旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

鬼と羆と赤ちょうちんと 函館市電を完乗!

2020-01-03 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 北海道初の路面電車として走り出してから既に100余年の貫録、函館市電で往く。
なにもこんな雪の時季に訪れなくても良さそうなものだけど、ついでがあって函館滞在。
まずは湯の川電停から2系統の連節車で谷地頭をめざす。

海渡る強風が吹き抜ける函館は、吹雪いたかと思うと雲が切れ青空が覗いたりする。
けれども五稜郭タワーに上った数十分は、横殴りの雪で完全にホワイトアウト。残念。

五稜郭公園電停から函館駅を経て十字街電停へ。
この辺りから埠頭方面に向かうと、お馴染みの金森赤レンガ倉庫群を観ることができる。

十字街電停の分岐を南に折れると宝来・谷地頭線、ほどなく終点谷地頭で行き止まる。

ここから立待岬までは1kmなのだが、頬打つ雪に断念する。
代わりに市民の憩いの場・谷地頭温泉へ。鉄分を含んだ茶褐色の掛け流しが気持ち良い。

 十字街電停に戻って今度は5系統、2000系Coca-Cola電車の赤が雪に浸みる。
一つ目の末広町電停を下車して基坂を上ると旧イギリス領事館そして旧函館区公会堂。
残念ながら白いシートに囲まれ修理中、オフシーズンだからしょうがないね。

大三坂を巡って函館ハリストス正教会、カトリック函館元町協会、尖塔が雪空を突く。

いつしか軌道の左右は住宅街に変わり、函館どつく前電停に甲高いブレーキ音を響かせる。
ここから旧ロシア領事館や外人墓地が程近いのだけれど、この天候ではね。

 

 大衆居酒屋「魚さんこ」のちょうちんと暖簾が赤々と、暖かいよ、寄ってけよと誘う。
「鬼をも殺す」超辛口酒は、國稀 "北海鬼ころし"、芳醇な香りでキリッとした口当りの酒。

刺身を盛ってもらった、にしん、ほっけ、青つぶ、まぐろ、北の海の味満載でしょう。
"北あかりのジャガバター" がホクホクと、バターで味わったら、後半は塩辛をのせて。

鬼を退治したら北の誉の "北海羆"、道産米の純米酒が北海道の料理に合わない訳はない。
〆はお茶漬け、たらこをのせて。温まるね。
雪景色と北の酒肴を堪能して函館の夜、明日は残した課題を提出に札幌に足を延ばす。

函館市企業局 2系統 湯の川~谷地頭 9.2km
       5系統 十字街~函館どつく前 1.5km 完乗

 

恋 / 松山千春 1980