太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

2018-10-25 08:22:07 | 日記
子供の頃、私は虫歯がたくさんあった。

乳歯の前歯は、ほとんど虫食い状態だったのではなかったか。

当時の親は、今ほどには子供の歯に神経質ではなかったのかもしれないし、

ただ私の親が多忙にまぎれて放置していただけかもしれない。

歯が生え変わっても、私は常に虫歯とともに生きてきた。

小学校時代の夏休み前の歯科検診は、持久走以上に心ふさぐものだった。

体育館に集まって、ひとりずつ歯科医に検診を受けるのだが、

歯科医が口の中を診ながら

「C1、○○番」

と隣にいる歯科衛生士に告げるのを聞くたび、楽しい夏休みが輝きを失ってゆく。

C1,というのは虫歯の進行状況のことで、数字が増えるたびに重くなる。

昔の歯医者は、簡単な虫歯の治療に滅多に麻酔など使わなかったから、

歯医者 イコール 痛い、のは当たり前。

歯医者はできれば行きたくないのに、歯科検診の『要治療』の紙をもらったら、

夏休み中に治療して、歯医者のサインをもらわねばならない。

正しい歯の磨き方を知ったのは、姉が歯科衛生士になってからだから、

私の普段の磨き方にも、おおいに問題はあったのだ。



そんな私が、初めて歯の手入れを褒められた。

ハワイに来てから、半年に1度、歯のクリーニングを兼ねて検診を受けている。

昨今の歯医者は、痛い治療をする場所ではなくなったので、昔ほど歯医者に行くのは嫌ではないが

できれば行きたくないところであることには変わりなく、日本と違って診療費が非常に高額なため

悪くならないように気をつけるようになった。

夫の父がリタイヤする前に、お金のかかりそうな処置をあらかたやってもらえたのはラッキーだった。



先週、検診に行ったときに、Dr.ユガワは言った。

「歯垢もほとんどないし、すごくよく手入れをしているよね、歯をキレイに保つのは簡単じゃない」

嬉しかったナァ。

10年ほど前から夫の父の勧めで、ソニケアという電動歯ブラシを使うようになった。

夫の父が言うには、これを勧めてから、患者さんたちの歯茎が特段によくなったらしい。

さらに、ここ数年は、デンタルフロスと歯間ブラシを使い、最後にマウスウォッシュですすぐ。

そしてさらに、ここ1年ほどは、歯磨きを歯茎用に換え、それで磨いてから一旦すすぎ、

歯ブラシに何もつけない状態で、歯茎を中心にマッサージする。

大事なのは、デンタルフロスを使うとき、同じ場所を、数回にわたって掃除すること。

特に奥歯は、1度だけフロスを通しただけでは歯間の汚れが取りきれないことがある。

電動歯ブラシは、ワンクールを終えるのにけっこう時間がかかる。

だから、私の歯磨きはたっぷり5分以上かかる。

飽きっぽく、めんどくさがりの私が、こんなことを毎日続けられるのは奇跡に近い。



「だって私、毎日努力してるもん。虫歯になりたくないしね」

褒められて喜んでいた私に、ユガワはちょっと悲しそうな目をして言った。

「残念なお知らせ。なんとかしたい歯があるんだよね」

「あんなに努力しても虫歯になるわけ?」

「うん、まあ、昔に治療した歯だったりすれば、どうしてもねえ」



虫歯があるので予約してきた、と、その夜夫に言うと、

「はやく見つかってよかったじゃん」

「嫌だなあ、治療に行くの」

「なんで嫌なのさ」

「嫌な思い出が多すぎるんだよ」


生まれてこのかた、虫歯になったことがない夫にわかってたまるか。

父親が歯医者だからなのか、そういう体質なのか、

虫歯になったこともないし、こっちじゃ普通の歯の矯正もしたことがない。

歯のクリーニングだってめんどくさがって、もう何年も行ってない。

夜はマウスウォッシュを歯磨きがわりにして、普通の歯ブラシでガーっと磨くだけ、

朝は電動歯ブラシで磨くだけ。

それって不公平じゃなかろうか。











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