旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

街の蕎麦処で桜香る地酒を

2021-03-30 | 日記・エッセイ・コラム

 枯山水に薄桜色が枝垂れて、古刹の老桜も満開を迎えました。
時世柄、桜花の下で一献など望むべくもなく、近所の蕎麦処でささやかな花見なのです。

灰色に櫻を散らした切り絵のような美しいラベルは "三千櫻 愛山80"。
膨らみのある優しい味わいの純米無濾過原酒は、岐阜県中津川市の小さな蔵の酒。
三千櫻酒造さんは昨秋、大雪山の麓北海道東川町に移り、酒造りを繋ぎました。
さては中津川の酒をいただくのは最後の一杯?土鍋の "青海苔どうふ" に合わせます。

"牡蠣天ぷら" は、すだちをたっぷり絞って、抹茶塩をちょんちょんとつけて美味。
灘の酒 "櫻正宗" は山田錦100%の本醸造、やや辛を人肌燗で、蕎麦前を気取ります。

〆は "おろしそば"、粗めの大根おろしに茹で海老がのって、ちょっと贅沢にズズっと。 
ちょい濃いめのツユで蕎麦湯を堪能したら、猪口に半分残った櫻正宗をキュッと吞む。
いやいやどうして、粋な花見に満足な弥生のつごもりなのです。

17才 / 河合奈保子 1981