平日の朝、先に出かけた夫から電話がきた。
「財布がないんだけど、その辺にある?」
ベッドの上にちゃんとあった。
「あればいいや。今日は財布使わないし」
そう言って電話を切った。
ランチはもっているから、お金は使わなくても済むかもしれないけれど、
財布には免許証も入っていることだし、もし何かあったら困るだろう。
そう思いだすと、そういうときに限って、財布が必要なことが起こるんじゃないか
という気がしてくる。
今すぐ家を出れば、夫の職場に寄ってもなんとか仕事には間に合うだろう。
善は急げ!
私は夫の財布を持って、家を出た。
ベッドの上に置いたまま忘れるなんて、バカだねー、まったく世話の焼けるやつ。
職場に近くなったら信号待ちのときに夫に電話して、ドアの外まで出てきてもらうか。
と思いつつ、ふとバッグの中を見ると 携帯電話がないッ!
夫の電話を受けたあと、どこかに置いてそのまま忘れてきたのだ。
家を出てから20分以上経過。
今更戻れないし、とりあえずこのまま向かって、公衆電話を探そう。
夫の職場近辺で公衆電話を探したけれど、不案内な場所でもあるし、なかなか見つからない。
そうこうしているうちに時間はどんどん過ぎてゆく。
職場の裏口しか知らないので、そこから入って、誰かに取次ぎを頼むのはどうだろう。
ああもうそれしかない。
裏口に着いて、ドアを開けようとしたらロックされている。
そういえば、夫はいつもここの鍵を持っていたんだった。
仕事は既に始まっているから、出勤してくる人もいないだろうし、さあどうしよう。
私の車の横で、ふたりのおじさんが車のボンネットをあけて何やらやっている。
こうなったら方法はただ一つ。
「すみません、電話をちょっと貸していただきたいんですけど・・・」
一人のおじさんが振り向く。
「電話?」
「夫がこの建物で働いているんだけど、財布を忘れてしまって。持ってきたはいいけど、今度は私が電話を忘れたんです」
おじさんは私の説明を聞いて
「オッケイ、どうぞ」
といって電話を手渡してくれた。
夫と私の電話番号は、数字が一つ違うだけで覚えやすくて助かった。
でも舞い上がっているから、最初に自分の携帯に電話をかけてしまったけど。
何も知らない夫が電話に出た。
「私!財布、ある。電話、忘れた、人に借りた。ドアの外、待っている!」
まるで電報のような英語を並べ立てて電話を切った。
緊急時は文法なんかどうだっていいのだ。
しばらくして夫が出てきて、財布は無事に渡すことができた。
日本にいたときだって、見知らぬ人に電話を借りたことなんかなかった。
親切なおじさんに感謝。
朝から冷や汗。
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「財布がないんだけど、その辺にある?」
ベッドの上にちゃんとあった。
「あればいいや。今日は財布使わないし」
そう言って電話を切った。
ランチはもっているから、お金は使わなくても済むかもしれないけれど、
財布には免許証も入っていることだし、もし何かあったら困るだろう。
そう思いだすと、そういうときに限って、財布が必要なことが起こるんじゃないか
という気がしてくる。
今すぐ家を出れば、夫の職場に寄ってもなんとか仕事には間に合うだろう。
善は急げ!
私は夫の財布を持って、家を出た。
ベッドの上に置いたまま忘れるなんて、バカだねー、まったく世話の焼けるやつ。
職場に近くなったら信号待ちのときに夫に電話して、ドアの外まで出てきてもらうか。
と思いつつ、ふとバッグの中を見ると 携帯電話がないッ!
夫の電話を受けたあと、どこかに置いてそのまま忘れてきたのだ。
家を出てから20分以上経過。
今更戻れないし、とりあえずこのまま向かって、公衆電話を探そう。
夫の職場近辺で公衆電話を探したけれど、不案内な場所でもあるし、なかなか見つからない。
そうこうしているうちに時間はどんどん過ぎてゆく。
職場の裏口しか知らないので、そこから入って、誰かに取次ぎを頼むのはどうだろう。
ああもうそれしかない。
裏口に着いて、ドアを開けようとしたらロックされている。
そういえば、夫はいつもここの鍵を持っていたんだった。
仕事は既に始まっているから、出勤してくる人もいないだろうし、さあどうしよう。
私の車の横で、ふたりのおじさんが車のボンネットをあけて何やらやっている。
こうなったら方法はただ一つ。
「すみません、電話をちょっと貸していただきたいんですけど・・・」
一人のおじさんが振り向く。
「電話?」
「夫がこの建物で働いているんだけど、財布を忘れてしまって。持ってきたはいいけど、今度は私が電話を忘れたんです」
おじさんは私の説明を聞いて
「オッケイ、どうぞ」
といって電話を手渡してくれた。
夫と私の電話番号は、数字が一つ違うだけで覚えやすくて助かった。
でも舞い上がっているから、最初に自分の携帯に電話をかけてしまったけど。
何も知らない夫が電話に出た。
「私!財布、ある。電話、忘れた、人に借りた。ドアの外、待っている!」
まるで電報のような英語を並べ立てて電話を切った。
緊急時は文法なんかどうだっていいのだ。
しばらくして夫が出てきて、財布は無事に渡すことができた。
日本にいたときだって、見知らぬ人に電話を借りたことなんかなかった。
親切なおじさんに感謝。
朝から冷や汗。
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