今年は山関係の映画の当たり年で上映される作品が多い。今回は南米のパタゴニアにあるセロトーレという岩峰にフリークライミングでチャレンジする記録映画を観る。
パタゴニアといえば南米の最南端の地の果てともいえるところ。こんなところへ行くだけでも大変なのに何度も行って頂上を目指すクライマーの話。
チャレンジするのはシェルパ族の父を持つデビッド・ラマという若きクライマー。セロトーレは世界でも屈指の難易度を持つ岩峰で、かってイタリア人のクライマーがコンプレッサーを使ってボルトを何百本も打ち込んで頂上を目指したが成功せず、その方法が非難されたこともあった。デビッドはパートナーとともに最低限のビレーの道具以外は使わず素手で登ろうとするが1,2度目は失敗。3度目の挑戦で頂上を極める。
セロトーレの壁は雪もついているし条件が違うが、これまで観たことのある岩登りの映像で一番すごいと思ったのはアメリカのヨセミテにある垂直の岸壁ハーフドームに半パン、半ズボン姿のアレックス・オノルドという若者が命綱なしで腰にチョークバッグひとつだけを下げて登っていくもの。失敗イコール死という場面だが、いかにも軽々と楽しげに登っていく姿に思わず目を疑った。
セロトーレの場合、命綱はつけているわけだし、このハーフドームに比べればまだまだ、なぁんて無責任で不謹慎なことを思わず考えてしまったりする自分に呆れる。
とても登れそうにないと思われていた様々な頂を目指すクライマーの技術、能力、執念はすさまじく、その挑戦はまことに果てしない。