久しぶりの映画、「否定と肯定」を観る。法廷劇は結構好きでよく観るが今回はナチスのホローコースト否定論者アーヴィングとユダヤ人女性歴史学者リップシュタットの実際の裁判を元にして作品。
イギリス人歴史家アーヴィングはナチスのホローコーストを否定、強制収容所のガス室などなかったと主張。それに対して「ホローコーストの真実」という著書で真っ向から反論したリップシュタットはアーヴィングから名誉棄損で訴えられる。裁判はイギリスの王立裁判所で行われそこでは訴えられた方が証明しなければならないことになっている。
そこでリップシュタット側には優秀な弁護団が結成され、アウシュビッツでの実地検証を経て、緻密な弁護作戦が練られる。ともすると感情的になりやすい被告本人やユダヤ人生存者などの証言はあえて避け、弁護士のみが発言する異例の裁判となる。その過程でアーヴィングのユダヤ人や女性に対する差別主義があぶり出され、結果は被告側の勝利となる。歴史的事実を否定しても自分の主義主張を曲げない人に対しては冷静、緻密な事実の積み上げで論破するしかないという当たり前のの結果だった。
アーヴィングの主張は実際に犠牲になったユダヤ人にしてみたらとんでもない主張でその怒りは当然だが、イスラエル建国以来の中東での紛争で、アメリカをバックにしたイスラエルのやり方もなんだかなぁと思ってしまう。エルサレムを首都に認定したアメリカもこれからどうするつもりやら。