日本は広くて狭い話

日本から戻ってきた。４日前に・・・

平常生活に完全に戻るのに、年々時間がかかるようになった気がする。

時差ボケたことがないと思っていたけど、これが時差ボケなのか。



１０月初旬だというのに、ハワイかと思うほど暑かった。

持って行った薄手のウールのセーターでは暑いので、急遽ユニクロで買ったシャツばかり着ていた。

昨年までは父の車を借りることができたのだけれど、今年は父が運転を諦めたので車がない。

その上、予算の都合でバスまでなくなってしまった。

幸い、駅も繁華街も２０分も歩けばいけるので、毎日歩きに歩いた。


ある夜、早めの夕食のあと繁華街に歩いて行った。

暑いので私はタンクトップを着ていたのだが、やけに視線を感じる。

それは繁華街に入って人通りが増えると顕著になって、あきらかに人々が私を見ているのだ。

理由はひとつ。タンクトップを着ているのは私だけ。

みんな、暑いのに１０月初旬らしい服装をしている。

すると、若い女性が通り過ぎざまに


「寒そッ！！」


と聞こえよがしに言った。

ああ、そうなのだ。これが日本なのだった。

ここが東京であればまた違ったかもしれないが、地方都市ではこんなもんだ。

ハワイに来た友人達が、トロピカルなサンドレスを「かわいいけど日本では着られない・・」

と言って買わずに帰る理由がこれだ。

人と違うことを望みながら、人と違うことを許しておかない。

人の目と自分の希望と折り合いがつく場所にいるのが心地いい。

私は日本のすべてが大好きだけれど、ここだけはハワイのほうが好きだ。

裸足で歩こうが、セーターを着ていようが、花満開の帽子をかぶっていようが、

ハワイではそれについて人に構われることはないし、ましてや聞こえよがしに何か言われるなどありえない。

もう○○歳だから。

もう１０月だから。

そういう見えない枠の中で、私もかつては生きていた。

外から改めて日本を見ると、日本人はなんてきっちりしているんだろうと驚く。

街を歩く人たちの服装の、なんとちゃんとしていることか。

人からどう見られるかを気にしているからこそ、であろうか。

ハワイに比べたら日本は考えられないほど広いが、心持ちは多少窮屈。

それも日本の良さだとわかっているけれど。









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日本へ

たった１週間だけれど、明日から日本に行く。

昨年は仕事で行けなかった夫が、今年は一緒だ。

かなり過密なスケジュールになると思われ、毎年恒例で会うはずの人たちの何人かは今年は見送ったぐらい。

ハワイに帰ってきたら、日本の土産話など。




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シナモンか更年期か

ここのところ、すっかり健康オタクの夫が、シナモンティを作った。

何度か記事にしているが、夫はジャンク期とストイック期が交互にやってくる。

つい先日までジャンク期で、お酒もスナックもピザもパスタもがばがば食べていた。

ジーンズはきつくなり、ウェストにたっぷりと肉がつき、それとなく指摘しても

「もう４６だからいいんだもーん」とわけのわからない言い訳をしていたのが、

ある日突然ストイック期に突入し、１ヶ月半であっというまに１４キロ体重を落とした。

いったんストイック期に入ると、修行僧のように厳しい規律で食生活と運動をするのである。

まったくもって、意志が強いんだか弱いんだかわからない。


というわけで、今は健康オタクの夫が作ったシナモンティを寝しなに二人で飲んだ。

数分後、私は体の中から暑くなってきて、首から胸まで汗が噴出してきた。

ベッドに入っても暑くて、アイスノンを冷凍庫から出してきた。

私の数倍暑がりの夫が、「涼しい」と言ってシーツにくるまっているというのに。

確かに気温は涼しい。

それなのになぜ私だけが暑い。


これはもしかして、あの、よく言われる　ホットフラッシュ　ってやつ？

更年期症状が出るのに、年齢に不足はない。

それは認める。

しかし、人々が言うホットフラッシュは経験したことがない。

ホットフラッシュを検索してみると、頭や顔、首や背中まで　滝のような汗が　出るとかいてある。

汗は出るが、滝のようにではない。

シナモンの効果を検索すると、毛細血管が集まっているところが暑くなる、つまり顔だ。

顔が暑いから、これはシナモンの効果じゃなかろうか。


「ねえ、これってホットフラッシュかなあ？」

夫に聞くと

「違う違う、ぜーんぜん違う」

と、眠りたい夫は１番平和におさまることを言う。



これは、シナモンの効果だ。

そういうことにしよう。

同じものを飲んで、まったく夫が平気なのは、夫が男だからだ。

シナモンの効果は、男性より女性のほうが出やすいと書いてあったし。

更年期症状になるのは仕方がないと知りつつ、更年期の文字に敏感になっている。

なんとかこのままなるべく無縁でひっそりと過ごしたいと願うばかりである。










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カヴァ

初めてカヴァを飲んだ。

カヴァは、コショウ科の植物だ。

この木の根を乾燥させて、水に溶いたものを飲む。



カヴァの木

フィジーやサモアで昔からある、嗜好品である。

これは向精神性薬物で、アルコールではないが、飲むと軽い酩酊感があるとされている。

ハワイでは儀式にも使われるし、二日酔いの薬として飲む人もいる。


職場にいる、ハワイアンの人が、このカヴァを作って飲ませてくれた。

ココナツで作ったお椀に、カヴァをすくう。

見た目は、泥水。

舗装されていない道にできた水溜りの色だ。

飲む前に、土に少し撒いて、カヴァをくれた土地のカミサマに感謝をする。

そして一気に飲み干す。

昔、泥遊びの泥団子を作ったときに、泥水がはねて口に入ったときの味。

つまり泥の味なんだけれど、とてもさらっとしていて後味はなにも残らない。

一緒に飲んだ同僚と、顔を見合わせた。

「思ったほど」

「まずくはないね」

「もう１杯ほしいかと言われたら・・」

「そうだね、もういらないけど」

飲んで少しすると、舌の付け根が少ししびれたように感じた。

きっとたくさん飲んだら、ボーっとした感じになるんだろう。

合法的な麻薬に近いのかも。








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