太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

地上の天使

2018-03-13 18:47:11 | 日記
日本からハワイに帰ってくるフライトに乗り遅れたというドタバタ(その記事はコチラ)には参ったが、

そんな中で出会った、何人もの地上の天使たちがいる。




・レンタル携帯電話会社JAL ABCの人達


熱海から東京までの急行電車の中で、レンタル携帯電話の返却場所を確認しようとした私は、

その窓口が9時までであることに気づいた。

順調にいっても空港に着くのは9時半だ。

その書類に記載されている電話番号は、郵送で携帯電話を返却する場所の連絡先だけだったので

ダメでもともとで、電車の中からそこに電話をかけてみた。

応対に出た男性は、私の話を聞くと

「それは大変でしたね。窓口の者に連絡して、閉めずに待っているように伝えます。

それから、そこで精算する時間はないでしょうから、あらかじめクレジットカードを登録していただいているので

こちらで精算させていただき、今はただ電話だけを返却してくださればいいようにしておきます」


「ご迷惑おかけします」


「とんでもありません。お客様がフライトに間に合いますよう、それが1番大切ですから」


結局、フライトには間に合わなかったけれど、9時半頃のはずが9時45分になってしまったのに、

窓口はしっかり開いており、「お話は伺ってますよー」とほがらかに受け取ってくれた。



・成田空港のタクシー乗り場のおじさん


さて今夜はどこかに泊まらなければならなくなり、タクシー乗り場に行き、近くのビジネスホテルまで

行ってくれるように頼んだ。

客待ちをしていたごま塩頭のおじさんが、案内窓口でホテルを決めてからでないと、運賃ばかりが

かかってしまうから、そうしたほうがいい、と言った。

それはそうかもしれないが、今からその窓口に行くのかと思うと気持ちが萎えた。

既に10時になっていた。

「その窓口、あいているんでしょうね?」

そう聞いた私の顔が、そうとうに疲れていたのだろうか。ごま塩おじさんは、もう一人の運転手と

どのホテルが近くてきれいで安いかを相談したあと、自分の携帯電話でそのホテルに電話をしてくれた。

「モシモシ、今夜二人だけど部屋あいてるー?あ、そう、じゃ今代わるから」

私はそこでおじさんの携帯電話で部屋を予約した。

「寒いでねー。気をつけてねー、1番前にとまっているタクシーで行ってねー」

二人の運転手さんは、笑顔で手を振った。




・東横イン ホテルのフロント係の河合さん


予約したのは東横イン。

ビジネスホテルとは思えないほどきれいで大きかった。

翌日はフライトまで丸1日時間があるので、どこか行く場所はないかフロントで聞いてみた。

河合さんという若い男性が、隣のホテルから出ているサークルバスの時刻表や(都合がいい時間帯をハイライトで塗ってくれた)

いくつか提案をしてくれた。

部屋に入り、そのまま眠ってしまいたいところだったが、夫の両親にフライトに乗り遅れた旨を伝えないと

日曜日の朝に空港に迎えに来てしまう。

日本の夜の10時半は、ハワイの夜中の3時半。

せめてハワイの朝の8時半ごろに電話したいとなると、日本の夜中の3時半。

そこで目覚ましを3時半にセットして、寝ようとしたとき、ふと、部屋の電話からハワイにちゃんとかかるかどうか

不安になり、部屋の電話の案内どおりにハワイにかけてみることにした。

1度だけ鳴らせば、安眠妨害にならないだろう。

ところが、説明どおりにかけているのに通じない。何度やっても通じない。

試しに、私が普段使っているKDDIの国際電話番号でかけてみたが、同じだ。

フロントに電話すると、河合さんが出た。

フロントの電話ならかかると思うというので、フロントに下りていった。

しかし、フロントの電話でもかからない。

何度もやって、結局、KDDIでかけてみたら、ようやく通じた。

KDDIだと電話料が高いのだそうだ。

そして3時半に起きて、河合さんがフロントの電話でシュートメの携帯電話にかけたら留守電で、メッセージを残した。

それでも不安だったので、義父の電話、家の固定電話にもメッセージを残した。

部屋に戻り、やっと眠れると思ってまどろんだ頃、河合さんから部屋に内線が入った。



「お休みのところ申しわけありません。先ほど、本館の方に女性の声で電話がかかってきたというのですが

もしかしたら、さっきメッセージを残した方ではないかと思いまして」



再びフロントに行き、シュートメに電話をすると、果たしてそうであった。

メッセージの内容はわかったが、直接話をしたくて折り返しに電話をしたようだ。

到着が月曜の朝になること、夫の職場に連絡を入れてもらうことを頼んで電話を切った。


「これで安心ですね。長い1日だったでしょう、お疲れ様でした」


河合さんの笑顔の、美しいことといったらなかった。

天使だ、これは天使に違いない。

さらには、翌朝精算時に、国際電話代をいっさい請求されなかった。

朝まで起きている夜勤の仕事は心身ともにつらいだろうに、こんなに人に優しくできるのだ。

仕事のしかたは人様々で、私自身も最近、そのことで落ち込んだことがある。

けれど、この日出会った地上の天使たちに背筋が伸びる思いがした。

仕事という括りを超えた、人としての思いやりをもらった私は、

同じものを今度は他の誰かに返していこう、返さなくてはならないと思っている。











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