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アナと雪の女王/2014年米国

2014年03月23日 22時04分15秒 | 映画鑑賞
□アナと雪の女王/2014年米国

□吹替版 声の出演
神田沙也加、松たか子、ピエール瀧、原慎一郎、津田英佑

□ストーリ
触れたものを凍らせたり雪や氷を作る魔法の力を持って生まれたアレンデール王国の王女・エルサは、8歳のある夜、妹のアナと魔法で遊んでいるときに、はしゃぎすぎたアナを助けようとして自分の力を制御できず、彼女を傷付けてしまう。幸い、アナはトロールの力で回復したが、姉の魔法に関する記憶を失う。そして、エルサは魔法を制御するため、誰とも触れ合わず自分を抑えて生きることを強いられる。
10年後、二人は両親を海難事故で亡くし、成人したエルサは女王として即位することになる。しかし、即位式の後、アナとの口論から、思わず人々の前で魔法を暴発させてしまう。

□感想 ☆☆☆☆☆☆
アンデルセン童話「雪の女王」を原案としているものの、ディズニーらしく大幅に大胆に翻案されていました。見事だったなー。とにかく素敵な映画でした。見終えた後に「もう一度、見たい!」と強く思いました。サントラ盤を購入しなければ。

見ている間中、ひたすらに思ったことは、すぐ近くにいる人たちに「助けて」と言うことの大切さ。「助けて」と言うことさえできれば、たいていのことは乗り越えられるし、解決できるかもしれない。そう思える映画でした。
けれど、同時に、素直に「助けて」と伝えることはとても難しいことなんだろうな、ということをひしひしと感じた作品でもありました。

自分の力が制御できずに大好きな妹を傷つけてしまったエルサが、人と関わることに対して臆病になってしまうことにも、妹が大好きだからこそ、妹を傷つけたくなくて、妹を遠ざけてしまうことにもすごく共感できてしまう。自分でも制御できない魔法について、唯一、知ってくれていた両親すら亡くしてしまい、ひとりで秘密を抱え続けるエルサの恐怖も、すごくすごくよく分かる。だから、暴走してしまった自分の力故に「山奥でひとりで生きていくこと」「人と関わらずに生きていくこと」を決意するエルサを辛い気持ちで見守り続けました。大好きな自分の国と大好きな妹に背中を向ける。大好きだからこそ、遠ざける。

けれど、どんなに逃げようとも、どんなに遠ざけようとも、所詮、人はひとりでは生きていけないのです。どうしようもなく人と関わりあってしまう。山奥に逃げたはずのエルサの魔法は国全体に影響し、国中を冬に変えてしまう。遠ざけたはずの妹も、迷うことなく姉を追いかけてくれる。どんなに遠ざけても遠ざけても「遊ぼう」「一緒に過ごそう」「扉を開けて」とノックし続けるアナの存在は、きっとエルサにとって、「また傷つけてしまうかもしれない」という恐怖の対象であり、「魔法を持たないごくごく普通の女性」だからこそ、コンプレックスの対象でもあり、そして同時に大きな救いでもあったんだろうな、と思いました。

映画のテーマは「自己犠牲」。
エルサを救ったのはアナの無償の愛。そして、アナを救ったのもエルサの無償の愛。
「無償の愛」という言葉を安易に使ってしまうと、とても空々しいけれど、それは雪だるまの妖精、オラフ曰く「誰かのことを自分以上に大切に思う気持ち」、「自分よりも相手を大切にする気持ち」と、とてもシンプルな構造で、きっと誰の心の中にもきちんと存在している感情。
その感情をこの映画では、「男女」の関係においてではなく、姉妹の絆によって見せてくれたので、「嘘っぽい」などと思うことなく、とても素直に受け取ることができました。

吹替版では、とにかく松さん、神田さんの演技がとても素晴らしく、ひたすらに魅了され続けました。特に松さんの「自分らしく生きていく」という決意を込めて歌う主題歌は力強く、このままずっと聴き続けたいと思わせられる名曲でした。「圧巻」という形容以外、何も思い浮かびません。
彼女の歌声が力強ければ力強いほど、その裏に隠れている「助けて」という悲痛な叫びや彼女の抱き続けていた孤独も浮かび上がってきた気がします。あんなにも心が痛くなる歌声はめったにないと思う。