太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

人生劇場はハッピーエンド

2017-11-27 09:26:32 | 日記
職場に仕事で出入りする女性のAちゃんが、数ヶ月ぶりに姿を見せた。

肩より長く伸ばしていた髪が、さっぱりとショートになっていて、それがよく似合った。

「髪切ったの?すごく似合うよ」

Aちゃんは私のそばまで来て、

「これ、かつらなの」と言い、続けて

「癌になって、余命も言われて、髪の毛が抜けて、でも奇跡がおきて、癌は治ったの」

私は彼女が言ったことをじょうずに飲み込んで理解するのに、少し時間がかかった。

普通に振舞っているようにみえたとき、彼女は自分の病気を知っており、

私が何も知らずに食べたり笑ったりしているとき、彼女は手術を受けていた。

私はAちゃんが体験してきたことを思い、胸が詰まった。

「おかえり」

そう言ったら、涙が出そうになった。





Tさんは40代の男性。

アメリカ本土を点々としたあと、ハワイに来て、結婚した。

ほとんど奥さんの稼ぎで生活し、Tさんは時々働きながら夢を追っている。

「独身だったら、ホームレスになってもいいって思うんだよねぇ、ときどき」

Tさんがそう言ったことがあるが、それは半分冗談で、半分は本気だ。

やりかねない、というところが、Tさんにはある。

そのTさんが、本土に引っ越すことになった。

個人で車のディーラーのようなことをするのだという。

引越しは決まったが、向こうで住む家のあてもなく、

「しばらくは野宿だなあ」

と言って笑った。

生活の拠点が決まったら、あとから奥さんが行くことになっている。

日本に帰るという選択肢はない(彼は日本人)。

英語も流暢とはいえず、それでもアメリカに住んで夢を追いかけたい。





私達人間は、荒海に放り込まれた木の葉のような存在であるはずがない。

波にのまれ、ただ流されてゆくだけだったら、いったいそれに何の意味があるだろう。

生まれ変わり、そんなことを何千回も繰り返すのだとすれば尚更だ。

離婚したあとの恋愛がうまくいかなかったとき、ネガティブなスパイラルの中で疲れ果てた私は、

何かを望むのをやめ、このまま流れて行き着くところが私の幸せなんだ、という後ろ向きな降参をした。

そう思ったら、楽になった気がした。

望みが叶わない落胆や焦りから解放される。

その途端だった。

私はそれまで縁のあったカウンセラーとなぜか連絡が取れなくなり、別のセラピストと出会った。

ずっしりと重い前のカウンセラーに比べて、そのセラピストはどこまでも軽く、ミーハーで楽しかった。

そしてそこから、私の人生は音をたてて再び動き出した。







だから、私は信じる。

人生は、劇だ。

自分で決めたシナリオを、自分で演じて、それを自分がみている。

役目を終えたら、登場人物がみんなカーテンコールで笑顔で手をつなぐ。



人生は、劇場だ。

私は私の人生という劇を演じながら、他の劇も見ることができる。

私も含め、どの劇も、楽しいこともそうでないことも、絶望も奇跡も、

いろいろ盛り込んで、けっこう飽きない劇になっている。

だから、深刻さを捨てて、楽しもう。

深刻になることさえも、楽しもう。

自分で書いたシナリオだからハッピーエンドに決まっている。











 にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村