珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

二つの古きタンノイを聴く

2015-03-21 08:48:56 | オフ会
pat_mthny7205さんを迎えた翌日は、taoさんとチューバホーンさんのお宅をハシゴする、ヴィンテージ・タンノイの日となりました。拙宅でのオフ会の後、チューバホーンさん宅を訪問したのが昨年11月半ばでした。年が改まり、taoさん宅訪問を調整する中、taoさんの定期的なボディメンテナンスに絡めて、ハシゴ企画となったという次第です。午前中、チューバホーンさんの仕事場に少し早めに着くと、整体の方は仕上げの段階でした。しばしチューバホーンさんの仕事ぶりを拝見して、2階のオーディオ部屋へ移動です。クラシック鑑賞付きの整体はそう、ありませんね。taoさん、さぞ心地良かったでしょう。

部屋に入ってまず驚きました。SP配置が昨年訪問時の長辺配置の交差法から短辺配置の平行法へ変わっています。さらに、部屋に鎮座していたピアノが撤去されています。午後のtaoさん宅の交差法と比較しやすいようにとのご配慮もあったようで、恐縮です。昨年11月の音は憶えていますから、その違いは気になるところです。ピアノはかなり音を吸うらしいです。シンプルな空間になった分、定在波の影響が出たとのこと。床の座布団はその対策の表れです。座布団無しではとてもボリュームが上げられなかったそうで、部屋を積極的に活かす平行法の難しさの一端です。

チューバホーンさんが使われているSPはランカスター(ユニットは15インチモニターゴールド)です。昨年はクォードのモノラルパワーアンプ2台でしたが、今回はステレオ1台です。ヴォーカルを中心に聴かせていただきました。昨年と比べてまず感じたのが低音の充実ぶり。密閉型でも分厚い低音が出るんですね。サウンドパーツか、クォードの影響か、音に温かみ、鮮度感があります。デジタルアンプSD05にすると空間は更に広がり、細かい音も拾いますが、冷静な音になります。ヴォーカルは少し遠目からステージを見ている感じで、GRFさんの平行法を連想しました。ここまで音を纏めるチューバホーンさんの腕にも感心しました。


1時間ほど聴かせていただいた後、チューバホーンさん宅を出てtaoさん宅へ向かいます。途中、青梅街道脇の中華料理店「長江宴」にて昼食です。武蔵野うどんのお店の話もあったのですが、かなり混むとのことで、こちらのお店へ。taoさん、ご家族でも使われているのか、お店の人とも馴染みの様子でした。私はリーズナブルながら、味のしっかりした酢豚のランチセットをいただきました。


taoさんのお宅は狭山丘陵の高台の住宅地にありました。私自身、接点の少ない地域ですが、近くの西武園には昔、埼玉の親戚と行ったことがあります。taoさんは有名ブログacoustic taoを書かれているので、オーディオブログを巡られている方はご存じでしょう。まだオーディオ歴は8年とのことですが、ブログの初期の記事を見ると、ジャーマンフィシクスやEMM Laboなど錚々たるオーディオ機器を使われていたことがわかります。GRFさんと同じですね。しかし8年の歳月の間、taoさん自身の志向の変化があり、現在は英国のヴィンテージ品でシステムを組まれています。

SPはコーナー型のGRFで、ユニットは15インチモニターシルバーです。お使いのクォードのESLの調子が今一つだったところに、こちらのGRFと遭遇、購入を決められました。私はヴィンテージ品へのアンテナが低いのでわかりませんが、機会を逃すと次はいつになるか分からない、といった後押しがあったようです。シルバーはステレオ移行期のユニットで、taoさんが生まれる前の製品です。その時代のアンプで音を作りこんでいるので、古いアンプとの相性がいいそうです。チューバホーンさんがお使いのゴールドは更に時代が下がり、アンプの選択肢は現代機含めて広くなります。


お部屋は8から10畳でしょうか、床を低くしている分、天井高も高めです。当初は石井式の部屋だったのですが、吸音部を木材に替えています。確かに会話にも響きが乗る感じがあります。それでも元の部屋の素性の表れか、カーペット敷きの拙宅よりはライブではありません。


上流機器も英国ヴィンテージです。これまで数多くのお宅を訪問していますが、アナログ1本足の方はそういらしゃいません。地元のIさんとtaoさんくらいでしょうか。LINNのプレイヤーはパーツ交換によるグレードアップが売りの一つになっていますが、taoさんはその逆路線、つまり先祖帰りのパーツ交換をされているのが面白いですね。カートリッジはオルトフォンのSPUです。アンプはプリ、パワー共にLEAKです。昨年末に訪問した一諾千金の怠け者さんもやはりLEAKを使われてました。訪問先が続けて2軒、LEAK使いというのはレアケースの重なりですので、何か不思議な気もします。


taoさん所有のレコード群(上記写真の右奥のボックス)から、クラシックを聴かせていただきました。60年代後半のステレオ全盛期の音源ではなく、ちょうどGRFがまだ新品だった当時の音源が中心です。これにはシステムとの相性という音の側面もありますが、何よりtaoさん自身が聴きたい音楽がこの辺りに移ってきたことが大きいでしょう。私の語彙では上手く表現できませんが、音からは素朴、陰影、曇り空・・・といったキーワードが浮かんできました。バッハのチェロソナタの骨太さも印象に残りました。部屋に迎えてまだ1年、これからもどんどん音が変わるそうですから、育てる?楽しみがありますね。

こうしてヴィンテージ・タンノイ・デイはあっという間に過ぎていきました。二つのSPの生産時期の差は10~15年ほどでしょうか?組み合わせる機器や音源の年代が変わると随分と音が変わることを、実感した1日でした。"人と部屋と機器こそがオーディオコンポーネント"という菅野さんの話は、私もようやく理解するところとなりましたが、その再認識にもなりました。お二人のオーディオがどの方向へ進むか、また機をいただければと思います。土曜日のpat_mthny7205さん来訪と併せて、濃い週末が終わりました。
コメント (4)
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