太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

バス代15円

2014-01-09 07:30:55 | 日記
人の話の中で、

「あの頃はラーメン1杯が100円だった」とか

「映画がいくらで観られた」とかいう話題になると、私は途端に無口になる。

大抵の場合、それは彼らの青春時代のことで、大学時代から社会人になりたてぐらいの頃の話であることが多いのだが、

私はまるっきり、私のその時代のものの値段を覚えていない。

まあ、覚えていないのはものの値段ばかりじゃなく、ゴッソリと記憶が消えている部分が多く、

私は一体何をして、何を考えて生きていたのか思い出せない。


そんな私が覚えているのは、遥か昔、まだ小学校低学年の頃、

バスが15円で、駄菓子屋のクッピーラムネが5円だったことだ。

私の家の近くを走るバスは循環バスで、女性の車掌さんがいた。

あるとき、私は一人でバス代15円を持ってバスに乗った。

母は仕事と、姉の入院する病院で忙しく、祖母も何か用事があったのか、

その時の状況の詳しいことは覚えていないが、とにかく私は一人でバスに乗り、

ぐるぐると何週かしたのだと思う。

何週目かで、祖母が停留所に迎えに来てくれた。

循環バスに子守をさせるとは、なんとも物騒な話だけれど、車掌さんがいたから、

話がついていたのかもしれない。

いずれにしても、のどかな時代ではあった。


クッピーラムネは数年前まで見かけた。

30円か、50円だったか。

クッピーラムネの中の、ピンクのイチゴ味は特別だ。

他の色と何度も食べ比べてみて、やっぱり一番美味しいと確信した。

だからイチゴ味が多いのを選びたくて、中身を透かしてみたり、

店先でいつまでも決めかねていた。


バス代の話をしても、誰もそんな子供の頃のことは覚えていない。

私だって、どうしてそんなことを覚えているのか、

どうしてもっと最近のことを忘れたのかわからない。

ただ祖母が晩年、痴呆症になった時、大人になってからのことはすっかり忘れて

子供の頃のことばかり覚えていたのを思い出して、非常に複雑な気分になるのである。




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