太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

石橋は叩きながら渡れ

2018-03-22 20:15:08 | 日記
私が働く職場では、曜日ごとに違うアーティストが来て、自分の作品を売っている。

月曜日担当のマイクが、私に絵を売るように強く勧めてくれ、どうやって商品にするかも教えてくれたおかげで、

マイクの絵と一緒に私の作品を売ることができるようになったし、

ワイキキのギャラリーに絵を置くようになったのも、マイクのおかげだ。

そのマイクが、昨年夏に心臓の手術をした。

手術前よりは元気になったのだが、77歳という高齢でもあり、週に1日とはいえ

片道1時間かけて車を運転してくるのが、いささかきつくなってきた。

マイクは18年前からここで店を出していて、ここで仕事をするのは好きなので、いきなりリタイアするのは寂しい。

そこで、私と、1ヶ月に4回ある月曜をかわりばんこに店を出さないか、というのである。



数ヶ月前、マイクがちらりと、「いつかこの場所をシロに譲ることになると思う」と言ったことがあり、

月曜日は私の休日でもあるし、売りながら制作もできるし、そういうのもいいかも、と思った。

職場の仕事は好きだけれど、がちがちに働きすぎる自分の性格のせいで精神的に疲れてきて

できればもう1日、平日の休みがあったらいいな、と思っていたところでもあった。

しかし、それはまだしばらく先のことだと思っていた。

とりあえず、宇宙にオーダーだけは出しておこうとオーダーしたのが先月。


マイクが「かわりばんこに」と提案したのが先週。


そしたら、オーナーがあっさり了解して、来週の月曜日から私が店を出すことになってしまった。



宇宙にオーダーしておきながら何だけど、「エーーーーッ!!」である。

まだ先だと思っていたから、プレゼンテーションも心の準備もできていない。

日本に行ったときに、100円ショップで気のきいたプレゼングッズをいくつか買ってきた。

それでもなお、あまりに急でうろたえていて、「ねえ私、できるかなァ?」と人に聞いてまわるありさまだ。



いつも、そうだ。



人生が大きく変わる時、私は1度だって準備を念入りにしたことがない。

大学受験も、離婚も、再婚も、日本を離れて暮らすことも、ハワイでの就職も。

どれもが降って沸いたような思いつきみたいなものだった。

離婚したあとの恋愛に失敗して、日本人はこりごりだから今度はガイジンにしようと思ったものの

英語が話せるわけではなかった。

英語を勉強してから出会いを探すべきだと私の理性は言っていたが、それより先に私は走り出していた。

いつだって、見切り発車。

一応、大騒ぎするのもいつもどおりのお約束。

けれど、振り返ってみて、そういう見切り発車の結果、人生はどんどんよくなっていったように思う。

私のような飽きっぽく、めんどくさがりの小心者は、そうでないと先に行けないのかもしれない。

石橋を叩きすぎて壊してしまう、という私の友人が、なぜ先のことを考えずに橋を渡れるのかと聞いたことがある。

私はおおいに反論した。

私だって先のことは考えている。ただ、橋を渡りながら、だけど。




というわけで、来週月曜からアーティストとして職場に行く。

昨年、半年ほどワイキキの別のギャラリーに作品をおき、店番をしに行っていた時期があったが、

あれは居心地が悪く、全然楽しくなかった。

それに比べたら、家から10分、勝手知ったる場所の、知り合いばかりの中での仕事は気が楽だし、

きっとうまくいく。

と、まだ大騒ぎの途中である私は自分に言い聞かせている。













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