「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・08・05

2005-08-05 06:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、中唐の詩人柳宗元(773-819)の「夏晝偶作」と題した詩一篇。原詩、読み下し文、現代語訳ともに、中野孝次さん(1925-2004)の著書「わたしの唐詩選」(文春文庫)からの引用です。

 夏晝偶作        夏の昼偶作    柳宗元

  南州溽暑醉如酒     南州の溽暑 酔うて酒の如し
  隱几熟眠開北牖     几(き)に隠(よ)りて熟眠し 北牖(ほくゆう)を開く
  日午獨覺無餘聲     日午(にちご) 独り覚めるに 余声なし
  山童隔竹敲茶臼     山童 竹を隔てて茶臼を敲(たた)く

(現代語訳)
 南国柳州の地の蒸し暑さは、まるで酒に酔ったかのようだ。北の牖(まど)をあけ放って、肘掛けに凭れてぐっすり寝こんでしまった。そして真夏の深い昼寝から醒めると、天地の間にあるのは我ひとり、ほかに何の音もしない。静まりかえった世界の中、竹林をへだてた向うで童が臼で茶の葉をついている音だけがする。


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