大ヒットした原作コミックは未読のため,特撮に力を注いだ大作にも拘わらず,前編を覆っていたそこはかとない「B級感覚」が,原作に由来するものなのかどうかは判別できなかった。
しかし後編の冒頭で,草剛演じるエレン(三浦春馬)の父親の科学者が,絵に描いたような「マッド・サイエンティスト」として登場してくるシークエンスによって,最新の映像技術を駆使して「古き良き,かつ妖しい空想特撮映画」を復活させるのだ,という映画化スタッフの熱い思いが明らかになってくる。
果たして後半には,エレンとシキシマ(長谷川博己),二人の関係が判明した時点で,1960年代の東宝特撮作品群の最高峰である本多猪四郎の「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」へのオマージュという要素が色濃く浮かび上がってくるのだ。
前編のラストでエレンが突如として巨人に変身したフォルムや顔の造形に引っかかるものを覚えたのだが,まさかこんなダイレクトな形で切り込んでくるとは思わなかった,というのが正直な感想だ。
世界を揺るがすジャンボサイズの兄弟喧嘩,と言ってしまえばそれまでなのだが,骨肉相食む血族同士の葛藤を神話レヴェルにまで昇華した「サンダ対ガイラ」の偉業から49年。精緻に組み立てられたアクションと巨人の造形からは,同作に感化されたであろう世代が揃ったスタッフ陣の,先人たちが残した仕事への愛と感謝が伝わってくる。
更に巨大化した人間が文字通り「ヒューマンスケール」の人間を襲って食べる,というフォーマットから,巨人同士のバトルに発展するに至って,日本のカウンターカルチャーを支えてきたアニメファンは,「機動戦士ガンダム」発祥のモビールスーツが「パシフィック・リム」経由で,とうとう細胞レヴェルで人間との合体を果たすに到った,という感慨をも抱いたかもしれない。
物語の設定や大勢の出演者のキャラクター説明に相応の時間を要した前編と異なり,後編は巨人たちが人間の住む世界へ入り込んでくる原因となった壁の穴を修復しようと奮闘するエレンたちとシキシマ,およびクバル(國村隼)との対決にフォーカスを絞った,シンプルなアクション作品とすることで,色分けも明確な2部構成としたアイデアも,体力が衰えつつある私のような年輩の鑑賞者には優しかった。
もう少し引いて巨人を捉えたロングショットによってスケール感を強調すべきだったのではという不満と,相変わらずの紙芝居的演技でドラマ部分をぶち壊していた主演俳優の演技力に対する疑問はあるものの,これだけのプロジェクトに真正面からチャレンジしつつ,ニッチなオタク感覚を忍ばせた作品として完成させた制作陣のファイトに☆をひとつ追加。
★★★☆
(★★★★★が最高)
しかし後編の冒頭で,草剛演じるエレン(三浦春馬)の父親の科学者が,絵に描いたような「マッド・サイエンティスト」として登場してくるシークエンスによって,最新の映像技術を駆使して「古き良き,かつ妖しい空想特撮映画」を復活させるのだ,という映画化スタッフの熱い思いが明らかになってくる。
果たして後半には,エレンとシキシマ(長谷川博己),二人の関係が判明した時点で,1960年代の東宝特撮作品群の最高峰である本多猪四郎の「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」へのオマージュという要素が色濃く浮かび上がってくるのだ。
前編のラストでエレンが突如として巨人に変身したフォルムや顔の造形に引っかかるものを覚えたのだが,まさかこんなダイレクトな形で切り込んでくるとは思わなかった,というのが正直な感想だ。
世界を揺るがすジャンボサイズの兄弟喧嘩,と言ってしまえばそれまでなのだが,骨肉相食む血族同士の葛藤を神話レヴェルにまで昇華した「サンダ対ガイラ」の偉業から49年。精緻に組み立てられたアクションと巨人の造形からは,同作に感化されたであろう世代が揃ったスタッフ陣の,先人たちが残した仕事への愛と感謝が伝わってくる。
更に巨大化した人間が文字通り「ヒューマンスケール」の人間を襲って食べる,というフォーマットから,巨人同士のバトルに発展するに至って,日本のカウンターカルチャーを支えてきたアニメファンは,「機動戦士ガンダム」発祥のモビールスーツが「パシフィック・リム」経由で,とうとう細胞レヴェルで人間との合体を果たすに到った,という感慨をも抱いたかもしれない。
物語の設定や大勢の出演者のキャラクター説明に相応の時間を要した前編と異なり,後編は巨人たちが人間の住む世界へ入り込んでくる原因となった壁の穴を修復しようと奮闘するエレンたちとシキシマ,およびクバル(國村隼)との対決にフォーカスを絞った,シンプルなアクション作品とすることで,色分けも明確な2部構成としたアイデアも,体力が衰えつつある私のような年輩の鑑賞者には優しかった。
もう少し引いて巨人を捉えたロングショットによってスケール感を強調すべきだったのではという不満と,相変わらずの紙芝居的演技でドラマ部分をぶち壊していた主演俳優の演技力に対する疑問はあるものの,これだけのプロジェクトに真正面からチャレンジしつつ,ニッチなオタク感覚を忍ばせた作品として完成させた制作陣のファイトに☆をひとつ追加。
★★★☆
(★★★★★が最高)