《・・1年の中で唯一、国民の祝日がなく、梅雨のイメージが強い6月ですが、
昔から親しまれてきた伝統的な行事や6月ならではの風物詩がたくさんあります。
代表的な行事・暮らしの歳時記・行事食などについてまとめました。
夏の盛りを目前に控えた6月の行事・風物詩
今でも着物は、6月から単衣、7月から薄物、9月から単衣、
10月から5月末までが袷というふうに、年に4回衣替えをします
なぜ一斉に衣替えをするようになったのでしょうか。
衣替えは、平安時代に中国から伝わった習わしです。
宮中行事として、年に2回、衣を替えるようになりました。
当初は「更衣(こうい)」といいましたが、
「更衣」という言葉が、女官の役職名に用いられるようになったため、
「衣更え(衣替え)」と呼ばれるようになりました。
江戸時代になると着物の種類が増え、気候に合わせて年に4回の衣替えが、
武家社会で定められ、庶民にも広がっていきました。
やがて明治時代に、洋服が取り入れられると、
役人や軍人などが制服を着るようになり、暦も新暦に変わったため、
夏服と冬服を年に2回替えるようになりました。
この衣替えの意識が学校や家庭にも浸透し、現在に至っています。
▷衣替えはいつ?衣替えの由来と深い意味・時期・コツ
毎年6月の第3日曜日【父の日】……2024年は6月16日
毎年、6月の第3日曜日は「父の日」。
アメリカでは「母の日」制定の約60年後、国民の休日に。
母の日はカーネーション、父の日のシンボルは・・・?
父の日は、アメリカのワシントン州に住むソノラ・スマート・ドッドによって
提唱されたことが始まりだといわれています。
ドッドの父、ウイリアム・ジャクソン・スマート氏は、南北戦争(1861年~1865年)復員後、
父不在の家庭を支えた過労によって、この世を去ってしまった母の代わりに、
戦後の大変な時代の中、残された男5人、女1人の6人の子を、男手ひとつで立派に育てあげました。
そんな父の姿を見て育った末っ子ドッドが、1909年に父を称えて「父の日」を提唱し、
父の誕生月にあたる6月に、父の日の式典が開催されるようになりました。
その後、6月の第3日曜日が「父の日」となり、1972年にアメリカの正式な記念日となりました。
「母の日」がカーネーションだったように、父の日にはバラを贈りました。
ドッドが父親の好きだったバラを選び、白いバラを父のお墓に供えたことに由来します。
日本では、1980代に父の日が国民的イベントとなっていき、
「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」などの活動を行う
『FDC 日本ファーザーズ・デイ委員会』が提唱する「黄色」を父の日カラーとするところが増えました。
古来、イギリスでは「黄色」は身を守るための色とされ、
アメリカで「黄色いリボン」は「愛する人の無事を願うもの」のシンボルとなりました。
花に関していえば、黄色いバラやヒマワリのほか、白いバラ、白いユリなども支持されているようです。
▷父の日の由来、バラの花や黄色がシンボルの理由
6月21日【夏至の日】
夏至は「一年で最も日が長い日」として、おなじみです
北半球においては、一年で最も太陽の位置が高くなるので、
日が昇ってから沈むまでの時間が長く「一年で最も日が長い日」としておなじみです。
夏至は二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつ。
二十四節気は期間のため、「夏至(二十四節気の第10)」は、
「小暑(二十四節気の第11)」までの期間を指し、毎年6月21日頃~7月7日頃にあたります。
しかし、その節気に入る日を指すこともあり、
特に夏至の場合、一般的には「一年で最も昼の時間が長い日」として捉えることが多いです。
夏至は、立夏と立秋のちょうど真ん中にあたります。
梅雨の最中の地域が多いのですが、「夏に至る」と書くように、この頃から夏の盛りに向かっていきます。
▷2024年の夏至はいつ?冬至と夏至の関係、食べ物などを解説
昔は「芒種」の時期に米の種をまいていました
芒種の「芒」は、稲穂や麦穂など、イネ科の植物の穂先にある細い毛のような部分を指します。
「芒」は訓読みで「のぎ」と読み、漢字の禾(のぎ)偏と同じ意味です。
「芒種」は、米や麦など穂の出る穀物の種をまく時期という意味で、
とくに米の種まきを指しています。
日本では、水田に直接種をまかず、苗代で育ててから田植えをする方法を受け継いでおり、
米は寒冷に弱い性質をもっていたため、この「芒種」の時期に種をまいていました。
品種改良の進んだ現在は、米の種まきは「芒種」より、もっと早くから行われています。
▷二十四節気「芒種」とは?いつ?読み方や意味・七十二候・過ごし方を解説
6月30日【夏越の祓】
「夏越の祓」は、「茅の輪くぐり」ともいわれています
神社の境内で、茅(ちがや)という草を編んでつくられた茅の輪(ちのわ)をくぐって
罪や穢(けが)れを落とすため、「茅の輪くぐり」とも呼ばれています。
古来、日々生活していると、さまざまな罪や穢れが生じると考えられていました。
そこで、茅の輪や形代(かたしろ)などで、
罪や穢れを祓う大祓(おおはらえ)を行うようになりました。
6月末に行われるものが「夏越の祓」(夏越大祓)、
12月末に行うものを「年越の祓」(年越大祓)といいます。
つまり「夏越の祓」は、今年前半の穢れを祓って、無事に過ごせたことに感謝し、
後半も元気に過ごせるよう祈る行事。
昔から夏の風物詩になっているため、
茅の輪をみると、今年も半分過ぎるのかと感じる方も多いでしょう。
茅の輪くぐりは、日本神話に基づいているといわれています。
昔、一人の旅人が、ある兄弟に一夜の宿を乞いました。
弟は裕福であるにもかかわらず、旅人を冷たく断りましたが、
兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は貧しいながらも、手厚く旅人をもてなしました。
この旅人は、実は武塔神(むとうしん、スサノオノミコトと同一視されている)で、
蘇民将来へ災厄を祓う茅の輪を授けました。
蘇民将来は、武塔神の教えに従い茅の輪を腰に付けたところ、
疫病から逃れられ、子々孫々まで繁栄したということです。
この話に基づき、夏越の祓には、茅の輪くぐりをしたり、
家の玄関に蘇民将来のおふだをつけたりするようになりました。
▷夏越の祓に茅の輪くぐりを楽しむ!由来・意味やくぐり方の作法
6月といえば梅雨、6月10日は雑節の「入梅」
梅雨は、日本(北海道と小笠原諸島を除く)だけでなく、中国や韓国など東アジアの地域にみられます
10年ごとの更新により、2021年5月19日に、
各地の梅雨入り・梅雨明けの新しい平年値が更新されました。
2031年まで使用される新平年値では、梅雨入り・梅雨明けの時期については大きな変化はなく、
関東甲信地方では、6月7日頃が梅雨入りの目安とされています。
梅雨入りに似た言葉に、「入梅(にゅうばい)」があります。
入梅は、梅雨入りと同じように使いますが、じつは暦には「入梅」という雑節があります。
雑節とは、季節の移り変わりを把握するためのもので、
「節分」、「彼岸」、「八十八夜」などは馴染みのある言葉でしょう。
雑節の「入梅」は、現在は太陽黄経が80度に達した日を指しますが、
以前は立春から数えて135日目、さらに昔の暦では、
芒種のあとの最初の「壬(みずのえ)の日」とされていました。
実際の梅雨入りとは異なりますが、農作業の目安として重要視されてきました。
2024年の雑節の入梅は6月10日です。
▷梅雨入り・梅雨明けの時期・入梅との違い・新平年値、梅仕事・湿気対策に役立つ知恵
6月の花嫁は幸せになれる「ジューンブライド」
「ジューンブライド(June bride)」は、「6月(June)の花嫁(Bride)」という意味。「6月に結婚した花嫁は幸せになれる」という言い伝えがあり、6月に結婚するカップルがたくさんいます。
ジューンブライドの起源は、西洋にあります。
由来は諸説ありますが最も有名なのは、ローマ神話の主神ユーピテル(Jupiter。英語読みでジュピター)の妻で、
女性の結婚生活を守護するユノ(Juno。英語読みでジュノ)が6月を守っているからというもの。
ユーノーは、女性の守護神であり、結婚や出産を司る最高位の女神。
その女神が守っている6月に結婚した花嫁は、
生涯幸せな結婚生活を送ることができるとされたのです。
なお、6月を英語で「June」というのも、6月を守る女神「Juno」に由来します。
その他、かつてヨーロッパでは、農業の繁忙期である3~5月は結婚が禁じられ、
解禁となる6月は特別だったから、梅雨のないヨーロッパは、
気候のいい6月が結婚のベストシーズンだから、などの説があります。
日本では、梅雨の時期にあたりますが、1960年代後半あたりから、
ホテル業界やブライダル業界がジューンブライドをPRするようになり、
ジューンブライドに憧れる花嫁が増えて広がりました。
6月といえば? 6月の行事食・食べ物
●6月および夏越しの祓:水無月「水無月(みなづき)」は、6月の和菓子として親しまれ、暑気払いになるといわれています。
とくに夏越しの祓の頃に食べると、無病息災で過ごせるとされています。
その昔、宮中では6月1日に「氷の節句」を行い、
氷室に貯蔵された冬の氷を取り寄せて、口にすることで、夏を無事に乗り切ろうと祈願しました。
庶民にとって氷は高嶺の花だったため、削り立ての鋭い氷に見立てた生地に、
邪気を払う小豆をのせたお菓子を作り、6月を意味する「水無月」と名付けたのです。
▷夏越の祓について
●夏至:小麦餅(半夏生餅)、タコ
夏至は一年で最も昼の時間が長い日のため、太陽の力が最大になると考えられ、
豊作を祈願するようになりました。
そこで、夏至から11日目の「半夏生(はんげしょう)」までに、田植えをする習わしができ、
田植えが終わると小麦餅を作って、田の神様に供えるようになりました。
関西では、この小麦餅を「半夏生餅(はんげしょうもち)」といいます。
また、関西には、稲の根がタコの足のように強く深く広く根付いて欲しいと願い、
タコを食べる風習があります。
そのほかにも、半夏生さば、うどん、イチジクの味噌田楽などを食べる地域があります。
▷夏至、夏至の食べ物について
●梅仕事:梅酒、梅干し、梅ジュースなど
「梅雨」や「入梅」というように、この時期は梅が実るため、
梅酒や梅干し、梅ジュース作りなどの「梅仕事」が欠かせませんでした。
昔から梅は、「三毒(食べものの毒・血液の毒・水の毒)」を断つといわれる健康食です。
また、梅干し作りに使う赤じそも旬のため、しそジュース作りも楽しいものです。
●梅雨対策:薬味や酢など
梅雨の食中毒対策として、食あたりを防ぐ役目のあるみょうが、
しょうが、わさび、大葉などの薬味を活用したり、
お弁当やおにぎりを酢飯にしたりするのは、昔ながらの知恵です。
まな板に緑茶をかければ、消臭・抗菌作用でスッキリするでしょう。
▷梅雨について
一年の中で唯一、国民の祝日がなく、梅雨のイメージが強い6月ですが、
昔から親しまれてきた伝統的な行事や6月ならではの風物詩がたくさんありますね。・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
今回、 多岐に及び、具体的に多彩な風物詩や行事食など多々学んだりした・・。
そして6月の日々の中、散策をしたりする中で、一期一会のような情景にときめきを感じたり、
めぐり逢えた寸景に感謝しながら、過ごすと思われる。