太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

長者

2016-01-27 15:38:07 | 日記
夫の友人に、食事に招かれた。

彼女は、夫が中学生の頃からの親友だ。

最近、ホノルルの街中に越してきて、その住まいを見るのは初めてである。


行ってみると、海の近くにそびえたつ高層の高級コンドミニアム。

建物はオフィスと住宅とシェアしているが、住宅のロビーも廊下も大理石で光っていて、

まるで高級ホテルのようだ。





2ベッドルームに広いラナイ(テラス)がある。





ラナイからの眺望。






築22年とは思えない間取りや設備のモダンさ。




彼女が用意してくれたタイ料理をいただく。




プールもある。

プールの縁がないというか、露天風呂みたいに縁ぎりぎりまで水が張られていて、

泳ぐたびにさらさらと水が落ちる。

まるで、向こうに見える海と同じ水の中にいるような気分になる。


住民が誰でも使えるフィットネスや、バーベキューのテラス、会議室も充実している。




目の前がアロハタワー。



たぶん、ここは1臆を軽く超えるお値段だと思う。

購入したあとも、月々に払うメンテナンス費はあって、プールなどがあると

10万円以上だと聞いたことがある。


彼女はシングルマザーで、小学生の子供がいる。

なぜこんなところに住めるのかというと、母親が長者だからだ。

彼女の母親の実家は億万長者で、よって母親は生涯働いたことがない。

20年前に離婚したあとも、悠々自適に人生を楽しんでいる。

その母親が、「投資にもなるからひとつ買っておこうかしら」といって買ったのがここ。

森茉莉の本だったか、本当のお金持ちは、大きなダイヤの指輪をなくしても騒がない、という

くだりがあったけれど、彼女の母親は、まさにそういうタイプ。



でも、彼女は最初からこんなものを与えられたわけではなかった。

最初は、母親の家に同居していた。

高級住宅地にあって、じゅうぶん広いその家は、3人で住んでも広すぎるほどなのだが

孫がいることで生活のペースを乱されるのが嫌な母親と、

フリーランスの仕事をしていて、なかなか収入が生活に追いつかない焦りと

母親に甘えている罪悪感でイライラしがちな娘と、

言いたい事が言えてしまう親子だからなのか、衝突することはなはだしく、

とうとう母親が娘を追い出した。


彼女は母親の家から1キロほどのところに一軒家を借りて住み始めた。

ボーイフレンドも一緒で、二人なら家賃を払ってやっていけるはずだったが、

この男が働かない。

結局、なんとか一人で1年やってみたがどうしてもダメで、母親の家に戻り、

その1年後、ここを買った。



彼女はとても幸せそうだった。

長者の母も、ちょくちょく遊びに来るという。

長者の娘なんだから、働かなくても生きてゆけるのに、ちゃんと働いている彼女は偉い。

娘も孫も、きっちり突き放す長者は偉い。

と思っていたけれど、やっぱり長者は長者なんだなあ。






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親子丼

2016-01-27 05:33:12 | 食べ物とか
親子丼なんだけど、以前に記事にしたような記憶がないでもない。

読んだよ、もう、という人はスルーしてくれていい。



私が知っている親子丼と、世間一般でいう親子丼が、

実はまったく別物だったと気づいたのは、高校を卒業して東京に出たときだった。

どんなことがあって気づいたのかは忘れたが、

親子丼が、鶏肉を卵で閉じたものをご飯に乗せたものだと言われても、

「はあ??」としか言いようがなかった。

それはまるで、今まで日本人だと信じて生きてきたのに、あるとき突然、

実はジャマイカ人だったんですよと言われたようなものだ。

今更そんな重要なことをサラリといわれても、ジャマイカがどこにあるか特定もできないし、

長年培ってきた、日本人としてのアイデンティティをどうしてくれるのだ。


ジャマイカはとにかく、

私が知っている親子丼は、まずご飯が白くない。

お醤油と少しのお酒で、ご飯を炊く。

具にする鶏肉の一部をご飯に混ぜて炊くと、風味が増す。


炊けたおしょうゆご飯をどんぶりに盛る。

ご飯の上に、パリッと焼いた焼き海苔を手でもみながら散らす。

あらかじめ煮てあった椎茸と鶏肉とタケノコの煮物を、表面の3分の一ぐらいに乗せる。

このとき、汁気はないほうがいいので、しっかり汁気が飛ぶまで煮るのがコツ。

その隣に、いり卵を乗せる。

残った3分の1の場所に、茹でて細く刻んだきぬさやを乗せる。


他のどんぶりものと違って汁気がないから、散らし寿司にも似ている。

しかもこの親子丼、冷めてもじゅうぶんに美味しいので、

そんなところもまずます散らし寿司に似ている。


冷めても美味しいところから、母はよく、夕飯を作り置きしなければならないときに

親子丼を作った。



親子丼の真実を知ってから、私は外で親子丼を頼まなくなった。

いや、実家のある街でも、外で食べたことはなかったから、

ますますその決意を固めた、というべきか。


ただ、1度だけ、ハワイに来てすぐの頃に、魔がさして

親子丼を頼んだことがある。

出てきたのは、白いご飯の上に、玉ねぎと豚肉と鶏肉と蒲鉾を煮たものが

やるせない感じに乗っていて、

汁はご飯の8割がたを侵食しており、しかも別に醤油がついてきた。

この醤油はどうしたらいいのだろう?

鶏と豚で、いったいどこが親子なんだろう?という、親子丼という名前の意味を

まったく無視した、世にも変わった親子丼であった。

絶対にその店は日本人経営ではないと思う。




私が知る親子丼を、たまにむしょうに食べたくなる。

作るとなると、ちょっと手間がかかるのだけれど、

このまえ帰国したとき、これを作ってみた。

初めて食べた夫は、大変これが気に入ったらしい。


ああ、この味、この味。

これが親子丼だよなあ。

5年ぶりに食べた親子丼は、3日続いても食べられる気がした。







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