太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

コレハ イツ シヌカ?~英語の面の皮~

2017-12-15 19:40:07 | 英語とか日本語の話
職場で、品物を見ていた日本人の新婚とおぼしき若いカップルが何かささやきあっており、

奥さんに突かれた旦那さんが品物を指さし、私に向かって言った。


「WHEN THIS DIE?」

・・・・・・・・

もしかしたら「賞味期限」のことを言いたいのかも?


日本語で答えればいいのだが、一瞬の間にいろんな思いがかけめぐった。

新婚の新妻が、英語を話す夫に尊敬のまなざしを送っている。

私がそこで日本語で対応したら、「なーんだ」となるかもしれない。

向こうは私を日本人だとは思っていないようなので、私はゆっくり英語で説明し、

それを新妻に説明する夫の顔を、新妻はキラキラした目をして見ていた。




それにしても、奔放な英語で、きっと私が日本人じゃなかったら通じなかった。

私だって理解するのに、ちょっと時間がかかった。

ちなみに、消費期限は EXPIRATION DATE(エクスパレーション デイト)。

で、質問にするなら

WHEN IS THE EXPIRATION DATE (OF THIS ~)?

もちろんもっと簡単なのだっていい。

HOW LONG DOES IT LAST?(どのぐらいもつの?)


WHEN THIS DIE?と言いたいなら、WHEN のあとに DOES が入ると思うけど

コレハ イツ シヌカ?という文章は、たぶん使うことはないと思われる・・・




しかし、なんとか英語を話して気持ちを伝えようという旦那さんの態度はすばらしい。

正しい英語を話せることと、会話ができるようになるのとはイコールではないと思う。

正しくなくても、会話はできる。

日本人は正しく話そうと思うから、知識はあるのに話せなくなる人が多いのだ。

結局のところ、間違っていてもいいからどんどん話してみることができる人が地元の人と仲良くなれる。




なーんてこんな偉そうなことを書いている私だが、私もずいぶんひどい英語を使ってきたし、

それは今もたいして変わっていない。

いつかも書いたが、20年前にアイオワに行った時、スーパーのレジで

「ペーパー オア プラスティック?(紙袋かビニール袋か)」が聞き取れず、

何度も聞き返した上、それでもわからないので「イエース、イエース」と笑顔で言った。


インディアナ州にいる、夫の叔父叔母を訪ねて別れるとき、親切にしてくれたことを忘れないといいたかったのに

「FORGET YOUR KINDNESS(おまえの親切、忘れろよ!)」と言った。

あとで夫に指摘されてわかったが、なるほど叔母は怪訝な顔をしていた。



とっさに ごめんなさい、と言われると私は条件反射で YOU ARE WELCOME と今でも言ってしまう。

普通は NO PROBLEM などと言うのであって、YOU ARE WELCOME はかなり変だ。



会話の中で「彼女」と「彼」がごっちゃになるのも直らない。

いつだったか、夫と待ち合わせをした場所で見知らぬ人と話をしていて、

「人と待ち合わせをしているんです、 彼女は 私の夫なんです」

と言い、相手は私を同性愛者だと思ったことだろう。



こうして挙げていったらキリがない。

私だって夫と結婚した頃は、正しく理解し、正しく話そうと思うがために会話についてゆけず、

人生で初めて「無口なんだね」と人に言われた。

ハワイに住むようになってからも、人並みに「言葉の壁」に落ち込み、夫に八つ当たりをした。

しかし、その壁を越えたら楽になる。

突然、目の前が開けるときが来る。



「なーんだ、コイツら、英語しか話せない気の毒な人達なんじゃん?

だから私がしょうがないから第二言語で話してやってんじゃん、感謝しろよ」




という、大変下品で感じの悪いことこのうえない思考が私を壁の向こうに押しやってくれた。

この前、ジュディスに会った時、

「そういえばアナタがくれたメール、ヌードルのスペルがNDLEになってたわようー」

「そうだったー?」

「でも確かに ヌー だしなあと思って笑っちゃったけどね」

「あははー」


要するに、「英語の面の皮」がどれだけ厚くなるか、ということなのだと思う。






あの新婚夫婦の旦那さんが、これからもどんどん知っている英語を使って

どんどん外国に出て行ってくれたらいいなァと、保護者のような気持ちになる。









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