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五右衛門ロックⅢ/劇団新感線

2014年03月30日 23時21分42秒 | 舞台(キャラメルボックス)
□五右衛門ロックⅢ/劇団新感線
□ストーリ
太閤秀吉、栄華の時代。
天下無敵の大泥棒、石川五右衛門(古田新太)は、女盗賊の猫の目お銀(蒼井優)とつるみ、空海ゆかりの「黄金目玉像」という仏像を盗み出そうとするが、若き探偵「明智心九郎(しんくろう)(三浦春馬)に追いつめられてしまう。その仏像にはなんと空海が隠した黄金のありかを示す暗号が隠されているらしい。
その黄金のありかをめぐって、五右衛門の周りには曲者たちが大集合してくる。さあ、どうなる?!五右衛門!

□キャスト
古田新太、三浦春馬、蒼井 優、浦井健治、高橋由美子、橋本じゅん、粟根まこと、高田聖子、村井國夫、麿 赤兒

□感想 ☆☆☆☆☆
久々の新感線!久々の舞台!(を映画で見たわけですが。)に大興奮の3時間でした。
3時間と長丁場だったのに、あっという間に終わってしまいました。とにかく面白かった!
途中、彼らの活躍があまりに面白くて、あまりにかっこよくて、アドレナリンが放出され過ぎ、まったく笑う場面でもなんでもないのに、ひたすら笑顔で見守ってしまいました。それぐらいどの登場人物も「大好き!」という親近感が湧いてくる魅力的な人たちでした。

第三作目の五右衛門ロック。
残念ながら第二作目は、見逃してしまっているのですが、第三作目を見る限り、この作品、回を重ねるごとにお祭り騒ぎがパワーアップしてきてるんだろうな、という印象でした。初めて「五右衛門ロック」を見たとき、「井上歌舞伎」の様式美とかっこよさ、そして迫力あふれるステージ展開と音楽に身震いしたものですが、それらがどれもますます進化している感じ。歌もダンスも笑いもシリアスもどれもこれもお腹いっぱい楽しみました。幸せ!!

なんといっても主役の古田さん。
彼の身のこなしのかっこよさ、滑舌の良さとその迫力、あふれる色気は舞台ならでは。こんなにかっこいい人なんですよー!と誰彼かまわず自慢したくなります。第一作目と比べると、セリフなどは本人がいうところの「若者に見せ場を譲るのが大人の役目なの」ということで、若干、少なめでしたが、それでも押さえるところは押さえて、一番、かっこいいところを持って行く感じはさすがでした。第二幕のクライマックスで、スモークがんがんたいてかっこよく登場する場面は鳥肌立ちました。かっこいいにも程がある。
いっちばん好きだったのは、盟友、前田慶次郎を演じた橋本じゅんちゃんとお馬鹿でキュートなシャルル王子を演じた浦井さん、とぼけた演技で実は一番の黒幕だったんじゃ?と思わせられる春来尼を演じた高橋由美子さん、この4人が初めて遭遇した時のミュージカル場面。芸達者さんが4名そろってパワフルに歌い上げる場面は圧巻でした。また振付がセクシーだった!
何より!あの橋本じゅんちゃんと「盟友」で、仲良くつるんでないのに仲の良さがひしひしと伝わってくるところとか、お互いの生き方、生きざまを分かり合って、認め合っているところとか、そういう二人の関係にきゅんきゅんとしてしまいました。よかったなー。二人の友情。
あとは、お馬鹿でキュートなシャルル王子のあしらい方がなんというか実に的確で、ときめきました。素敵すぎる。

何を演じても自分色に役柄を染めてしまう橋本じゅんちゃんは今回、実にまっとうに素敵で裏のないまっすぐかっこいいじゅんちゃんでした。「所詮は傾奇者よ。」と偽悪ぶりながらも、まっとうに「国の未来」を案じ、秀吉に従うしかない家来や町民たち、「下の者たちのいのち」を大切にしている。そんな素敵な殿方をかっこよく演じていました。
彼に関しては、幼馴染のような存在の「石川五右衛門」との関係に最もときめきながら見ていましたが、豊臣秀吉の家臣としての盟友、石田光成との友情もときめきポイントでした。真面目な堅物、石田光成と傾奇者の前田慶次郎。一見、正反対なのに民を思う心、殿に従いゆく様は同じで、そのことをお互いに分かり合っているし、信頼もしている。その関係性が素敵だったなー。また、その堅物石田光成を演じていた粟根さんが「コメディ」部分は一切排していて、素敵にかっこよかったのです。家臣として「最後まで」秀吉に付き合う、と言い切る姿は、彼のその後を考えると、胸が痛くなる宣言でした。

後は、今回のゲスト、春馬さん、蒼井優ちゃん、浦井健治君!どの子もめちゃんこかわいかった!
特にシャルル王子を演じた浦井君はお馬鹿っぷりが果てしなくて、とてつもなくキュートでした。もーね、楽しんで演じてるなー、楽しいんだろうなぁ、と思いながらほほえましく見守っていましたが、終演後の舞台挨拶でも天然さんぶりとぽんこつぶりをあますところなく発揮していて、「お馬鹿でキュートなところは、演じてたわけじゃなかったんだ!素だったんだ!!」と微笑ましさに拍車がかかりました。かわいいにも程がある!「新感線さんの舞台が大好きなんで、演じていて楽しくて仕方がなかった」とも言っていましたが、本当に「楽しく演じている」様子がひしひしと伝わってきました。
春馬さんは安定のかっこよさ。今回、一番セリフが多く、激しいダンスシーンが多く、殺陣での見せ場も多く、と活躍続きの大変そうな役柄でしたが、それをどれもこれも颯爽と演じていて、プロだなぁ、と感嘆させられました。魅せられました。今まであまり彼の「かっこよさ」に注目したことがなかったのですが、初めて「たたずまいも身のこなしもかっこいい人だったんだなぁ」と認識しました。その上、歌もうまいなんて、天は二物も三物も与えすぎちゃってますよ!と心配になるレベル。ずるいなぁ。
でもって!!なんといっても蒼井優ちゃん!かわいいのにかっこよい。くるくるくるくるキュートに表情が変わって、小悪魔みたいに私たちをキュートなダンスで翻弄したかと思うと、すごく素直に春馬君演じる明智さんへの恋心を表情に醸し出して切ない気持ちを味あわせてくれて、かと思えば蓮っ葉な声で「どうせ泥棒稼業をしていた身。まっとうに死ねるなんて思っちゃいなかった!」なんて迫力満点に言い切ってみせたり。いろんな表情、声色、歌声を使い分けていて、その魅力を改めて認識しなおしました。舞台上での存在感がとてつもなかったです。でも、その中で最も心に残ったのは、弱っている春馬君に「素直に生きるのが一番。笑い時は笑って。怒りたいときは怒って。泣きたいときは泣いて。きっとそんな人に神様は味方してくれる。私も一緒に笑うよ。泣きたかったら肩を貸すよ。」と歌いかける場面でした。今までの蓮っ葉な盗賊仕様の声がウソのように素直なかわいらしい声で歌い上げる蒼井優さんはとてつもなくかわいらしい、女の子らしい女の子で、役者さんってすごいなぁ、と心底感嘆しました。

語り出したら止まらないぐらいどの登場人物も魅力的。悪人も悪人らしくかっこよく、実に魅力的でした。
けれど、別格の存在感を醸し出していたのは、秀吉だったかな。彼が最後の最後に見せた底知れない虚無感、孤独は、この舞台を「単なるコメディ」ではないものにしてくれていた気がします。

とにかく面白かった!また見たいなぁ。
九州ではなかなか舞台作品を見る機会がないので、ぜひもっともっといろんな作品を企画してほしいです。