のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

マイボス・マイヒーロー/2001年韓国

2008年01月26日 23時28分59秒 | 映画鑑賞
3.マイボス・マイヒーロー/2001年韓国
■ストーリ
 組織暴力団の中間ボスが高等学校の卒業証書を取ってこいという
 ボスの命令で高校に裏口入学をしたことで起きるハプニングを描いた
 暴力団コメディー?

■感想 ☆
 大好きだったドラマ「マイボス・マイヒーロー」の本家本元韓国版が
 深夜に放映されていたため、録画。久々に「DVD録画の中の映画を
 どんどん鑑賞しちまいましょうキャンペーン」を実施することになり、
 (要は録画できる残量が少なくなってきたためです。録画すると
  ついつい、それだけで満足してしまって駄目ですねー。)
 ようやく鑑賞いたしました。

 「録画したのを見たよ!」という単純な(そして特に必要のない)
 説明を長々としてしまったのは、映画があまり好みのものではなかった
 からです。というよりは、予想していたものと違っていて、驚いた
 というのが正直な感想でしょうか。

 どうしても日本版「マイボス・マイヒーロー」のコミカルなイメージを
 捨てられないまま、映画を見てしまったため、リアルな暴力シーンに
 ついていくことができないまま、主人公に魅力を感じることなく
 見終わってしまいました。日本版はお茶の間で21時台に放送された
 ドラマということもあって、主人公が手下たちを怒る場面も
 口だけ、顔(表情)だけでの威嚇のみ。実際に殴る蹴る場面は
 そんなになかったように記憶しています。が、本家本元は違います。
 殴るける場面がてんこ盛り。リアルな描写でてんこ盛りです。
 場面場面にくすりと笑えるエピソードが挿入されており、
 カテゴリとしてはコメディだと思うのですが、それでも暴力シーンの多さに
 コメディ部分がかき消されてしまっているような印象を受けました。

 終わり方も日本版のほうが前向きでさわやかです。
 日本版のラストは学ぶことに楽しさを見出した主人公が改めて高校に
 通いなおすことを決意し、登校する場面で終わります。
 オリジナル版は高校を卒業した主人公にボスが大学に通うことを命じ
 主人公が「げ。」と嫌がる場面で終わるのです。
 最後の最後でコメディに戻ってきた感じなのかな。

 主人公の立ち回りのうまさには見とれてしまったのですが
 暴力シーンはちょっぴり、いえ、かなり早送りしてしまいました。

本所しぐれ町物語/藤沢周平

2008年01月26日 23時25分58秒 | 読書歴
7.本所しぐれ町物語/藤沢周平
■ストーリ
 浮気に腹を立てて実家に帰ってしまった女房を連れ戻そうと思いながら
 また別の女に走ってしまう小間物屋。大酒飲みの父親の借金を、
 身売りして返済しようとする10歳の娘。女房としっくりいかず、
 はかない望みを抱いて20年ぶりに元の恋人に会うが、幻滅だけを
 感じてしまう油屋。一見平穏に暮らす人々の心に、起こっては消える
 小さな波紋、微妙な気持ちの揺れをしみじみ描く連作長編。

■感想 ☆☆☆*
 しぐれ町という架空の町を舞台に、その町の町民が織り成す
 日常と、そこで揺れ動く感情のひとかけらを見事に切り取って
 みせた作品。
 人間に対して、過度に期待していない作者の冷静な視点が見事。
 作者は終始、少し離れた視点で、登場人物たちの気持ちのゆれや
 気持ちの迷いを客観的に描き、その上で、人間が生きていくうえで
 必ず感じる孤独に対して、暖かい視線を向ける。

 どの作品も描きすぎることなく、見事に「切り取って」いる
 感じが心憎い。
 とりあえず、ここで登場人物たちの足取りを追うのは終わるけれども
 この後も彼らは一生懸命、泥臭く、時に馬鹿な過ちを繰り返しながら
 一歩一歩、幸せを求めて生きていくんだよ。物語は終わっても
 彼らの一生は終わってないんだよ。そんな作者の声が聞えてきそうな
 終わり方ばかり。また、私も読み終えた後、無意識のうちに
 彼らの「明日」に思いを馳せてしまう。それぐらい、しぐれ町の町民が
 身近な存在に思える話だった。