東京人
2011-05-29 | 日常
5時の開店に合わせるように居酒屋に入り、カモの燻製をアテに熱燗を飲みながら店主と話していると、一人の男が入ってきてオレの二つ奥の席に座った。
しばらくして、「いらっしゃい」の声とともに、もう一人の男の客が入ってきてカウンターの一番奥に座った。男は、この店は初めてのようで少し戸惑っている様子だった。「それ、頂いちゃおうか」など、その話しぶりからして、どうも関西人ではなさそうだ。
少しの間、3人とも無口で飲んでいたが、オレは口の中がムズムズしてきて、辛抱できんようになって口火を切った。最初は、取り留めもないことをしゃべっていたが、そのうちに震災や原発事故の話になってきた。
一番奥の客、用事で高槻に来ている東京人だとわかった。そのうち、酒も入ってだんだん話が盛り上がってきたころ、この東京人が言った。「東京都民や大阪府民に支持さた知事だけど、あの傲慢で、自分の言うことは絶対正しいというような、上から人を見下すような石原や橋下は大嫌いだ」と。そして、「懲罰で脅し、日の丸・君が代を強制し、従わない者は首を切るというなやり方は絶対許せない」とも。
まあ、今までも居酒屋やスナックで多少は政治の話もするけど、この東京人ほどはっきりと自分の考えをいう人は珍しい。おれは、そんな東京人をすぐに気に入った。早速、メモ用紙に「近くに知り合いのスナックがあります。行きませんか?」と書いて若い女性店員に、持って行ってもらった。
メモを見た東京人はオレの方を見て、目でOKサインを出した。オレが先に出て店の前で待っていたら、間もなく東京人が出てきた。スナックへの道すがら失礼を詫び、誘った訳を話したところ、向こうさんもえらく喜んでくれた。
焼酎のお湯割りで乾杯し、自己紹介をした。この東京人、歌も好きで3曲ほど歌った。オレが言うのもなんだが、なかなか上手かった。
会話は大いに盛り上がった。3杯ほど空けたところで、「ホテルの門限があるので…」というので、「また大阪へ来られた折にぜひ会いましょう」と名刺をもらって固い握手で別れた。もらった名刺を見てみると、この東京人、狛江市で手づくりパン店を営んでいる人だった。
オレもしばらくして店を出て降りしきる雨の中、駅に向かって歩いた。肩にかかる雨は冷たかったが、あの東京人の心意気に触れてオレの心の中は温かかった。雨の夜の居酒屋が取り持つ男同士の出会いだ。
Iさん、ありがとう! いつの日になるかわかりませんが 再会を楽しみにしています。その時はまた、焼酎のお湯割りを飲みながら、語りましょう、歌いましょう。
しばらくして、「いらっしゃい」の声とともに、もう一人の男の客が入ってきてカウンターの一番奥に座った。男は、この店は初めてのようで少し戸惑っている様子だった。「それ、頂いちゃおうか」など、その話しぶりからして、どうも関西人ではなさそうだ。
少しの間、3人とも無口で飲んでいたが、オレは口の中がムズムズしてきて、辛抱できんようになって口火を切った。最初は、取り留めもないことをしゃべっていたが、そのうちに震災や原発事故の話になってきた。
一番奥の客、用事で高槻に来ている東京人だとわかった。そのうち、酒も入ってだんだん話が盛り上がってきたころ、この東京人が言った。「東京都民や大阪府民に支持さた知事だけど、あの傲慢で、自分の言うことは絶対正しいというような、上から人を見下すような石原や橋下は大嫌いだ」と。そして、「懲罰で脅し、日の丸・君が代を強制し、従わない者は首を切るというなやり方は絶対許せない」とも。
まあ、今までも居酒屋やスナックで多少は政治の話もするけど、この東京人ほどはっきりと自分の考えをいう人は珍しい。おれは、そんな東京人をすぐに気に入った。早速、メモ用紙に「近くに知り合いのスナックがあります。行きませんか?」と書いて若い女性店員に、持って行ってもらった。
メモを見た東京人はオレの方を見て、目でOKサインを出した。オレが先に出て店の前で待っていたら、間もなく東京人が出てきた。スナックへの道すがら失礼を詫び、誘った訳を話したところ、向こうさんもえらく喜んでくれた。
焼酎のお湯割りで乾杯し、自己紹介をした。この東京人、歌も好きで3曲ほど歌った。オレが言うのもなんだが、なかなか上手かった。
会話は大いに盛り上がった。3杯ほど空けたところで、「ホテルの門限があるので…」というので、「また大阪へ来られた折にぜひ会いましょう」と名刺をもらって固い握手で別れた。もらった名刺を見てみると、この東京人、狛江市で手づくりパン店を営んでいる人だった。
オレもしばらくして店を出て降りしきる雨の中、駅に向かって歩いた。肩にかかる雨は冷たかったが、あの東京人の心意気に触れてオレの心の中は温かかった。雨の夜の居酒屋が取り持つ男同士の出会いだ。
Iさん、ありがとう! いつの日になるかわかりませんが 再会を楽しみにしています。その時はまた、焼酎のお湯割りを飲みながら、語りましょう、歌いましょう。