太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

愛の人

2014-01-01 20:40:21 | 人生で出会った人々
ハワイもようやく2014年になった。

あけましておめでとうございます。

ここは日本と違って、お正月は大きなイベントではないし、

私も晦日も大晦日も元旦の今日も、普通に仕事をしているから、お正月という気分じゃないけれど、

今朝はお雑煮を作って食べた。


元旦に仕事というと、昔、ローカルのテレビ局で働いていた頃を思い出す。

テレビに休みはないから、元旦といえども関係なく出勤する。

元旦のお昼は、社員食堂でお雑煮やおせち料理っぽいものを出してくれた。

みんなが休んでいる時に仕事をするのは、非日常感があって、ちょっとわくわくしたのを覚えている。



2014年の最初の記事に、愛の人の話を書いてみようと思う。


年も押し詰まったクリスマス前後だったろうか。

日系と思われる男性が、母親と一緒に本を買いに来た。

「空手の本はありますか」

その人は小柄で、顔つきやしぐさで、なにかの障害があって一目でどこか他の人と違うことがわかる。

母親の年齢からすると、20代後半ぐらいだろうか。

ちょうど彼が欲しいような空手の本があった。

「これはいい、これはいいよ、Super!」


彼はその本を買い、帰り際に私に向けて両手を広げた。

私は吸い込まれるように、ハグをして、驚いてしまった。


ハートとハートが重なった瞬間、 ドッカン!!!! っとものすごいエネルギーが流れてきたのだ。

それは胸から入って背中に突き抜けるぐらいの勢いだった。


1秒ぐらいだったけれど、私はあれが何だったのか確かめたくて、もう1度ハグをしてみた。


やっぱり同じエネルギーが流れてきて、今度は足先から頭のてっぺんまでグルグルと回り始めた。



ハグをやめると、少しだけ余韻を残したあと、煙のように消えてしまう。



「ハッピークリスマス」

彼はにこにこと笑ってそう言うと、顎を手のひらでこすって、投げキッスのように私に向かって投げた。

それが何かわからなかったけど、私も同じようにして返した。

いったん店を出かけて、戻ってきた彼が、ポケットから何かを出して私によこした。

それはヨレヨレになった、赤と緑と黄土色の折り紙の鶴だった。




あのエネルギーはなんだったんだろう、と思う時、思いつくのはひとつしかない。




条件つきの愛とか、都合のいい愛ならいろいろ知っているけれども、この年になっても、

ほんとうの愛が何か、知っているとは胸を張っていえないでいる。

だけど、あれは「愛」なんじゃないだろうか、と思う。

私よりも小さいあの身体に、想像をこえるほどの愛が詰まっているのだと思う。

その「愛」に触れて、私は圧倒されたのだ。



3つの折鶴は、私の大事なものになった。

その人が鶴を折っているのを想像すると、胸が詰まってくるような感じがする。

もう一度、愛の人に会いたい。







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