太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

お試し

2013-10-15 20:58:45 | 日記
自分のことも、人のこともジャッジしないで今日を過ごそう。

このごろ、そう決めてから1日を始める。


無意識に過ごしていると、すべてのことをジャッジしていることに気づく。

あの人は、ああだからダメだ、嫌いだ。

これはこうだからいい。

あんなふうになりたくない。

そんなことの繰り返し。

自分にも、人にも、ものごとにも、善や光をみつけることができたら、

きっともっと穏やかに過ごせる。




不思議なもので、そう決めると、やってくるお試し問題のハードルがだんだん高くなってゆく。



最初の2,3日は調子がいい。

夫の母に対して自然に優しくなれたり、

出会う人すべての幸せを祈る気持ちになれたり、やればできるじゃん、と思ったりする。




とタカをくくっていたある日、ワンランク上のお試しがやってきた。


職場にやってきた、年配の日本人女性。

アシスタントマネージャーと知り合いらしいが、その日は彼女は休みだった。

「Mさん(アシスタントマネージャー)が、本を売ってというから持ってきたのに」

本の査定をしている間、ずーっと自慢話。

左右の指にはめている4つの指輪を見せて

「ね、これいいでしょう。ノードストローム(デパートの名前)で買ったのよ。お安いの。4000ドル(40万円)」

「はあ、素敵ですね」

一つずつ説明してくれたあと、

「もうね、ジュエリーに目がないのよ。私も娘も数え切れないほど持ってる。それに主人も好きでしょ?

勝手に買ってくれるのよね」

「宝石は残るからいいですよね」

「お金に糸目はつけないの。お安いものを身につけるぐらいなら、なにもつけないほうがいいと思わない?」

「はあ・・・」


査定の金額が出ると、自分はお金なんかいらないのだと言う。

寄付なのか聞くと、そういうわけでもないらしい。

「別にお金に困ってるわけじゃないし、はした金なんかいらない」

何かゴニョゴニョ言っていたが、結局お金を受け取ってもらった。

「これで何を買おうかしらね」

お昼時で、アラモアナには日本食もたくさんあるので

「何かおいしいものでも召し上がってください」と言うと

「ふん、こーーーーんなところで欲しいものなんかひとっつもありゃしない」



これは難易度の高いお題。

こういう人を目の当たりにして、ジャッジするな、なんて。

仕事だからニコニコしているけど、これが仕事じゃなかったら

「性格ブスのしわくちゃババア」と言ってやりたいところだ。



サングラスにはシャネルのマーク、バッグもどこかのブランドものなのだろう(私にはわからない)。

どんだけお金持ちかしらないが、口角は下がりきって「へ」の字になってしまっているし、

きっと幸せではないのだろう。

幸せな人は、見知らぬ他人に憎まれ口を言ったりしないのではなかろうか。



このお題で、善と光を見出すとしたら、そこしかない。

夫は愛人を作っていて外泊が多く、娘は都合のいいときしか寄ってこない。

寂しく女性週刊誌(女性セブンや女性自身が大好き)を読みながら、ひとりで食事を済ませている。

外にでて、誰かに自慢話をして、幸せを見せつけでもしなけりゃ気が治まらない。


性格ブスのしわくちゃババアの後姿を見ながら、そこまでストーリーを仕立てあげ、

「あの人にいいことがいっぱいありますように」と、取ってつけたようにつぶやいてみた。



「あの人、知り合い?おしゃべりだったね」

同僚が聞いた。

「かわいそうな人なんだよぉ」

「ふうん」



私は聖人じゃなく、思考より先に感情がわいて来る普通の人なので、

わかっていてもできないことだっていっぱいある。

そういう自分のこともまた、ジャッジしない、と決めたのだ。

明日は何があるのだろう。

過ぎたことはすっきり忘れて、また課題に取り組むとするか。






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