仕事の終わりに、私はミネラルウォーターを1本買い、3分の1ぐらい飲んで
バッグに縦に差し込んで車に乗った。
帰宅してみると、ペットボトルの水が一口分ぐらいしかない。
余談になるが。
私は過去、夫に改まって「ぼくの小さなお願い聞いてくれる?」と言われ、なにごとかと思いきや
「蓋を開けたらしっかり閉めてほしい。引き出しをあけたらしっかり閉めてほしい」
というお願いだった、というぐらいだらしがない。
私が使ったドレッシングや調味料の蓋は、いつもゆるゆるになっていて、夫がつかんだ拍子に中身がこぼれるとか、
中途半端にあいた引き出しにぶつかって痛い目にあうなど、夫は何年も我慢していたらしいのだ。
という私であるから、ペットボトルの蓋も案の定ゆるくなっていた。
ではバッグの中がびしょぬれか!とチェックしたが、濡れていない。
ではバッグを置いた車の助手席のシートがぐっしょり濡れているに違いない、と車を見たが、特段濡れている箇所はない。
シートの下も横も見たが、乾いている。
ペットボトルに半分以上残っていた水は、いったいどこに消えた?
水が消えたのは、初めてじゃない。
この話はどこかで書いたかもしれないが、小学校の遠足の時、バスの中で私はトイレを我慢していた。
手を挙げて、先生にトイレに行きたいと言えばいいのだけれど、
同じバスには当時好きだった男子がいたから、とても恥ずかしくて言えない。
尿意は海の波のように、押し寄せては引き、気が緩むと再び大波となって押し寄せる。
気を紛らすためにやけにはしゃいだかと思えば、尿意をこらえるために一点を見つめて黙りこくったり
隣の席の子は私を不審に思っただろう。
何度も「ああもうだめだ」という波が来て、今度もやり過ごしたぞと思ったとき、それは起きた。
私の膀胱はもう耐え切れず、心の叱咤激励を無視したのだ。
いったん、そうなってしまうと、止めることなどできず、解放されたヨロコビすら沸いてきた。
あたたかいものが太腿の内側をじわじわと濡らしてゆく。
そして出るものが出てしまうと、我に返り、被害状況を確認すべくジーンズのお尻をおそるおそる触ってみた。
が、濡れていない。
腰を浮かせて、バスのシートを触ってみた。
やっぱり濡れていない。
立ち上がって、椅子やジーンズをさわりまくったが、まったく乾いていた。
そんなはず、ないんだけど・・・・
座ろうとして、後ろのポケットに何か固いものがあるのに気づいた。
それは出掛けに祖母がくれたお守りだった。
お守りも乾いていた。
出るものは出てしまったのは確かで、証拠に私の膀胱はからっぽだ。
じゃあ、その出たものはどこに消えた???
家に帰り、祖母に厚くお礼を言ってお守りを返した。
むろん、お漏らししたことは誰にも言っていない。
ということがあった。
エンジェルロミロミのレイナが言っていた。
「妖精っていたずらするからおもしろいよ」
そうなのだろうか。
「ねえ、そうなの?」
聞いても、だんまりを決め込むだけである。
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バッグに縦に差し込んで車に乗った。
帰宅してみると、ペットボトルの水が一口分ぐらいしかない。
余談になるが。
私は過去、夫に改まって「ぼくの小さなお願い聞いてくれる?」と言われ、なにごとかと思いきや
「蓋を開けたらしっかり閉めてほしい。引き出しをあけたらしっかり閉めてほしい」
というお願いだった、というぐらいだらしがない。
私が使ったドレッシングや調味料の蓋は、いつもゆるゆるになっていて、夫がつかんだ拍子に中身がこぼれるとか、
中途半端にあいた引き出しにぶつかって痛い目にあうなど、夫は何年も我慢していたらしいのだ。
という私であるから、ペットボトルの蓋も案の定ゆるくなっていた。
ではバッグの中がびしょぬれか!とチェックしたが、濡れていない。
ではバッグを置いた車の助手席のシートがぐっしょり濡れているに違いない、と車を見たが、特段濡れている箇所はない。
シートの下も横も見たが、乾いている。
ペットボトルに半分以上残っていた水は、いったいどこに消えた?
水が消えたのは、初めてじゃない。
この話はどこかで書いたかもしれないが、小学校の遠足の時、バスの中で私はトイレを我慢していた。
手を挙げて、先生にトイレに行きたいと言えばいいのだけれど、
同じバスには当時好きだった男子がいたから、とても恥ずかしくて言えない。
尿意は海の波のように、押し寄せては引き、気が緩むと再び大波となって押し寄せる。
気を紛らすためにやけにはしゃいだかと思えば、尿意をこらえるために一点を見つめて黙りこくったり
隣の席の子は私を不審に思っただろう。
何度も「ああもうだめだ」という波が来て、今度もやり過ごしたぞと思ったとき、それは起きた。
私の膀胱はもう耐え切れず、心の叱咤激励を無視したのだ。
いったん、そうなってしまうと、止めることなどできず、解放されたヨロコビすら沸いてきた。
あたたかいものが太腿の内側をじわじわと濡らしてゆく。
そして出るものが出てしまうと、我に返り、被害状況を確認すべくジーンズのお尻をおそるおそる触ってみた。
が、濡れていない。
腰を浮かせて、バスのシートを触ってみた。
やっぱり濡れていない。
立ち上がって、椅子やジーンズをさわりまくったが、まったく乾いていた。
そんなはず、ないんだけど・・・・
座ろうとして、後ろのポケットに何か固いものがあるのに気づいた。
それは出掛けに祖母がくれたお守りだった。
お守りも乾いていた。
出るものは出てしまったのは確かで、証拠に私の膀胱はからっぽだ。
じゃあ、その出たものはどこに消えた???
家に帰り、祖母に厚くお礼を言ってお守りを返した。
むろん、お漏らししたことは誰にも言っていない。
ということがあった。
エンジェルロミロミのレイナが言っていた。
「妖精っていたずらするからおもしろいよ」
そうなのだろうか。
「ねえ、そうなの?」
聞いても、だんまりを決め込むだけである。
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