太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

傍観者

2015-07-18 23:36:49 | 日記
夫は、基本的には穏やかで優しい人間なのだが

何かのきっかけで、プチッと切れる。それも私には到底理解できない種類の「きっかけ」で。

たとえばベッドサイドのランプを移動しようとしたら、クッションが邪魔でランプが倒れた、とか。

瞬間にFワードが飛び出し、クッションが部屋の隅に飛ぶ。

なんでそんなことでそうなるのか、バカバカしいことこの上ない。

こうしようと思ったことが、すんなりいかないとスイッチが入るようにもみえるけれど、

それでいて、面倒で難しいことも根気よくやり遂げる人でもある。

要するに、プチ切れするのは彼の性格の一部であり、いちいち気にしないでいればいいだけのことだ。



ということはわかっているが、そういう夫の態度で私の平和が乱される。

そこはまだ私の未熟さでもあるけれど、とても嫌な気持ちになるのだからしかたがない。

最初の結婚時代は、こんな時にも私は黙って、何も気にしていないふりをしていた。

そのことで学んだ私は、今の夫には、いちいち私は嫌な気持ちになったと説明する。

本人はケロリとしていて、私だけが嫌な気分を引きずっているのも腹立たしい。





前置きがずいぶんになったけれど、そんなこんなで昨夜はザラザラした気持ちでベッドに入った。

夫はいつも反省し、謝り倒す。気持ちの上では許しているのに、気分だけが元に戻せない。

その上、30mほど離れた家でパーティをしていて、その声が賑やかなことといったらない。

この辺りは普段が静かすぎるからか、少しの騒音も耐え難い音になる。

ザラザラした気分に、深夜の大騒ぎ。金曜日の夜だけど、私みたいに明日仕事の人だっているだろう。

私のイライラは、既に夫から近所の家にすり替わっている。

庭に出て、「うるさーーーーーーーーいッ!」と叫びたい衝動に駆られたとき、

私は、イライラしている自分を観察している存在がいることに気づいた。

「なにをそんなに怒りたいのですか」

「怒りたくて怒ってるんじゃない。あのノーテンキで、人の迷惑を考えない連中が

私を怒らせてるんだ」

「じゃあ隣の人(夫)は?あなたのように怒ってますか」

プチ切れ名人の夫は、私に謝りながら、軽い寝息をたてていた。

その存在はそれきり黙った。



一つの同じ出来事、たとえば誰かが言った言葉や行動によって

傷つく人がいて、怒る人がいて、何も感じない人がいる。

それは言い換えれば、傷つくことも怒ることも、何も感じないこともできるということだ。

自分が抱えている何かが反応して傷つくのだから、その元を手放せばいい。

手放して、傷つかない、怒らないことを選べはいい。



いつのまにか、私は私の傍観者になっていた。



怒っていたくないと言いながら、私は怒っていたいのだなとわかる。

どんなにここで怒っても、集まった人達が静かになるわけではない。

この状況が嫌なら、着替えて外にでて、その家のドアを叩き、静かにしろと言えばいい。

それをしないなら、怒って気分が悪くなるのをやめたらいい。


「でも、勝手に気分が悪くなるんだもん」

イライラしているもう一人の私はそう言って、そっぽを向いて見せた。

そうじゃない。

「勝手に」どうかなることなどありえない。必ず、私が選んでいるはずだ。



あほらし。

外がうるさいのと、怒るのとは別なんだ。

怒ることは、心配するのと同じぐらいエネルギーを消耗するんだから、

明日も仕事だし、怒るのやめたやめた。

怒りの衣を脱いでいったら、下から、

「相手に、自分が間違っていることをわからせて反省させたい気持ち」だとか、

「私が正しいことを相手にわからせて威張りたい気持ち」だとか、

「私が相手によりもデキタ人間だと思わせたい」とかいった思いがぼろぼろでてきて

こんなんもの大事に抱え込んでいたら、そりゃいろんなことに反応するわなァー、と

傍観者でいる私も、生身の私も、同時にため息をついた。



にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村