よっちゃん農場のドタバタ日記

「よっちゃん農場」の日常。
 ~いち農家から小さなブランド作りの奮闘記~~

Aさん逝く・・・

2007年11月09日 | Weblog

近所で一番働き者のおじいさん、Aさんが急逝した。

その人はとても素敵なおじいさんだった。
齢80にして、猛暑だろうが酷寒だろうが、時には草刈機
を背負いバイクであっちの畑こっちの畑を移動し、私等
足下にも及ばない程コツコツと毎日働いていた。
ホントに「タフ」さは集落イチだった。100まで生きる
と想っていた。

そのおじいさん専用の畑が我が家の畑の隣というのもあり、
私が実家に戻った頃から顔を見れば話をするようになった。
「あと数年後、この沢(集落)に何人”農家”が残るだろう?」
と、時には時代を憂い、寂しそうに話しつつも黙々と丁寧な
仕事をする人だった。

昨日原伸介さんの本について書いたけれど、彼と同様に私も
あこがれを持った「グローブのようなデカい働き者の手」を
持つ人だった。いつもバイクのカゴには「ナタとノコギリ」
が入っていて、足現場で足りないものはそこで何とかしちゃお
う!という知恵もあった。近年は「熊対策」と笑ってたけど。

ここ数年「長いも」栽培に挑戦し、ちょうど今頃になると
「今年は良い出来」「今年はひとつ」といいながらお裾分けを
してくれていた、
今年も一週間前掘りたてを積んでトラクターで来てくれたばかり。
それが話をした最後。

一昨日もバイクに乗っているのを見かけ「元気なんだ」と思って
たところだったので、今日昼に電話で報せを受けた際は本心から
冗談だと本気にしなかった程だった。


生まれた時にはおじいちゃんが他界していた私にとって、
気軽に話せるホントに自分のじいちゃんのような親近感を抱けた
人。

あまりに・・・あっけない。
残念。






私が10年程前に田舎に戻ったばかり「炭焼をする!」と意気込んでいた
頃、そのAさんがくれた「両刃ナタ」。私の宝物の一つ。

そのあたりは、会っても挨拶程度でゆっくり話した事もなかった。
元来人にモノをあげたりする人ではないそうだが、こんな私に
何かを期待してくれていたのかも知れない。
ほんの一週間前、いわゆる「物売りをしている姿を初めて見られた」
地元の農業際で会った際、
「ようやくアンダ達(君達)も定着してきたね~」
と言ってくれた言葉が、今になって重くのこる。

その想い、今はまだ少しだけどシッカリと継いでいきたい。