太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

キャッチセールス

2015-07-23 08:23:12 | 日記
今でもキャッチセールスはあるんだろうか。

昔は、繁華街を歩いていると、ツツーと誰かが寄ってきて

化粧品だの健康食品だのを売るセールス方法が横行していた。

実は私は、このセールスで健康食品を買ってしまったことがある。

二十歳そこそこだったと思う。

何かがあって、とても落ち込んでいた時で、強引な誘いを断りきれずに

ビタミンEだったかの錠剤を買う契約をした。

その時には、クーリングオフということも知らず、買ってしまってから

ものすごく後悔した。

仕事をしていたから支払いに困ることはなかったけれど、そういうことに乗ってしまった自分が

とても嫌だった。



それからである。

キャッチセールスが寄ってきたら、一刀両断で断るようになったのは。


だいたい化粧品・美容関係がほとんどだ。

いかにも馴れ馴れしい感じのセールスレディが(たいていオバハン)


「ちょっと彼女(昔はこういう呼びかけ方があった)、法令線とか気になったりしない?

今は若いからいいけど、若いうちに手を打たないと手遅れになるわよ」


「必要ありません」


「すっごくいい美容液があるの。プロのエステシャンが使うもので、芸能人なんかも使ってるのよ」


「だから、私はそういうのはいりません」


「30過ぎてからじゃ遅いのよ」


「だって私、45歳ですから」


すると、セールスレディは「はっ」とした顔になり、私の顔をまじまじと見る。

その隙にスタコラとその場を去る。

これは使えた。


しかしそのうち、老けてサバを読んでいた年齢に、実年齢が近づいていき、

こんな手も使いにくくなった。

次の手を考えているうちに、ハワイに来た。

そうしたら、なんとハワイではまだこの手が使えるのである。



キャッチセールスとはちょっと違うけれど、ショッピングモールの中に

屋台的なもので物を売るお店(もちろん屋台といってもオシャレなんだけれど)があり、

そこでは売り子が、通りすがりのお客をつかまえて商品を売ろうと、手ぐすね引いて待っている。

なるべく目をあわさないように、早足で通り過ぎるのが一番。

ところが、夫と一緒に出かけたときに、夫が引っかかっているではないか。

興味深そうにお話なんか聞いている。

「こっちこっち!」と手招きをする私に、「ちょっと来てごらんよ」と逆に手招きする始末。


「ほら、このクリーム、すごいつるつるになるよ」


売り子レディが手の甲に塗ってくれたクリームを、水で洗い流した部分を見せてそう言った。

「そりゃどんなクリームだって、塗って水で流せばつるつるになるでしょうよ」

と私は日本語で言って、一応夫の手の甲を触ってみせた。

20代の若い売り子レディは私が興味を持ったと見たか、俄然エネルギッシュに売り込んでくる。


「ほらほら、すっごいしっとりして、これが1日中続くの、私も使ってるの」

「ああ、でも私、必要ないから」

「今ね、お得なキャンペーンやってて、これを1本買うとこれがついてくるのよ」

こういう売り子さんたちは、人の話を聞いちゃいない。もっとも、聞いていたら売れないかもしれないけど。


「私、50歳なんだけど?」


若い売り子レディは「はっ」という顔になり、黙って私をまじまじと見た。

同じ、同じだ。昔とまったく同じ。なつかしいなあー。

ただ違うのは、老けてサバよんでないとこだけ。ほぼ実年齢を言ってるとこ。

まじまじと私を見て、売り子レディは言った。


「化粧品、なに使ってるの」


ここはアメリカだから、これが通用するようなもので、

とかくアジア人、とくに日本人は見た目が若くてお得である。

白人の肌の衰えの深刻さといったら、気の毒な限りだ。



私は意気揚々と引き上げた。

日本人に生まれてよかったと思う。






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