太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

おから

2015-07-09 07:34:00 | 日記
日本食スーパーに行ったら、「おから」があった。

アロハ豆腐のおからなので、たぶん美味しいおからだと思う。

あの味が食べたくなって、買った。

あの味。

お醤油と砂糖の、黄金コンビ。

和食を作らないでいると、お醤油も砂糖も減らない。

子供の頃から食べていたようなものを作ると、ほぼ毎日お醤油と砂糖を使う。



「おから」はちょっとした鬼門。

おからが材料にないクッキーに、思いつきで、しかも大量のおからを

投入したばっかりに、食べるほどに口の中が異常に乾いてゆく、

世にも恐ろしいおからクッキーを作ってしまったのは、6~7年も昔の話。

ホウ酸ダンゴかと思った、ほんと。



念の為、日本の母に電話をしてみる。

「具を先に似てから、炒ったおからを入れるんだよね?」

「おつゆを多めにしないとダメだよ。味もしっかりめにしないとね」

クックパッドは便利だけれど、母のやり方の方が私には合っている。


電話を切って、ふと思う。

聞く母がいてくれることのありがたさ。

私の回りには、もう両親とも他界した人が多い。

私はいつだって、何かあると母に聞いてきた。

「ねえ、御香典いくら包んだらいい?」

「こんな手紙が来たんだけど、どうしたらいい?」

母はいつまでもそこにいて、答えてくれると思っている。

だから、そんな元気な母が、年をとって弱々しくなっていくのを、

私は受け入れることができない。



「弱らせてあげなくちゃいけないんだよね…」

友人が、そう言った。

そうなんだ。

私は自分の都合で、母を弱らせてあげずにいる。

本来であれば、私が母親の立場になるところを、

私はいつまでも子供役のままだ。


母の母親は、母が14の年に亡くなった。

「私が子供達にできることは、できるだけ元気で長生きすること」

いつか母がそう言ったことがある。

こんな時母親がいてくれたら、と母は母の人生で何度思ったことだろう。

「私が苦労をしておけば、あなた達はしなくて済むから」

そういうわけにはいかないんだよ。

そういう考え方をする母に育てられたことで、大変だったこともある。

けれども、私はそんな母が好きで、母を選んで生まれてきたのだろう。






おからは、まあまあ美味しくできた。

一口食べたら、母の顔が浮かんできた。

なぜだか少し目の奥がツーンと痛くなった。




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