金曜日、有紀さんがいつものように午後7時前に学校から帰ってきました。
彼女が食卓についた時、いつものように私が変わったことはなかったかと訊ねると、ちょっと言いかけて、すぐ言葉を濁しました。言い淀むには有紀さんらしい理由がありました。
佐々中では、応援団各組のスローガンを校舎の3階の運動場に面した教室の窓ガラスに張り出す伝統があります。その文字を作成するのが一苦労ですが、きょうある先生に職員室に呼び出されたそうです。駆けつけてみると担任も一緒でした。窓ガラスに貼る文字をコンピュータで拡大してやるからとのこと、ただしその先生のクラスの生徒には内緒にしておくようにと口止めをされたと言います。
その先生は、3年生の別のクラスの担任でコンピュータ操作に詳しい方なのです。
その話を帰宅後女房どのとくるみさんに話したら、ひいきされていると言われたそうです。
女房どのとくるみさんに限らず一般的に、このような場合、「ひいき」する・されるというのでしょう。その意識があったからこそ先生も口止めをしたのでしょう。また有紀さんもそう感じたのでしょう。だからストレートに私に話せなかったのです。
詳しいことの経緯は分かりませんが、口止めするところに大人・教師側の「ひいき」する・される意識の顕在化がみてとれます。少なくとも、ひいきすることがよくないという立場であれば、堂々と作ってやる必要があるでしょう。
2004年5月1日(土)記No.203