旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

空はあっぱれ、そばっ晴° 東海道本線(羽沢線)を完乗!

2021-03-20 | 呑み鉄放浪記

 間近に電車をみて大はしゃぎの男の子、小さな手を握りしめる若いお父さん。
休日の午前中、せがまれて電車でおでかけの親子連れ、微笑ましい風景に出くわしたのは武蔵小杉。
呑み潰したはずの東海道本線(貨物線)に新たな旅客路線が誕生したのは2019年11月30日のこと。
今回は世間一般に相鉄・JR直通線と呼ばれるうち、鶴見~羽沢横浜国大のJR区間を乗って吞む。
もっとも鶴見にホームは設置されなかったから、電車には武蔵小杉から乗ることになる。
駅間16.6kmと長くも短い旅、埼京線から直通してエメラルドグリーンの帯の10両編成がやってきた。

ガタガタと分岐器を鳴らして横須賀線と湘南新宿ラインが走る東海道本線(品鶴線)から貨物線に渡る。
10両編成が武蔵小杉を出発して直ぐのことだ。タンク貨車やコンテナ車の脇をすり抜けるのが楽しい。
10分後、今度は水色のトラス橋で東海道本線と京浜東北線を跨いで複々々々線の賑やかな線路を往く。

起点の鶴見(列車は通過するが運賃計算上の分岐駅)を過ぎると東海道本線(羽沢線)は地下へ潜る。
生見尾トンネル、港北トンネルと続く長い暗闇から解放されて広がるJR貨物・横浜羽沢駅、終点は近い。

急な下り勾配で再び地下へ潜ると、建設中の相鉄・東急直通線(日吉~新横浜~西谷)と合流して羽沢横浜国大。
約3分の長めの停車でJR→相鉄への乗務員交代の儀式を終えると、互いの敬礼を合図に10両編成は滑り出した。
まるで鏡のような打ちっ放しの天井が新設駅を実感させる。ここから先は相鉄・新横浜線ってことになる。

長いエスカレーターを上がると開放感のある明るい駅舎、でも(申し訳ないけど)安普請な感じは否めないなぁ。
びゅんびゅん車が飛ばす環状2号線を目の前に、たった一軒の商店もない駅に日中降りる人は疎らだ。

 さて今宵はどこで?羽沢横浜国大には店は無さそうだし、若い街武蔵小杉では芸が無いし。
っで東海道本線(羽沢線)が地下に消える鶴見界隈をぶらぶらして、ご機嫌な店を見つけたのは京急生麦駅前。
お肴、お蕎麦、地酒の店「そばっ晴°」はカウンターのみ10席、身を捩ってご常連の間に腰掛けさせてもらう。

この "おさしみ盛合せ" が豪華で美しく新鮮で云うことなし。この一皿を求めて縄暖簾を潜る価値あり。
地酒は定番の他に日替わりで5~6銘柄の用意がある。先ずは "作 穂乃智" ご存知鈴鹿の酒だ。
生酒のようにフレッシュでやや辛、穏やかな香りの純米酒。トップの抜擢に間違いはなかったね。美味い。

続いて "庭のうぐいす 特別純米" を択ぶ。山口酒造所には4年前の今時分に訪ねたなぁ西鉄・甘木線に乗って。
フレッシュですっきりとした味わいに、なんとなく記憶が甦るね。筑紫平野をずいぶんと歩いたっけ。
"たぬき豆腐は" 時節柄お雛様の蒲鉾がアクセント、 ポン酢をかけたさっぱり奴に揚げ玉がカリカリと楽しい。

焼き物はタレと塩一対で一人前、レバーNGな吞み人としては "つくね" と "ねぎま" を焼いてもらう。
存在感のある濃赤のラベルは "MAGMA原始乃胎動"、鶴岡の栄光富士が赤磐雄町で醸す無濾過生原酒。
華やかな香、芳醇でしっとりした味わいの酒で〆る。少々量が過ぎてほろ酔いを超えちゃった生麦の宵だ。

東海道本線(羽沢線) 鶴見~羽沢横浜国大 8.8km 完乗

ヨコハマ・チーク / 近藤真彦 1981