太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

やってない自慢

2018-10-03 19:46:55 | 日記
仕事中の休憩時間にベンチで本を読んでいたら、

背後のベンチから日本人の女性達の会話が聞こえてきた。

3人連れの一人が、自分がいかに美容にかまっていないかということを熱心に話している。

一人が、洗顔は普通の固形せっけんで、化粧水は安いもの、あとは何もしない、

今日だって日焼け止めだけでファンデーションは塗っていない、という。

立ち上がるついでに見ると、60代とおぼしき女性達だ。


こんな場面を、過去にも見たことがある。

カフェの一角で、妙齢の女性達が「いかにかまわないか自慢」をしていた。



この現象は、試験の朝の「やってない自慢」に似ている。

学生の頃、試験の朝の教室。

「あー、私なんにも(試験勉強を)やってないー」

「私もー。どうしようー・・・」

コツコツが苦手で、お尻に火がつかないとものごとを始められない私は、

もちろん常に一夜漬け組なので、やってないのは真実なのだが、言葉にする気力もないので黙っている。

昨夜、勉強を始めたものの眠くなり、早朝に起きてやることにして寝て、

起きたら7時だったという愚か者。

こんな状態でも試験を受けに学校に来た自分をほめてあげたいぐらいだ。

最高にユウウツな気分でいるときに、なんにもやってない仲間がいたことに勇気付けられるのだが

それが真っ赤な嘘であることに、あとで気づく。

やってないと言った子も、私もー、と言った子も、かなり良い成績をとっていた。

試験のたびにそういう光景が繰り広げられる。

やってるなら、何故やってないなんていう必要がある。

ばっちりやってる、と言わなくても、黙っていればいいじゃないか。

本当にやってない人に失礼千万だ。

(って、ただ私が勉強すればいいだけなんだが)



そうやって裏切られ続けてきた私は、だからいかにかまってないか、を自慢する人たちに対しても

大変懐疑的になってしまうのだ。

勉強してないのに試験で良い点がとれる、と言われたい気持ちはあまりわからないが、

「なーんにもやってないのに、すっごくお肌がきれい」

と言われたい気持ちは、わからなくもない。

エステに通って、レーザーでシミを焼いて、高い化粧品を使って、

それでその程度?と思われるなら、やっていることは隠したいと思うかも。

なにもしてないわりには、お肌がきれい、という意味であったとしても、ちょっと嬉しいかも。

中には、ほんとうに何もかまっていないのにきれいな人たちもいるだろうけれど、

そういう人たちは案外そのことを、あえて言わないのではないだろうか。

なーんにもかまってない、と声高に言う人は、実は水面下で非常な努力をしているのではないか。

勉強嫌いで怠惰な学生時代を過ごしてきた私にしみついた、うがった見方と知りつつ、

そう思わずにはいられないのである。
















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