今日の「お気に入り」は、中唐の詩人柳宗元(773-819)の「夏晝偶作」と題した詩一篇。原詩、読み下し文、現代語訳ともに、中野孝次さん(1925-2004)の著書「わたしの唐詩選」(文春文庫)からの引用です。
夏晝偶作 夏の昼偶作 柳宗元
南州溽暑醉如酒 南州の溽暑 酔うて酒の如し
隱几熟眠開北牖 几(き)に隠(よ)りて熟眠し 北牖(ほくゆう)を開く
日午獨覺無餘聲 日午(にちご) 独り覚めるに 余声なし
山童隔竹敲茶臼 山童 竹を隔てて茶臼を敲(たた)く
(現代語訳)
南国柳州の地の蒸し暑さは、まるで酒に酔ったかのようだ。北の牖(まど)をあけ放って、肘掛けに凭れてぐっすり寝こんでしまった。そして真夏の深い昼寝から醒めると、天地の間にあるのは我ひとり、ほかに何の音もしない。静まりかえった世界の中、竹林をへだてた向うで童が臼で茶の葉をついている音だけがする。
夏晝偶作 夏の昼偶作 柳宗元
南州溽暑醉如酒 南州の溽暑 酔うて酒の如し
隱几熟眠開北牖 几(き)に隠(よ)りて熟眠し 北牖(ほくゆう)を開く
日午獨覺無餘聲 日午(にちご) 独り覚めるに 余声なし
山童隔竹敲茶臼 山童 竹を隔てて茶臼を敲(たた)く
(現代語訳)
南国柳州の地の蒸し暑さは、まるで酒に酔ったかのようだ。北の牖(まど)をあけ放って、肘掛けに凭れてぐっすり寝こんでしまった。そして真夏の深い昼寝から醒めると、天地の間にあるのは我ひとり、ほかに何の音もしない。静まりかえった世界の中、竹林をへだてた向うで童が臼で茶の葉をついている音だけがする。