高校の学校登山から始まった山登りだが、初めは一人でというわけにはいかず人の尻について行っていた。しかしそれでは自分の行きたいところにはなかなか行けない。どうせ行くならやはり槍とか穂高に行かなくちゃと、初めて一人で行こうと思ったのが奥穂高岳だ。
とりあえず昭文社の登山地図を購入して眺めてみた。ルートはいくつかあって上高地から涸沢経由のルートが一般的のようだが新穂高温泉からロープウェイで上がり西穂高岳を経由するルートなら高度も稼げるし、上高地から行くより楽かもと思った。
実際にどんなところなのかまったくイメージもなく、なんとも無知なるが故の能天気な話である。
というわけで1990年8月、無謀な初めての単独行に勇躍出かけた。初日はロープウェイで千石平に上がり西穂高岳山荘に宿泊。ここまでは樹林帯でなんということもない。
翌日天気は上々、すでに樹林帯は抜けて、スカッとした稜線歩きの始まりである。丸山を過ぎ、西穂独標へ。ここからいったん下り本格的な岩稜歩きとなる。そうか穂高岳とはこういうところだったのかとこの時初めてわかったのだが、それほど怖いとも思わなかった。
いくつかのピークを越えて西穂高岳山頂到着。さらに先に進み、ジャンダルムが何たるかも知らずしゃにむに岩にかじりつく。さすがに馬の背と呼ばれるところでは怖くて立って歩けず跨って通過し、とにもかくにも奥穂高岳に登り切ったのだった。
ジャンダルム
奥穂高岳頂上にて
頂上からコルに下り、この日は穂高岳山荘に泊まる。あわよくば翌日は北穂を越えて南岳、槍ヶ岳へ足を延ばしてもいいかななどと思ったりしたのだが、翌朝泣きたくなるような事態が待っていた。
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