ブラック・サバスのニューアルバム「13」が発売された。
僕は発売日に新作が聴きたかったので、早めに予約をしてあったのだが、通販の発送が遅れに遅れて、1週間前に届いたばかりだ。
それはいいとして、今週は「13」がヘヴィ・ローテーションだった。
オジー・オズボーンがブラック・サバスのメンバーとしてアルバムを発表するのは1978年の「ネバー・セイ・ダイ」以来35年ぶり、ブラック・サバスのスタジオ・アルバムとしては1995年の「フォービドゥン」以来18年ぶり、事実上のブラック・サバスであるヘヴン・アンド・ヘルのスタジオ作「ザ・デヴィル・ユー・ノウ」から4年ぶりとなる。
かなり期待が大きかったようで、英米ともに初登場1位という快挙を記録した。
内容は、どこから聴いてもオジー時代のブラック・サバス以外の何者でもない、紛れもないサバス・サウンドだ。
ヘヴィでスロー、そしてダイナミック。
彼らの1枚目「黒い安息日」から3枚目「マスター・オブ・リアリティ」あたりの音といっていい。
前作にあたるヘヴン・アンド・ヘル「ザ・デヴィル・ユー・ノウ」がモダン・ヘヴィネスを狙った現代的なものだったのに対し、こちらはかなりの過去回帰だといえる。
伝説のバンドとして、「あのオジー・サバス」の新譜は、あくまでも伝説の延長線でなければならなかったのだろう。
僕がこれを聴いてとくに感心したのはオジーの歌メロだ。
前作では、アイオミのリフは相変わらずヘヴィで邪悪なサバス節なのに、ロニー・J・ディオの歌メロがピンとこなかったが、今作はオジーのメロディ・センスが光っていると思う。
なんといってもアイオミの奏でるギターとの相性がいい。
オジーバンドのどの歴代ギタリストよりも、アイオミとの組み合わせにはかなわない気がする。
今回のアルバムでは、いたるところに過去作品からの引用がある。
1曲目の「エンド・オブ・ザ・ビギニング」は「ブラック・サバス(曲)」、3曲目「ロナー」は「N.I.B.」、4曲目「ツァイトガイスト」は「プラネットキャラバン」だ。
そして本編ラストの「ディア・ファーザー」のラストには「ブラック・サバス(曲)」のイントロの雨と雷のSEが流れる。
これはネタ切れになったからこうしているのではなく、ファンに「あのブラック・サバスが帰って来た」と思わせるための手法だろう。
70年代後半、アルコールとドラッグでボロボロになったオジーはバンドを抜け、その後はメンバーチェンジの激しい時期もあったが、アイオミはサバスの看板を背負い続けてきた。
1997年オジーを含むオリジナルメンバーでのリユニオンがあり、それからは自ら「サバス・ブランド」の地位を高めるための活動を行っていたように思える。
そんな状況の中、多くの期待を背負って発表されたこのアルバムは、大成功だといっていい。
オジーは次作もあるような発言をしているが、僕はこれがラストでいいんじゃないかと思う。
有終の美で終わったほうがいいと思うのだった。
Black Sabbath - Dear Father