今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「めくってもめくっても広告――と言いたくなるほど新聞に広告がふえた。広告は大きけりゃいいってものじゃない。二ページ見開き大広告だと分ると、読者は見ないでさっさとまたいで行くからあれはただのムダである。
企業には金があまっている。税に奪われるくらいなら広告なさい、税は何ものももたらさないが広告はもたらすと電通または博報堂にそそのかされて、いかにもと広告しているのだから、初めから多くの効果は期待してない。」
「私は会社だけが富んで個人が富まない社会は不健康だと思っている。金あまりの大会社は世界に進出して何をしでかすか分らない。個人のサクセス・ストーリー(成功譚)のない社会は生き甲斐がない。アメリカにはまだサクセスがある。見習ってはどうか。」
「個人に金がなくて法人にあるとどうなるか。法人の金には思想がないからアメリカの土地を買いビルを買う。それでいて私たち個人は世界一の金持だといわれながら全くその実感がない。」
(山本夏彦著「世間知らずの高枕」新潮文庫 所収)
「めくってもめくっても広告――と言いたくなるほど新聞に広告がふえた。広告は大きけりゃいいってものじゃない。二ページ見開き大広告だと分ると、読者は見ないでさっさとまたいで行くからあれはただのムダである。
企業には金があまっている。税に奪われるくらいなら広告なさい、税は何ものももたらさないが広告はもたらすと電通または博報堂にそそのかされて、いかにもと広告しているのだから、初めから多くの効果は期待してない。」
「私は会社だけが富んで個人が富まない社会は不健康だと思っている。金あまりの大会社は世界に進出して何をしでかすか分らない。個人のサクセス・ストーリー(成功譚)のない社会は生き甲斐がない。アメリカにはまだサクセスがある。見習ってはどうか。」
「個人に金がなくて法人にあるとどうなるか。法人の金には思想がないからアメリカの土地を買いビルを買う。それでいて私たち個人は世界一の金持だといわれながら全くその実感がない。」
(山本夏彦著「世間知らずの高枕」新潮文庫 所収)