たまたま入った喫茶店で焙煎間もないコーヒーを飲み、そのあまりの美味さに感動した若者が、それまで勤めていた自衛隊を辞め、自家焙煎のコーヒー屋を開業するに至ったという話を聞いたのがきっかけだった。
もうひと月以上前のことになる。近くでコーヒー豆の焙煎をやっている店はないかとネットで探すと佐世保市内で3軒の店がヒットした。その中から、黒髪町にある「Tanaka Coffee」を女房どのと訪ねた。
大塔インターで降り、愛車コペンのナビに従い山手の方に進むと間も無く、猫山ダム湖畔に目指す店はあった。
米屋の倉庫の一角を簡単に改装した小屋のような店だった。米屋の息子が父親に頼み込んで始めたコーヒー屋なんだろうと勝手に想像するくらい簡素な店だった。
店の前はダムで、その際に沿って桜並木が続いていた。すでに花の時期は過ぎ、葉桜となっていた。