが生きやすい社会に向け少しずつ発信を始めています。

事件の経緯は

2016年7月26日相模原市にある県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害された事件。

6年前の7月26日未明、入所していた人たちが次々と刃物で刺されて19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負いました。

事件の直後、施設の元職員の植松聖死刑囚(32)が近くの警察署に出頭して逮捕され、その後、起訴されました。

植松死刑囚は逮捕直後から、「障害者は不幸しか作らない」とか「意思疎通できない障害者は殺そうと思った」などと差別的な主張を繰り返しました。

2020年3月の判決で、横浜地方裁判所は、「施設での勤務経験から重度障害者は不幸であり、その家族や周囲も不幸にする不要な存在であると考えるようになった」と指摘しました。そのうえで、「19人もの命を奪った結果はほかの事例と比較できないほどはなはだしく重大だ」として死刑を言い渡しました。

弁護士が控訴しましたが本人が取り下げ、死刑が確定しましたが、ことし4月、本人が横浜地方裁判所に再審=裁判のやり直しを請求しています。

事件から6年 現場で追悼式

事件から6年となる26日、現場に再建された施設では追悼式が行われ、遺族など62人が参列しました。

神奈川県
黒岩知事

犯人が口にした「意思疎通が図れない人間は生きる意味がない」という考え方がいかに独善的で、間違ったものであるか証明するためにも、誰もがその人らしく暮らすことができる地域社会を、なんとしても実現しなくてはなりません。


「同性愛は精神障害」冊子にドン引き、人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪

2022年07月27日 09時03分05秒 | 社会・文化・政治・経済


窪田順生:ノンフィクションライター 2022.7.7 4:20

自民党の同性愛差別にドン引き

成長しない日本の象徴

自民党内で議員に向けて配布された冊子が炎上している。

「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配布された冊子「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ー家族と社会に関わる諸問題ー」の中にあった記述に対して、「吐き気がする」「差別意識が強い」などと批判が寄せられているのだ。その記述とはこうだ。

「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」
「同性愛の原因について、家庭環境、特に親子関係に問題がある」
「同性愛を擁護する教育をすれば同性愛者は増える」
「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」


 同性愛者を迫害して、強制収容所送りにしたナチス・ドイツを彷彿とさせる過激な主張の数々に、さすがにドン引きしたという自民党支持者も多いだろう。しかし筆者は驚きよりも「既視感」の方が強かった。

 実は今回、自民党議員たちが学んだ「同性愛」についての認識というのは、今から100年以上前の日本人が主張していたこととほぼ同じなのだ。

 あまり知られていないが、明治から大正にかけての日本はLGBTの人々が相次いで自殺や心中をして大きな社会問題になっていた。これを受けて、「読売新聞」(1915年8月12日)にある医学博士が「病的な愛」という記事を寄稿している。その一部を抜粋しよう。

<近頃の新聞記事を見るとまたしても「男同志の情死」とか「女同志の情死」とかと、同性間の恋愛問題が伝えられます。人は誰しも愛の感情を持つていますが、それが同性間に於て行はれるは確かにその人が病的な精神状態にある事は争はれません>
 先ほどの冊子の「同性愛は精神障害」という主張と丸かぶりである。裏を返せば、この国の「保守」と呼ばれる人々のLGBTへの認識というものは100年前から1ミリも変わっていない、という厳しい現実があるということだ。

2022年の「保守」と1915年の
日本人の主張は瓜二つ
 事実、共通点は他にもある。

 自民党内で配布された冊子では、同性愛は後天的な病であって、家庭環境が原因だと主張しており、次のように具体的な「同性愛者のつくられ方」を示している。

「同性愛者の母は、子供と密接な関わりを持つ親密な母や子供に対して過度に統制的で抑圧的な母が多く、同性愛者の父は子供との距離感があったり、敵対的、或いは子供に対して否定的な父が多い」

「これはさすがに偏見では」とあきれる人も多いだろうが、実はこれも100年前の日本では「常識」として語られていた。先ほどの医学博士も、幼い時に父親を亡くした女児は、母親との結びつきが強くなって同性愛へ走る傾向があるとして、こんな解説もしている。


<異性の居ない處(ところ)に里子にやられるとか三、四歳から同性者と共に寄宿せしめるような場合に其人は同性の愛の傾向を有するに至ります。又両親が欠けるか不幸な教育を受けた人々はヒステリーや神経質に陥る事は事実で、また是等ヒステリーや神経質のものには同性の愛情を有つている者も多いのです>
 さて、そこで気になるのは、なぜ2022年の「保守」と1915年の日本人の主張がこうも瓜二つになるのかということだろう。

 今回の炎上騒動で、さまざまな専門家が指摘しているように、「同性愛は精神障害」というのは現在、科学的に否定されている。WHO(世界保健機関)や米国精神医学会、日本精神神経学会なども同性愛を「治療」の対象から除外しているのだ。

 にもかかわらず、自民党議員の中には、そんな「科学の進歩」から頑なに目を背ける人たちがいる。

 なぜ100年前の日本人が主張していた「同性愛は精神障害」という古い話を延々と引っ張り続けているのかというと、それが「保守政党」というものだからだ。

日本の「保守」とは
明治期にできた価値観・ルールを守ること
 日本人の多くは「保守」と聞くと、日本古来の伝統を守ることだと思っているが、それは大きな誤解だ。この同性愛のケースを見てもわかるように、実際は「明治期にできた価値観やルール」を引っ張り続けることだ。

 よく言われることだが、明治以前の日本は、同性愛を病気扱いなどせず、社会の中で当たり前のように存在が認められていた。例えば、江戸時代には武士の間では「衆道」という男色行為が流行していて、井原西鶴も浮世絵草紙「男色大鏡」の中で、「男色ほど美なるもてあそびはなき」と言った。

 先ほどの冊子が正しいということことになれば、江戸時代の人々は精神障害だらけで、親子関係に問題を抱えていた人ばかりということになってしまう。


 このような形で、明治以前にあった文化を「無視」していることからもわかるように、「保守」と呼ばれる人たちがよく言う「日本古来」というのは、すべて明治時代がスタートになる。

 わかりやすいのは「夫婦同姓」だ。保守の人たちは夫婦が別の姓になってしまったら、日本の伝統的な家族が崩壊するというが、一般庶民が「姓」(苗字)を名乗るようになったのは、1875年に明治政府がルールをつくったからだ。さらに、結婚した夫婦が同姓になるという制度がつくられたのはもっと遅くて1898年で、たかだが120年ぽっちの新しい習慣なのだ。

 このことからもわかるように、実は「保守」と呼ばれる人々というのは、「日本古来の伝統を守っている」わけではなく、「明治にできた価値観・ルールを守っている」というのが現実なのだ。

 という話をすると、「近代化の礎を築いた偉大な先人たちの叡智を守って何が悪い!」と不愉快になられる「保守」の方たちも多いだろう。ただ、明治時代にできた価値観・ルールに執着し続けることは日本にとってかなり良くない。控え目に言って、「最悪」である。

 今、日本で起きているパワハラ、外国人労働者への差別的な待遇、児童虐待などの人権問題にとどまらず、いつまでも経っても賃金が上がらない「安いニッポン」という経済の問題もつきつめていけば、我々が100年前の価値観・ルールに執着し続けていることが大きいからだ。

多様性を訴えておきながら偏見まみれ
「死」に追い込んできた日本社会
 そのあたりの構造でわかりやすいのが、LGBTの自殺率の高さだ。

 先ほど明治から大正にかけての日本ではLGBTの自殺や心中が続発していたことを紹介したが、なぜ当時LGBTの人々は自ら命を絶ったのかというと、肩身が狭かったからだ。

 当時、西洋医学の知識が続々と入ってきたことで「性欲」について語られることが多くなり、「変態性欲」なんて言葉も生まれていた。そこで女学生同士が心中をするというような事件が続発したことで、世の中には「変態性欲に惑わされた若者たちをしっかりと矯正しなくてはいけない」というムードが高まった。前述の医学博士の記事もその一環だ。


 社会の中で、同性愛の男性たちは「異常性欲者」と吊し上げられた。例えば、1923年には旭川第七師団の軍曹が、部下たちに「鶏姦し情欲を遂げていた」(読売新聞1923年8月16日)として軍法会議にかけられている。また、同性愛の女性たちも家族から「真人間になりなさい」と続々と矯正された。強引に縁談を決められて、男性のもとに嫁がされたのである。

 こういう時代背景を考えれば、LGBTの人々の心中や自殺が増えていたのも納得だろう。

 実際、アメリカでは宗教的な理由から、同性愛を矯正する「コンバージョン・セラピー」(転向療法)というものが存在するが、これを受けることによって、受けていない人の2倍の率でうつになり、3倍の率で自殺するという説もある。

 明治から大正にかけての日本は、社会全体で「コンバージョン・セラピー」をおこなっていたようなものだ。だから、この時代のLGBTは心中や自殺をした。ある意味、「死ぬように追い込まれた」と言えなくもない。

 そして、この傾向は今も変わっていない。「これからは多様性が大事」「ひとり1人が自分らしく生きられる社会へ」なんてきれい事を言っている政権与党が裏では「同性愛者は精神障害」なんて冊子を配っている。このことからもわかるように、日本ではいまだに口に出さずとも、心の中でLGBTを「心を病んだ人」と捉えたり、「まったく理解できない人々」と蔑んでいる人が山ほどいるのだ。LGBTの人たちは日常的にそういう悪意にさらされる。だから当然、うつ病や自殺者も多い。 

 明治時代の価値観・ルールに執着し続ける社会によって、100年前と変わることなく未だに多くのLGBTの人々が、「死ぬように追い込まれている」という厳しい現実があるのだ。

古いルールが現代日本を苦しめる
遠い日本復活
 このほかにも日本を低迷させているさまざま問題の多くはルーツをたどっていくと、明治や大正にできあがった人権意識、慣習、社会制度につきあたる。

 例えば今、日本人を悩ませている「安いニッポン」もそうだ。ご存じのように、日本人の賃金は、先進国の中でもダントツに低く、平均給与ではついにお隣の韓国にも抜かれている。

 しかし、自民党は世界では常識となっている「最低賃金の引き上げ」にも腰が引けており、今回の参議院選挙でも「公約」から外した。『「年収200万円暮らし」炎上の裏で、最低賃金1000円の公約もみ消す自民党の二枚舌』の中で解説したが、これは中小企業経営者の業界団体からの選挙支援と引き換えに引っ込めたということと、この国がいまだに明治時代の「賃金」感覚を引きずっていることだ。


 2012年12月、公益財団法人「連合総合生活開発研究所」が、「日本の賃金ー歴史と展望」という調査報告書を公表した。その中では明治期に確立された日本人の「賃金」について、こんな特徴があると指摘している。

<職種や技量を社会的に評価する基準を持たず企業内での賃金決定を行ってきた。労働者の意識も「就職」というより「就社」であった>

 <賃金と仕事の能率・仕事の強度との関係が明確でなかった。つまり労働時間に対する標準作業量を明らかにして働くこと、1日、1週、1カ月の労働時間管理が、工場労働者に対してすらきちんとは行われず、戦前から長時間労働が常態化していた。その上、労働のあり方がホワイトカラー化したことによって、労働時間と仕事との関係がますます明確でなくなったために、正社員の長時間労働や過労死すら生まれている>
 世界では「賃金」の基準は明確だ。どれだけ働いたのかという対価であり、社会の中でも最低賃金という基準が決まっている。だから、物価上昇すると、経済を循環させるために、アメリカでもEUでも東南アジアでも韓国でも、政府が最低賃金を大幅に引き上げる。「賃金を上げたら倒産が増える」なんて根拠のない話で賃上げを見送らないのだ。

 しかし、日本では明治期に「賃金というものは企業内で決める」というルールが出来上がって今もそれを引きずっている。だから、年収200万に満たないワーキングプアが社会にあふれかえって、庶民がどんどん貧しくなっても、政府は「賃金は企業におまかせ」と無視してきた。明治時代につくられた価値観・ルールが「呪い」のように、2022年の日本人を苦しめているのだ。

 7月10日の参議院選挙で、自民党は圧勝すると言われている。そうなると、「同性愛は精神障害」と主張して、同性婚を反対する神道政治連盟と、「中小企業が潰れるから賃金はなるべく低く」と働きかける日本商工会議所は「功労者」としてさらに発言権が増す。

 ということは、これからも明治の価値観・ルールは健在ということだ。「日本復活」の道筋はまだ当分見えそうもない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

 


接種後死亡で初の被害認定 新型コロナワクチン 厚労省分科会

2022年07月27日 08時59分51秒 | 新聞を読もう

7/25(月) 23:11配信 時事通信

 厚生労働省の審査会は25日、新型コロナウイルスワクチン接種の健康被害に関する分科会を開き、接種後に死亡した91歳女性の死亡一時金請求を認めた。

 同ワクチン接種後の死亡例について、予防接種健康被害救済制度に基づき認定されたのは初となる。

 厚労省によると、女性は脳虚血発作や高血圧症などの基礎疾患があり、接種後に急性アレルギー反応と急性心筋梗塞を発症して死亡した。女性の遺族には予防接種法に基づき死亡一時金4420万円などが支払われる見通し。 

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国家公安委員長、旧統一教会との関係「事実」と認める/本誌既報どおり

2022年07月25日 22時48分14秒 | 事件・事故

7/26(火) 16:30配信 SmartFLASH

 7月26日、二之湯智国家公安委員長が、旧統一教会との関係を認めた。2018年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が主催したイベント「ピースロード」において、京都府実行委員会委員長を務めていたのは「事実」だと、閣議後の会見で明らかにした。

 二之湯氏は「政治家はいろいろなお付き合いがある。平和の祭典、運動を起こすので、ちょっと名前を貸してほしいというので貸した。それ以上の付き合いはない」とし、イベント当日には集まった人たちの前でスピーチしたことも認めた。

 政治家と旧統一教会との関係がクローズアップされるなか、よりによって警察組織を管理する立場にある国家公安委員長までも――。

 あまりに不適切な行為と言わざるをえないが、本誌では7月15日に、二之湯氏と旧統一教会との関係を報じている。

 2021年4月、国立京都国際会館で開催される予定だった『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』というイベントがある。実行委員長は旧統一教会の京都教区長で、「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」や教団系列組織「京都府平和大使協議会」などが共催しており、実質的に旧統一教会の主導イベントだ。

 そして、その『呼びかけ人』に名を連ねているのが二之湯氏だった。本誌は二之湯氏の事務所に、旧統一教会との関係について質問書を送ったが、返答はなかった。

「安倍晋三元首相の銃撃事件で批判を浴びている警察組織ですが、国家公安委員長が旧統一教会と親しい関係にあるとすれば、さらなる批判は避けられません。警察全体への不信にもつながりかねない。

 二之湯氏が国家公安委員長になったのは2021年10月で、これらのイベントはいずれも就任前です。岸田文雄首相は、任命責任を問われても仕方がないでしょう」(政治部記者)

 二之湯氏は、京都市議を経て、2004年の参院選で初当選し、3期務めた。今回の参院選には出馬せず、7月25日の議員任期満了をもって政界を引退した。

 だが、国家公安委員長については「やめろと言われない限り一生懸命取り組んでいきたい」と、民間人の立場で職務を続ける意向を示している。

 7月26日には、岸信夫防衛大臣も「旧統一教会の方と付き合いもあるし、選挙の際にも手伝ってもらっている」と関係を認めている。こんなことで国を守ることができるのだろうか――。

 

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幼児化するヒト - 「永遠のコドモ」進化論

2022年07月25日 22時48分14秒 | 社会・文化・政治・経済

 
 
 
 
久々の星5つです。

 進化について完全な答えを出す、というところまで人知が及ぶ事はおそらくない。

とはいうものの久々に開眼の感ありの本書。

しょせん進化論の一つにしか過ぎないとはいうモノの、その内容は

いかにそのほかの進化論が直線的に、こうあれかし、といったふうに

思考されていたかを認識させられる。

 本の内容についてはここで触れずとも紹介文を読んでもらうとして、

個人的な感想としては、同性愛についての見方がかなり変わりました。

(多分良い方に)

 いろいろな発見や、思考のヒントに富んだ本。一般に流布している進化説の中にもう少し

取りいれられたらいいのに!とにかく進化について考えたい人!必ず一読に値します。
 
 

「ヒトがネオテニー的な要素を数多く備えた生き物である」ということは最近では良く聞くようになった。本書にも紹介があるが、スティーブン・J・グールド著「パンダの親指」中にもネオテニーの記述があり、どちらかというとそちらのほうが有名ではある。
 しかしながら、それではなぜヒトは幼児的な要素を数多く残すに至ったか、ということについてわかりやすく述べられた本というのはこれまでなかったように思う。そういった意味で本書は「人の幼児化」について非常に興味深く、そして読みやすく書かれている。
 本書では、幼児化といった弱々しい要素が、進化淘汰的に有利だったから残ってきたのではなく、むしろヒトとして進化する上での「副産物」に過ぎないと主張する。二本足で歩くこと、体から体毛が失われ、皮膚も丈夫でなくなったこと、脳が大きく発達したこと、ヒトにおける高度な社会性を得るに至ったこと…こうした諸々の事象が、「幼児化」した状態で生れ落ち、生存していくことで獲得したものであるという主張は非常に面白いし、説得力もある。
 また「性差」「宗教」といった微妙な問題を強く扱っていることについては賛否両論あるだろうが、この手の分野は、最近おとなしくなり主張がしにくくなっていることをふまえれば、チャレンジングなものであると評価できると思う。
 ただ、他のレビュアーも種々指摘なさっているように、引用文献がはっきりしなかったり、筆者の恣意的な考察で話が進む(裏づけがエピソード的であったり、主張するものによって理論の汲み取り方を変えたり等)など、「(ポピュラー)サイエンス」の本としては、やや問題がある印象も受けたので、星4つとした。
 
 

~二足歩行は四足歩行に比べ速度が著しく遅くなるので、より自然淘汰されやすくなった。
ヒトの脳が大きくなってすぐの時期は複雑な思考はできなかった。
など、ダーウィンの進化論だけでは説明しきれないことについて、
「ヒトは幼児化することによって進化してきた」
と考えることでわかりやすく説明しています。
この論文が科学的に正しいかどうか~~、という検証はもっとしっかりなされるべきだとは思いますが、こうして一般向けの書籍として出版されている以上、「説得力があるかどうか」が「科学的な正しさ」よりも重視されてしまうのは致し方ありません。
読み物としては十分に楽しめますし、考え方もある程度参考になるかと思います。
ふだんから「常識」とか「当たり前」に疑問を感じる人にはおス~~スメです!~
 
 

人間の進化(幼児化?)に関する一つの仮説が、
ふんだんな事実を元にトピックを継ぎ合せる形で
展開されていきます。アカデミックな視点からだけでなく、
読者を楽しませてくれるような展開なので、専門家でなく
ても十分に楽しませてくれます。
(結構読み応えもありかと思います。)
 タブーや新しい仮説と言うものは、なかなか
学校では教わった記憶が無いように思います。
しかし、さまざまな"診かた"を学んで、自分なりの
考えを変化させていくのはやっぱり楽しい。
 性に対する偏見を無くすためにも、そして、
国家による家畜化に反対するためにも、色んな
ヒントを与えてくれる本だと思います。
 
 

「ヒトがネオテニー的な要素を数多く備えた生き物である」ということは最近では良く聞くようになった。本書にも紹介があるが、スティーブン・J・グールド著「パンダの親指」中にもネオテニーの記述があり、どちらかというとそちらのほうが有名ではある。
 しかしながら、それではなぜヒトは幼児的な要素を数多く残すに至ったか、ということについてわかりやすく述べられた本というのはこれまでなかったように思う。そういった意味で本書は「人の幼児化」について非常に興味深く、そして読みやすく書かれている。
 本書では、幼児化といった弱々しい要素が、進化淘汰的に有利だったから残ってきたのではなく、むしろヒトとして進化する上での「副産物」に過ぎないと主張する。二本足で歩くこと、体から体毛が失われ、皮膚も丈夫でなくなったこと、脳が大きく発達したこと、ヒトにおける高度な社会性を得るに至ったこと…こうした諸々の事象が、「幼児化」した状態で生れ落ち、生存していくことで獲得したものであるという主張は非常に面白いし、説得力もある。
 また「性差」「宗教」といった微妙な問題を強く扱っていることについては賛否両論あるだろうが、この手の分野は、最近おとなしくなり主張がしにくくなっていることをふまえれば、チャレンジングなものであると評価できると思う。
 ただ、他のレビュアーも種々指摘なさっているように、引用文献がはっきりしなかったり、筆者の恣意的な考察で話が進む(裏づけがエピソード的であったり、主張するものによって理論の汲み取り方を変えたり等)など、「(ポピュラー)サイエンス」の本としては、やや問題がある印象も受けたので、星4つとした。
 
 

~二足歩行は四足歩行に比べ速度が著しく遅くなるので、より自然淘汰されやすくなった。
ヒトの脳が大きくなってすぐの時期は複雑な思考はできなかった。
など、ダーウィンの進化論だけでは説明しきれないことについて、
「ヒトは幼児化することによって進化してきた」
と考えることでわかりやすく説明しています。
この論文が科学的に正しいかどうか~~、という検証はもっとしっかりなされるべきだとは思いますが、こうして一般向けの書籍として出版されている以上、「説得力があるかどうか」が「科学的な正しさ」よりも重視されてしまうのは致し方ありません。
読み物としては十分に楽しめますし、考え方もある程度参考になるかと思います。
ふだんから「常識」とか「当たり前」に疑問を感じる人にはおス~~スメです!~
 
 

人間の進化(幼児化?)に関する一つの仮説が、
ふんだんな事実を元にトピックを継ぎ合せる形で
展開されていきます。アカデミックな視点からだけでなく、
読者を楽しませてくれるような展開なので、専門家でなく
ても十分に楽しませてくれます。
(結構読み応えもありかと思います。)
 タブーや新しい仮説と言うものは、なかなか
学校では教わった記憶が無いように思います。
しかし、さまざまな"診かた"を学んで、自分なりの
考えを変化させていくのはやっぱり楽しい。
 性に対する偏見を無くすためにも、そして、
国家による家畜化に反対するためにも、色んな
ヒントを与えてくれる本だと思います。
 
 

ところどころを飛ばし読みで読んでいます。

 なんとなく、著者の口ぶりが「横柄な」感じがしています。

 自説を補強する学説や意見を述べる学者に対しては「世界有数の**学者である」とかいう形容詞が出てきます。

 自説に説得力をたせる方法の一つですが、そういう方法をとる方の説得力はいかほどのものでしょうか・・・・・・

 もう少し客観性のある証拠やデータを期待したいところです。

 

増田さんの『日本のアニメは世界を救う!』の中で、紹介されていた本と記憶しています。

アマゾンで中古本で手に入りましたので、読んでみようかと思います。

一部、読み始めていますが、参考文献も載っていて、参考になりそうな本です。

進化論も様々な「系統」があり、進化論自体「進化」していると思われるほど、様々な新説が現れるようです。

読者としては、自分なりに「腑に落ちる」学説なり説明を、探していきたいものです。

星印は、未定です。

空いている部屋に書き込んでいます。

死ぬのは“復讐”した後で―いじめられっ子への起業のススメ

2022年07月25日 22時27分45秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

重松/豊
1978年生まれ。有限会社ブルハ代表取締役。2000年、22歳の時に10万円を資金に個人事業、重松運転代行サービスを開業。中小運送会社を相手にドライバー派遣で道を切り開く。
2003年、25歳で有限会社ブルハを設立。代表取締役に就任し、軽貨物運送事業を開始。2005年、会社の資本金を600万円に増資し、さいたま市西区に新営業所を設立。2007年、運行管理責任者の資格を取得。2008年、一般貨物運送事業を開始。同時に利用運送事業の認可を取得してトラック業界に参戦(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
 
 
過去に友人を自殺で失いました。
その友人がどんな気持ちだったか知るため購入。

本書は、子供の頃にいじめられた経験のある著者が、今では社会的も経済的にも成功するまでの考え方やどう行動したかを記した本です。

誰しも疎外感や劣等感を持ち、時には死にたくなったりその場から逃げ出したくなったりすることもあるかと思いますが、そのつらい気持ちや憎い気持ちが間違った方向に向かうと、他人を傷つけたり世間を騒がせるような事件を起こしたり、自分自身を追い込んで自ら死を選択したりすることになるのでしょう。著者はそのマイナスのをバネに変え、生きる希望を見出して自分で解決することのできる具体的な方法を実体験に基づき記しています。

かつて自ら死を選んだ友人に、こんな風に生きる方法があるのだということを伝えたいとおもいましたが、残念ながら伝えることはできません。学校や社会でいじめられている人以外にも、会社でつらい思いをしていたり、人間関係で悩んでいる人にもぜひ手にとってもらいたい一冊です。本に書いてあるように、著者と同じことをするだけで、生きる希望が湧いてきて自分自身と向き合うことができるようになるはずです。
 
本の帯の歌詞に、興味があり購入しました。
私もブルーハーツがとても大好きで、最近仕事に追われて
聴いていなかったと思い、押し入れからCDを出してきて聴きました。
大人になって、自分を出すということは
とても大変なことで、勇気がいることです。
忘れていた、自分らしさや勇気を
もらったような気持ちになりました。
私も、二人の娘が居ますが、自殺など
考えたくありませんが、最近のニュースを見ると
現実問題学校でのことはわかりません。
娘のためにそっと家の本棚に置いておこう
と思っています。
忘れてた子供の頃の気持ちを
思い出させてくれてありがとう。

とても良い本でした。

「復讐」という言葉に惹かれて購入しました。
とても良い本でした。
復讐とはどういうことなのか、どういう復讐の方法があるのか。
著者の体験を通して、「成功するという復讐」「幸せになるという復讐」を教えてくれる本です。
この本はきっと、悩んでいる子供たちの希望になると思います。
 

「自伝+起業+成功」にまつわる本という印象。いじめにもあった著者が起業をして成功するまでの内容が丁寧に書かれています。

この本でいう”復讐”とは夢をかなえる、自分が描いた憧れの自分自身をかなえることで、今まで自分を傷つけてきた人たちをあっと驚かせることです。

著者の
「夢をかなえてほしい」
「自殺がなくなってほしい」
「多くのいじめで悩んでいる人に希望を持ってほしい」
という願いがビシビシ伝わってきました。これだけ著者の熱い思いが伝わる本はなかなかないと思います。

今はいじめが社会的な問題になっています。いじめている人は遊びの一つぐらいで楽しんでいるのかもしれません。正直何を考えているのかもわかりませんし、理解する気にもなりません。理解する必要もないでしょう。

しかし、いじめられている人は自殺を考えてしまうほど悩んでいるのだということをこの本を通して理解してほしいなと思います。

そして、今まさにいじめで思い悩んでいる人は、早くこの本を読んでください。生きる力を手に入れることができて、自分の夢に正直に生きることができるようになると思います。この本にあるように”復讐”を果たす人が一人でも増えることを祈るばかりです。
 

本の題名に興味があり、購入しました。
死ぬのは”復讐”した後で、ビジネス書にあるのにこの本はどんな事が書いてあるのだろうと。
読んでく中で、復讐でデスノートがすごく面白くやってみようと思いました。
今まで馬鹿にしてきたやつ、いじめてきたやつに自分が大きくなり復讐をするという発想。
自分も復讐しながら大きくなりたいと思いました。
 
 
起業のススメと書いてあったので、起業する気の無い私は購入を迷いました。

しかし購入して正解でした。
そういう復讐の仕方があったのかと目から鱗でした。

会社で数人からいじめられ、辞めようか悩んでいた私ですが『デスノート』や『夢ノート』を書いて、もう一度頑張ってみようと思えました。
その人達の悔しがる人生を歩む!!この本を読んで少しだけ強くなれた気がします。

いじめられると相手に対して憎むパワーが凄く大きいので、そのパワーを著者みたいに方向転換できたら幸せな人生が待っているかもしれません。

いじめにあっている子ども達全員に読ませてあげたい一冊です。
自殺する子どもが減ると思います。
将来自分に子どもが産まれたら読ませてあげたいです。
 

高校でいじめられていて、インターネットで見つけて買いました。
イジメにあったことがある人だから、気持ちが伝わってきてとても感動しました。
僕も、夢ノートを書こうと決めました。
大人は、いつも嘘ばかりつくけど、この本は僕に嘘をつきませんでした。
ありがとうございました。
 
 
 

「安倍派が飛び抜けて多かった」旧統一教会と政治家“持ちつ持たれつの関係”その実態とは【報道特集】

2022年07月25日 20時53分14秒 | 事件・事故

7/25(月) 21:01配信 TBS NEWS DIG Powered by JNN

安倍元総理の銃撃事件を機に、旧統一教会=世界平和統一家庭連合と政治家との関係が注目されている。はたして、議員たちへの“選挙支援”はどこまであったのか。

【写真を見る】「安倍派が飛び抜けて多かった」旧統一教会と政治家“持ちつ持たれつの関係”その実態とは【報道特集】

■「安倍派が飛び抜けて多かった」現職国会議員と教団との関わり
安倍元総理の銃撃事件から2週間以上が経過した。山上徹也容疑者は、旧統一教会に恨みを募らせ、「安倍元総理とつながりがあると思い犯行に及んだ」などと供述しているという。

弁護団とともに世界平和統一家庭連合を調査しているジャーナリストの鈴木エイト氏は、教団と関係を持つ政治家は自民党を中心に多数いると話す。

鈴木エイト氏
「国際勝共連合のホームページなんですが、安倍晋三さんが表紙になっているケースが非常に多くて」

旧統一教会と関連する政治団体の機関紙は、これまでに少なくとも6回、安倍元総理が表紙を飾っていた。そして2021年9月、安倍元総理は教団の関連団体のイベントにビデオメッセージを送った。

安倍元総理
「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します。UPF(天宙平和連合)の平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価します」

鈴木氏
「(これまでは)一方的に安倍さんを支持しているっていうだけにも捉えられちゃう。そういうのが全部覆ったのが、2021年9月のUPFのビデオメッセージだと思う。安倍晋三さんはその関係をもう隠さなくなった。これが公表されても自分の政治生命、選挙、自民党には何の影響もないということを、あそこで判断したんだということに驚きました」

鈴木氏は、現職の国会議員と教団との関わりについて調査したという。

鈴木氏
「自民党だけでなく他の政党を含めて112人。政党としては自民党がほとんど」

鈴木氏が調査した国会議員リストには、式典への出席や来賓での挨拶、関連団体から寄付を受けたことなどが記されている。そこで浮かび上がったのが、安倍元総理に近い議員たちの存在だと話す。

鈴木氏
「派閥別に調べたところ、清和会(安倍派)が一番飛び抜けて多かったです」

■“持ちつ持たれつの関係” 旧統一教会と政治家
統一教会は、1954年に文鮮明氏が設立。妻は“平和の母”などと呼ばれる韓鶴子氏だ。芸能人が参加した合同結婚式は日本でも話題になった。その一方で、いわゆる“霊感商法”が社会問題となり、旧統一教会に対しては元信者やその家族からの訴訟などが相次いだ。すると…

金平茂紀キャスター
「世界平和統一家庭連合と名前変えましたね」

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士
「悪名が世界中に広がった。これでは、人集めとか金集めがやりにくくてしようがない。だから名前を変えなさいという指示が出ていたんです」

そのときに、文部科学大臣を務めていたのが下村博文議員だ。ジャーナリストの鈴木氏は…

鈴木氏
「世界日報の月刊誌『Viewpoint』というのがあるんですが、こちらにインタビュー記事が載っていたと」

記事が、教団の友好団体「世界日報社」の月刊誌に掲載されたのも、下村議員が文科大臣時代の2014年だった。この翌年の2015年に文科省の外局である文化庁は、「統一教会」が「世界平和統一家庭連合」に名称を変更することを認めた。名称変更に大臣として関与したのか。下村議員は…

下村博文 元文科大臣
「全く関わっていません。文化庁の担当者からそういう書類が来たということは事前に報告がありました。その後、最終決定者が名称変更については(文化)部長だということ」

下村議員が代表を務める政治団体は、2016年に「世界日報社」から6万円の寄付を受けている。鈴木氏は、旧統一教会と政治家は“持ちつ持たれつの関係”にあるという。

鈴木氏
「政治家が一番欲しがっているのはマンパワー。選挙のときに動いてくれる運動員。後援会組織。それを無尽蔵に提供してきたのが旧統一教会。見返りとして、組織の体制保護、国会の追及から守ってもらうという狙いがあったと思います」

■「首相からじきじき、この方を後援してほしいと…」全国の信徒に支援呼びかけ
内部文書
「首相からじきじき、この方を後援してほしいとの依頼があり、組織票頼みですが、まだCランクで当選にはほど遠い状況です」

これは、鈴木氏が入手した旧統一教会の内部文書の一文だ。この文書は安倍派の北村経夫・参議院議員が全国比例で初出馬した2013年に、教団から全国の信者に送られたという。当時の安倍総理側から直接、“依頼”があったと記されている。そして…

内部文書
「選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」

一方、別の文書には、選挙期間中に北村議員が統一教会の2つの教会で集会を行う予定も記されていた。結果、“当選にはほど遠い”と言われていた北村議員は、当選した。

さらに番組では、次の2019年の選挙で、信者が知人らに投票を呼びかけたメッセージを入手。そこには…

「北村つねおさんをお願いして貰えませんか?副幹事長であり、安倍総理のお膝元の方だそうです」

番組が北村議員に、旧統一教会の信者が選挙支援を行ってきた事実があるか取材したところ、「そうした事実はありません」と回答した。

安倍元総理(2016年)
「小鑓隆史、小鑓隆史、小鑓隆史どうぞよろしくお願い申し上げます」

安倍元総理が応援演説をしたのは、自民党の小鑓隆史参議院議員。自身のツイッターには…

小鑓隆史 参議院議員のツイッター(2018年)
「世界平和連合の皆さんが隆和会という後援組織を立ち上げていただきました」

世界平和連合は、旧統一教会の関連団体だ。2022年6月の投稿にも…

小鑓隆史 参議院議員のツイッター
「隆和会の国政報告会。巨人の星の替え歌で激励いただき、感謝です」

番組が小鑓議員に対し、旧統一教会の関連団体から後援を受けている経緯や、関係性について取材したところ…

小鑓隆史 議員事務所
「個別のお問い合わせには回答を控えさせていただいております」

世界平和統一家庭連合に対し、政治家との関係について番組が聞くと、「特定の政党や候補者を組織的に支援することはない」とした上で、北村議員に関する文書は「承知していない」と回答。井上氏と小鑓議員については、教団の関連団体が支援したことを認めた。

旧統一教会と政治家の“持ちつ持たれつ”の関係はその実態を見えにくくしている。

(報道特集 2022年7月23日放送)
※情報提供は番組ホームページまで

TBS NEWS DIG Powered by JNN

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何で今まで、こんなことに気付かなかったのだろう?

2022年07月25日 11時09分40秒 | 沼田利根の言いたい放題

何故か?インスタグラムにアップした写真が、ことごと映像が正面ではなく方向が横向きであったり、逆さになっていた。

この問題を解決にするには、どうすべきか?

そこで、思いついたのは静止画像ではなく、3秒以上の動画にすることだったのだ。

 


利根輪太郎の競輪人間学  普通の人

2022年07月25日 01時19分31秒 | 未来予測研究会の掲示板

「15万円も付いたわ」車券を払い戻した結城子は、興奮を抑えきれず彼氏にお金を手渡した。

「普通の人には、買えない車券だったな」寺田次郎は頬を緩める。

35度を超える夏日が続いていた。

取手競輪場内の冷房は効き過ぎていたので、結城子は30分置きにタバコを吸いに喫煙場へ向かった。

次郎に喫煙を注意されているが、「あなた、お酒止められるの?!」と彼女は皮肉を言う。

想えば、36歳で逝った恋人の芳子に喫煙を勧めたのは次郎自身だった。

ハリウッド映画の女優がタバコを吸うシーンが次郎には好ましく映じていた。

「芳子さん、タバコ吸ってみない。タバコを口にくわえる姿が似合うと想うんだ」唐突に言ってしまった。

「貴方が、そう思うのね。どんなタバコがいいかしら?」芳子が微笑む。

次郎は芳子の微笑む横顔に魅了されてきた。

「僕は、タバコを吸わないけれど、ピースの匂いが好きなんだ」

「ピースね。吸ってみようかしら」

東京・赤坂のホテルのラウンジでの会話であった。

その日、二人は映画を観に銀座へ向かった。

観たのは「貴族の巣」だった。

理想に生きようとして夢破れた、ロシアのインテリ貴族の悲劇を描いた、イワン・ツルゲーネフの同名小説の映画化だった。

映画を見てから、銀座みゆき通りにあるサラダの専門店へ向かう。

大半が女性客であった。

「あなた、髯をはやしてみて、きっと似合うと思うの?」

「髯?」芳子の唐突の言葉であったが、次郎は芳子に好かれたいので心が動かされた。

26歳の次郎、28歳の芳子。二人は友情以上、恋人未満の関係であった。

「次郎、髯に似合ってきたわね。素敵よ!私、30歳までには結婚するわ」恋多きの芳子はタバコをふかして、六本木のネオンに目を注ぐ。

喫茶店のアマンドで、女医の芳子が客待ちをしていたことを次郎は想像すらできなかった。

「あなたは、普通の人なのね」芳子は微笑む。

次郎が競輪を覚えたのが、芳子の葬儀の日であった。

千葉・北松戸での葬儀、36歳の芳子が遺した6歳の娘のが次郎の顎鬚姿の見て、顔を曇らせてながら後ずさりしたことで一層心が傷んだ。

次郎の風貌は「普通の人」ではなくなっていたのだ。

 

 

 

 

 

 


《事件から3年》「5人家族のうち父、兄、妹が自死。母親は離婚後は疎遠に…」 京アニ放火・青葉真司被告が陥った過酷な家庭環境“負の連鎖”

2022年07月25日 01時16分48秒 | 事件・事故

7/18(月) 11:12配信 文春オンライン

青葉が一家5人で暮らしていたさいたま市緑区のアパート

《事件から3年》京アニ放火 両親は不倫の末「駆け落ち婚」も離婚… 凶行に及んだ青葉真司被告の“特殊な家庭環境”とは?  から続く

【画像】幼少期の青葉真司被告

 2019年7月18日に起きた、京都アニメーション放火事件。死亡者36名、負傷者34名を出した戦後稀に見る凶悪な事件から、今日で丸3年が経つが、今なお公判すら始まっていない。凶行に走った青葉真司被告の家庭環境に迫った記事を再公開する。(初出・2022年6月24日 年齢・肩書は当時のまま)

 テレビ、新聞、ネットニュースでは、日々、あらゆる情報が流れては消えていく。しかし、この世で実際に起きていることは、大手メディアが報じる“大きな声”だけではない。

 人々の“声なきこえ”をしっかりと伝え、記録に残したい――。

 そんな思いから2020年10月に立ち上がったのが、YouTubeチャンネル「日影のこえ」だ。メディアで報じられた重大事件の「その後」を追い、決してマスメディアが伝えない「名もなき人たち」の声を取材し、ドキュメンタリーとして伝える。それは図らずも、事件の真の犯行動機や、表層の奥に隠された“真実”に迫るものになることも多かったという。

 取材を続けてきた「日影のこえ」取材班とノンフィクションライターの高木瑞穂氏が、自身の関わった多くの事件について記した著書『 日影のこえ メディアが伝えない重大事件のもう一つの真実』 (鉄人社)より、2019年に起きた京都アニメーション放火殺人事件の被告・青葉真司の過去に迫った章を抜粋して転載する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

畳の部屋が血だらけに
 高校卒業後、青葉は定職には就かず、コンビニでアルバイトを始めた。人生で最大のターニングポイントとなる事件が起きたのは、1999年12月、埼玉県春日部市内でひとり暮らしをしていた頃である。前出の初老の男性が語る。

「うちの2階から青葉家の部屋が見えるんですよ。畳の部屋が血だらけになってたから、首つりとか、そういうのじゃないね」

 方法はわからないまでも、父親がさいたま市緑区のアパートで自ら命を絶ったのだ。そして、実父の自殺は一家の崩壊を招く。自宅近くの公園の隅で青葉の妹が、暗澹たる思いに苛まれながら猫に餌をあげている姿が近隣住民に、頻繁に目撃されていた。

「本当によく見かけるものだから、『優しいのね』って声をかけたら、『私のことなんて誰もわかってくれない』って言うんですよ。なんか危機迫っているというか、そんな感じで」

 なぜ父親は自殺したのか。息子と娘を残してひとりでこの世を去る。なぜそんな選択をしたのか。

「タクシーで事故を起こしてから、お父さんのやる気がさ、生きていく気力がなくなっちゃったんじゃないの」

 前出の初老の男性は推測する。彼が言うように、父親は事故を契機に奔放の域を超えてしまったのである。勝手なまでに彼だけがラクになる道を選んだのかもしれない。

「葬儀は寂しいものでした。このへんの葬儀は、親戚とか隣近所のお手伝いもいただいて粛々と執り行われるんですが、そういった方たちもいなくて」

 葬式をあげた住職は言った。喪主は、青葉ではなく離れ離れになっていた長男で、青葉や妹の姿は記憶にないという。仕事をなくし体も壊す。また葬儀には親戚も現れず。おそらく長男や、前妻を頼ることもできなかったか、頼るも門前払いされたのだろう。自殺は、拠り所をなくした果てのことのようだ。

父親に続き、妹までも…
 父親の死後、アパートの家賃は滞納され続け、同居していた妹は人知れず姿を消す。近隣住民によれば、以前はバイト先である近くの弁当屋に向かう姿を「よく見かけた」という。

 弁当屋を頼りに消息をたどると、前アパートから車で5分ほど走った場所に妹は引っ越していた。錆びついたトタンのボロ屋が並ぶ一区画。貧民窟だ。人の気配はなく、呼び鈴を押しても応答はない。室外機の上に古びた地方紙が重なり、家の周りはゴミだらけである。

 真裏に住む女性は言う。

「16年前くらいに住みはじめたみたい。付き合いはほとんどありませんでした。で、そういえば姿が見えないなって。いつ出ていったのかもわかりません。みんな置いたままで。夜逃げみたいな感じです」

「その後、誰か他の人が住まれたんですか?」

「そのままになっています。大家さんも勝手に片づけたり、処分できませんからね」

「妹さんの消息はご存じですか?」

「……実は妹さんも自殺したんですよ」

 父親の死から5年後の2004年、事もあろうに妹までもが自ら命を絶っていた。僕は、ある人から彼女が暮らしていた部屋を撮影した写真を見せてもらった。そこに写っていたのは、家具や家電はそのまま、足の踏み場もないほどにゴミが散乱する様子である。父親の後を追うように自死した妹の内側には、どんな心的情景が広がっていたのか。部屋が惨状を呈していたことから、精神がひどく蝕まれていたに違いない。

女性の下着を盗み逮捕、奇行が目立ち住民とトラブルも
 わずか5年の間に2人の肉親を失い、天涯孤独に陥った青葉は、ついに自暴自棄とも言うべき行動に出る。妹の自殺から2年後の2006年9月、春日部市内で女性の下着を盗み逮捕されたのだ。このときは執行猶予付きの判決が下されたが、6年後の2012年6月には、茨城県坂東市内のコンビニエンスストアに包丁を持って押し入り、現金2万円を強奪。強盗及び銃刀法違反の疑いで逮捕され、懲役3年6月の実刑判決を受ける。

 青葉はこの頃、茨城県内の雇用促進住宅に住んでいた。警察立ち合いのもとで部屋に入った管理人によれば、妹の住まい同様、彼の部屋もゴミ屋敷と化していたそうだ。強盗事件については「仕事上で理不尽な扱いを受けるなどして、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」と供述。服役中は刑務官に繰り返し暴言を吐いたり、騒いだりして、精神疾患と診断されている。2016年1月に出所したあと、生活保護を受給しながら、さいたま市のアパートで暮らしていたが、音楽を大音量で流すなどの奇行が目立ち、住民とトラブルになっていた。事件直前の夜に青葉が発した「黙れ! うるせえ、殺すぞ。こっち、失うもんねえから!」という言葉が思い出される。

 その後、薬物療法を受け一時期はさいたま市浦和区にある更生保護施設にいたが、敷かれたレールに乗れば更生するとは限らない。いや、むしろ己の人生は両親や社会からのリンチだと悟ったのか、憎悪の火に油を注いだだけだった。

犯人だけが生き残っている
 凶行の日は、出所から3年半が過ぎた2019年7月18日のことだった。数週間前には、事件現場に持ち込まれた包丁6本をさいたま市内の量販店で、前日午前にはホームセンターでガソリン携行缶や台車を購入し犯行に及ぶ。ガソリンを撒き、ライターで火をつけ、京都アニメーションの第1スタジオは炎の海と化した。

 青葉は自身の衣服にも引火した状態で逃走したが、現場から南へ100メートル離れた路上で火災被害から逃れた2人の男性社員に取り押さえられる。ほどなく駆けつけた京都府伏見警察署員が身柄を確保し、病院へと搬送。危篤状態にありながらも奇跡的に快方に向かったことで2020年5月27日、殺人・殺人未遂・現住建造物等放火・建造物侵入・銃刀法違反で逮捕となった。建物は全焼。死亡者36人。負傷者35人。殺人事件では戦後最多の死者数を出しながら、奇しくも当の青葉だけは生き残っている。

 青葉の半生を綴ったユーチューブ動画を公開すると、青葉をよく知る男性から連絡があり、僕はさらなる負の連鎖を知らされることになる。

「実は青葉の兄も自殺しているんです。5人家族のうち父、兄、妹が自死を選び、母親は離婚後に別家庭を持ったため疎遠に。そのことをどうしても伝えたかったのです」

社会のセーフティネットを見直す一助になればと…
 2020年12月16日、青葉は前述の5つの罪で京都地検より起訴される。犯行動機などについては、身柄を確保された際に「俺の作品をパクりやがったんだ!」と声高に叫んだことからして、京都アニメーションに大きな憎悪を抱いていたことは明らかだろう。実際、青葉は京アニ主催の『京都アニメーション大賞』へ小説を応募していた。だが同社は、彼の小説は形式的な一次審査で落選していたと説明し、そのうえで「盗用の余地はなかった」と反論する。

 前出の青葉をよく知る男性は言う。

「もちろん青葉の起こした事件は許されることではないけれど、青葉という人物がなぜ生まれたのか正しく伝えてほしいんです」

 犯行動機を京アニへの逆恨みだけとし、凶悪犯の半生を知ることなど無意味で空虚なこととは、僕も思わない。社会のセーフティネットを見直す一助になればと期待する。だから書いた。できるだけ余さず青葉を、一家を記した。青葉は裁判で何を語るのか。通常より刑期が重くなることが多い裁判員裁判が決まった初公判が始まるのは、まだ先のことだ。

高木 瑞穂,YouTube「日影のこえ」取材班/Webオリジナル(特集班)


まず大人が成長!

2022年07月24日 11時30分03秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽子どものころにきざんだ思い出は、生涯、鮮烈に心に残り、光を放っていく。
その後の人生、生き方にも、深く、大きな影響を及ぼしていくものだ。

▽少年少女の心は、まことに多感である。
多感な心にきざまれた真心の励ましが、どれほど生涯の成長の源泉になることか。

▽学校の先生もそうだろうが、子どもたちを育てる上で大切なのは、大人自身の人間性である。魅力である。
まず大人が成長!-これを刻まなければならない。

▽こどもたちの努力を讃え、よい点を見つけ、ほめて伸ばすことだ。
正義の心、正しい価値観を教えていくことだ。
大人たちが心から信頼される存在になっていくことだ。

▽一人ひとりが自身の可能性に目を開き、確かな自信と安心と希望を得ていくための豊かな励ましがある。
そして、人間として生きてい行く上でので、最高の誇りと自覚をもつことができる理念がある。

▽何より、子どもたちが鋭敏な生命で感じ取っているのは、大人たちの「自他共の幸福を目指す真剣な生き方」であり、「正義の道を貫く勇気と信念」である。

▽子どもたちは皆、かけがいのない「可能性」をもった「宝」だ。
一人一人が、「希望」の存在であり、生命には「希望」が、いっぱい詰まっている。


統一教会の“広告塔”となったが… 家族の説得で脱会を果たした芸能人たち

2022年07月23日 16時59分40秒 | 事件・事故

7/22(金) 19:15配信 NEWSポストセブン

会見で安倍元首相に黙祷を捧げる統一教会の田中富広会長(左)ら(時事通信フォト)

 容疑者が明かした犯行動機は統一教会への「恨み」、そして安倍晋三元首相と教団の「つながり」だった。銃撃事件を機に政治家と宗教団体の不適切な関係が問題視されているが、芸能界では30年以上前から芸能人が“広告塔”に利用されることが社会問題化していた。

【写真】合同結婚式に参加した桜田淳子のウエディングドレス姿とお相手男性とのツーショット。他、山崎浩子、飯星景子ら脱会した元信者たち

 連日のように続報が伝えられる安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41才)の供述が明らかになるにつれ、ある宗教団体との関連に注目が集まった。統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述する)である。

 統一教会の名が広く一般に知られるようになったのは1992年頃。有名女優やスポーツ選手が相次いで入信を表明し、ワイドショーや週刊誌がこぞって教会の問題を取り上げた。とりわけ日本中を驚かせたのは、女優として一線で活躍していた桜田淳子(64才)の告白だ。韓国で行われる“合同結婚式”への参加を会見で表明し、見ず知らずの男性と結婚することも『価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません』と言い切った。桜田桜田は現在も脱会しておらず、夫婦仲も変わっていないという。

 桜田と同じく1992年の合同結婚式に参加したのが元新体操選手の山崎浩子(62才)。鹿児島県出身の山崎は高校時代に新体操を始め1984年にロス五輪に出場。個人総合8位に入賞し、選手引退後は指導者、タレントとして活動していた。

「1988年のソウル五輪ではリポーターとしても活躍していましたが翌年、友人のすすめで教会のビデオ学習を受けたのを機に入信。交際相手と別れ、たびたび韓国を訪れるようになり、1992年に合同結婚式が行われることを知ると自ら参加を望んだといいます」(前出・芸能関係者)

 心配した姉や、キリスト教の牧師による説得は46日間にもおよび、山崎は脱会を決意した。2004年から指導者として現場に復帰して、昨年の東京五輪でも新体操チームを率いた。現在は東京とモスクワを拠点に指導を続ける山崎の心の支えは“推し活”だという。

「アイドルが好きで特にKis-My-Ft2の大ファン。ツイッターでも頻繁に“推し活”について、楽しそうに綴っています」(新体操関係者)

 山崎が代表を務める会社を訪ねたが、マネジャーらしき女性が「ここには来ません」、「(統一教会の)取材は受けません」と繰り返すばかりだった。

広告塔芸能人には被害の実態が見えない
 キャスターとしても活動するタレントの飯星景子(59才)は、脱会を巡って父で作家の故・飯干晃一さんと壮絶なバトルを繰り広げたことで知られる。入信のきっかけは、統一教会のイベントで司会を務めたこと。友人のすすめで統一教会の勉強会に参加した飯星は、教義より信者の人間関係に魅力を感じたといい、後にワイドショーでこう語っている。

「神様を通じてわかり合えるような、普通の友人関係とは違う、強烈で独特なものがあった」

 霊感商法に関する悪い噂も耳にしたが、「見たくないと思って目をつぶっていた」という飯星。その目を必死に開かせたのが父だった。もともと統一教会に疑念を抱いていた飯干氏は娘が教会のスタッフと共にニューヨークに渡ったことを知ると「絶対に取り戻す」と宣言。統一教会に“宣戦布告”した。

「教会側から『お父さんをなんとかしてほしい』と言われた飯星さんは、新約・旧約聖書を読んで理論武装した父との対話に臨んだそうです。当初は頑なな姿勢を崩さなかった飯星さんですが、いままで見たことのない父親の『弱々しい姿』に心を動かされ、深入りする前に立ち止まることができたといいます」(ワイドショー関係者)

 以来、統一教会とは縁を切り、当時のことを振り返る機会もほとんどなくなった。

「2012年にオセロの中島知子さん(50才)と占い師の深い関係が報じられたときに、マインドコントロールから逃れるように呼びかけていたのが印象的でした。ワイドショーのコメンテーターを務めたこともありますが、いまは教会のことに触れたがらないといいます」(テレビ局関係者)

 ドラマや舞台を中心に活躍するベテラン女優の音無美紀子(72才)も1986年に入信した元信者。家族の病気や、夫で俳優の村井國夫(77才)の女性問題に悩み、2800万円の“多宝塔”を購入したと報じられたこともあった。

「村井さんの懸命な説得で1992年頃に脱会にこぎつけています。もともと音無さんは霊感商法に懐疑的で、その点も“洗脳”を解く突破口になったようです。いまも支え合う円満な夫婦関係を築いています」(前出・芸能関係者)

 統一教会と決別した人、いまも共にある人。それぞれが第二の人生を歩んでいるが、芸能人が宗教団体の“広告塔”になる危うさは当事者だけの問題ではない。統一教会問題に詳しい紀藤正樹弁護士はこう指摘する。

「宗教団体にとって芸能人の信者が果たす役割は大きい。広告塔として団体の知名度を上げるだけでなく、彼らがいることで“いい団体である”という誤ったイメージを植え付ける可能性もあります。有名人は内部で特別扱いされるため、その団体が生み出す悲劇に気づきにくい。桜田さんは沈黙を続けていますが、大勢の被害者がいる現実に目を向け、できれば問題解決に協力してほしい」

 いまも頑なに無言を貫く桜田。彼女の耳に今回の事件や、霊感商法による被害者の声は届いているのだろうか。

※女性セブン2022年8月4日号

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