日本人の友人と、ランチを食べに行ったときのことだ。
食事のあとで、フードコートでデザートを食べた。
私がトイレに行ったのだが、まちがえて男性トイレに行ってしまった。
通路がT字路になっていて、つきあたりで右が男性、左が女性になっており
わざわざ女性のほうに戻るのは面倒だし、誰もいなかったのでそのまま男性トイレを使った。
手を洗っていると男性が入ってきて、私を見て
「あ!失礼!」
と言って戻ろうとするのを、あわてて止めた。
「私が間違えて入ったんです、ここは男子トイレですよ」
「なあんだ、そうなのか。僕が間違えたのかと思った。あはは」
「そりゃそう思うよねー、あはは」
席に戻ってその話を友人にすると、友人は両手を口にあてて
「えーーーーーーーっ!」
とおおげさに驚いてみせた。
「ねー、間違えるなんてびっくりだよね」
と私が言うと、友人は口に手をあてたまま
「そうじゃなくて、そのまま男性トイレを使ったことに驚いてるんだようーー・・」
と言う。
「だって女性トイレは遠いしさ」
「そういう問題じゃない」
「誰もいなかったしさ」
「そういう問題でもない」
「じゃあどういう問題なのさ?」
「私だったら絶対に女性トイレに行くなあと思って」
「あ、そゆこと?」
なんでそこでそういうことするかなァ
というようなことを、他人はよくやる。
と私が思うように、他人は私を見てそう思う。
日本に住んでいた頃、高速道路を使って友人の家に行った時
自動的に料金を払えるカード(名前を失念した。ETC?)を搭載した車専用の料金ブースと
現金の車も通れる料金ブースと並んでいた。
私の車にはそんなものが搭載されているわけもないので
カード専用ブースを見ながら、あそこに入っちゃいけない、と自分に言い聞かせていたのに、
なぜか車はカード専用の方にふらふらと入ってしまった。
レバーは降りているし、カード専用なので係員もいない。
私にできるのはバックで戻ることだけだ。
私の後ろには、既に何台も車が続いていたが、私は窓をあけてできるだけ申しわけなさそうな笑顔を作り
「すみませーーーん、さがりまあす」
と言いながらバックした。
後続車から「チッ、女だよ」という声が聞こえてくるようであったが、やさしい人達で、おとなしく下がってくれた。
止まらずに時間短縮できるはずなのに、彼らのいまいましさは想像にあまりある。
「そこでバックってどうかなあ」
「ていうか、なんでわかっていてカード専用に入るのかね」
私だって聞きたいぐらいだ。
しかし、あそこでバックするしかなかったと、今でも思っている。
日本の電車の切符。
1枚ならいいが、2枚、3枚になるともういけない。
日本では新幹線をよく使うので、自然と切符は複数になる。
私はどの改札で、どの切符を入れればいいのか、わからないのである。
切符の、乗車券だとか特急券だとか、駅の名前が書いてあるのをどんなに読んでも、
どういうわけか、いつ何が必要なのかがわからない。
だから私はいつも全部重ねて自動改札に入れる。
不要なものがあればブザーが鳴ってゲートが閉まるだけだし、うまくいけばそのまま通れる。
日本語が読めない夫は、私の真似をするのだが、
何度もゲートにはさまっている私を見て、後ろで心細そうな顔をして突っ立っている。
「どれが必要か、なにか書いてないの?」
「書いてあったら私だってわかるよ」
「じゃあどうして他の人はゲートにはさまれないの?」
「不思議だよねえ」
不思議なのはアンタだよ、と友人が言った。
返す言葉もない。
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食事のあとで、フードコートでデザートを食べた。
私がトイレに行ったのだが、まちがえて男性トイレに行ってしまった。
通路がT字路になっていて、つきあたりで右が男性、左が女性になっており
わざわざ女性のほうに戻るのは面倒だし、誰もいなかったのでそのまま男性トイレを使った。
手を洗っていると男性が入ってきて、私を見て
「あ!失礼!」
と言って戻ろうとするのを、あわてて止めた。
「私が間違えて入ったんです、ここは男子トイレですよ」
「なあんだ、そうなのか。僕が間違えたのかと思った。あはは」
「そりゃそう思うよねー、あはは」
席に戻ってその話を友人にすると、友人は両手を口にあてて
「えーーーーーーーっ!」
とおおげさに驚いてみせた。
「ねー、間違えるなんてびっくりだよね」
と私が言うと、友人は口に手をあてたまま
「そうじゃなくて、そのまま男性トイレを使ったことに驚いてるんだようーー・・」
と言う。
「だって女性トイレは遠いしさ」
「そういう問題じゃない」
「誰もいなかったしさ」
「そういう問題でもない」
「じゃあどういう問題なのさ?」
「私だったら絶対に女性トイレに行くなあと思って」
「あ、そゆこと?」
なんでそこでそういうことするかなァ
というようなことを、他人はよくやる。
と私が思うように、他人は私を見てそう思う。
日本に住んでいた頃、高速道路を使って友人の家に行った時
自動的に料金を払えるカード(名前を失念した。ETC?)を搭載した車専用の料金ブースと
現金の車も通れる料金ブースと並んでいた。
私の車にはそんなものが搭載されているわけもないので
カード専用ブースを見ながら、あそこに入っちゃいけない、と自分に言い聞かせていたのに、
なぜか車はカード専用の方にふらふらと入ってしまった。
レバーは降りているし、カード専用なので係員もいない。
私にできるのはバックで戻ることだけだ。
私の後ろには、既に何台も車が続いていたが、私は窓をあけてできるだけ申しわけなさそうな笑顔を作り
「すみませーーーん、さがりまあす」
と言いながらバックした。
後続車から「チッ、女だよ」という声が聞こえてくるようであったが、やさしい人達で、おとなしく下がってくれた。
止まらずに時間短縮できるはずなのに、彼らのいまいましさは想像にあまりある。
「そこでバックってどうかなあ」
「ていうか、なんでわかっていてカード専用に入るのかね」
私だって聞きたいぐらいだ。
しかし、あそこでバックするしかなかったと、今でも思っている。
日本の電車の切符。
1枚ならいいが、2枚、3枚になるともういけない。
日本では新幹線をよく使うので、自然と切符は複数になる。
私はどの改札で、どの切符を入れればいいのか、わからないのである。
切符の、乗車券だとか特急券だとか、駅の名前が書いてあるのをどんなに読んでも、
どういうわけか、いつ何が必要なのかがわからない。
だから私はいつも全部重ねて自動改札に入れる。
不要なものがあればブザーが鳴ってゲートが閉まるだけだし、うまくいけばそのまま通れる。
日本語が読めない夫は、私の真似をするのだが、
何度もゲートにはさまっている私を見て、後ろで心細そうな顔をして突っ立っている。
「どれが必要か、なにか書いてないの?」
「書いてあったら私だってわかるよ」
「じゃあどうして他の人はゲートにはさまれないの?」
「不思議だよねえ」
不思議なのはアンタだよ、と友人が言った。
返す言葉もない。
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