太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

期待しなけりゃどうってことなし

2018-03-20 07:56:52 | 日記
職場にみえた日本から来たお客様のひとりが、レストランを予約したのに、

行ってみたら予約が通っていなかったという話をした。

するとそれを聞いた人たちが口々に、

ホテルの電話が使えなかったとか、地元の人が運営するオプショナルツアーに参加したら

迎えに来る時間に30分も遅れたのに謝らなかったとかいった不満を言い始めた。

そして職場で売っている商品のパッケージの商品名が、一部マーカーで塗りつぶしてあるものを指して

「こんなの、日本じゃ考えられないよね。間違った印刷の袋なんか絶対使わないよ、普通」

と言った。


いちいちもっともなことばかり。

だけど、それは日本という国に住んでいるから、そう思うのであって、

いったん日本の外に出たら、日本の常識は簡単に消えてなくなる。



たとえば。

商品の値段が変わったとか、今日はツアーが休みだとかいった情報を、ミーティングで話したとする。

しかしミーティングに参加しない部署の人には、それは伝わらない。

商品の値段も知らされればいいほうで、あるとき突然変わって、それが知らされないこともある。


たとえば。

扇風機を買った。

風の強さが、L・M・Hと3段階あるのだが、たいていLとMはほぼ同じである。

強風のHだけが、そういわれてみればLやMよりも強いかも、というぐらいで

Lを押しても、Mを押しても同じ風量が出てくる。


たとえば。

しばらく留守にするので郵便物を止めてもらうように依頼するが、

まあ、郵便物は配達されると思っていい。


たとえば。

ハワイで1番大きな銀行で、キャッシュカードを作るとする。

2週間たっても音沙汰がないので問い合わせると、忘れられている。

ようやくできてみれば、引き落とされるように頼んでいないほうの口座から引き落とされるようになっていた。

融資などを扱う窓口で、しっかり詳しく話し合って決めたことなのに。

めんどくさいので、もうそのままにしてある。





情報の伝達が徹底していないのは、単にそこまで気がまわらないだけで、

そのうち全員が知ることになればいいのであり、

扇風機の風量が同じなのは、扇風機というものはそういうものだと思っているから、それでいいのである。

郵便が配達されてしまうのわかっているから、近所の人に頼むことも忘れない。

銀行にいたっては、最初から信用していないのでガッカリ感も、まあそれなり。



ハワイで暮らすようになって、無駄な期待をしなくなった。

電車やバスは時刻どおりにきて当たり前。

郵便物や荷物は時間指定できて当たり前。

なにごとも時間厳守が当たり前。

そんな社会にいたときの心のままでここに住んだら、ストレス満載。

期待しなけりゃどうってことない。

実際、ものすごく大事なことなんて、私が思っているほど多くない。

ハワイ暮らしは私にそんなことを教えてくれるのである。








にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村

日本のおいしいもん

2018-03-16 07:51:01 | 食べ物とか
日本に行く大きな楽しみのひとつは、食べ物だろう。

食べたいもののリストを挙げたら、とてもじゃないが1週間ぽっきりでは食べきれない。

カフェひとつとっても、なんと充実していることか。

ハワイには、スターバックスとロコのチェーンのカフェしかない。

そのどれもが似たりよったりなのに比べ、日本のカフェは店それぞれに特色があって、

何よりコーヒーが安くて美味しい。

実家の近所にある コメダコーヒー の、カツサンドはパリパリサクサク。



イリーコーヒーのコーヒーとティラミス。

昔ながらの喫茶店の、サイフォンで淹れるコーヒーの香り高いこと。

こういうこだわりのものが、ハワイにはない。



さて、居酒屋大好きな夫が、絶対に行きたかった居酒屋に行った。

両親の夕食を早めに用意して出かけた店は、昨年も行った店。



あさりの酒蒸し



揚げだし豆腐



アジの刺身



黒はんぺんのフライ

 注)黒はんぺんは静岡特産の、鰯で作ったはんぺんのこと



鮪のカマの塩焼き



静岡和牛のステーキ

写真はないが、ししゃもと大根サラダ。


どれも完食。



伊勢丹デパートの中にあった、ケーキの店のウィンドウに釘付けになった。




使ってあるイチゴの数!!




ハート型のレモンはどうやって作る??


桜海老のかきあげの、おろし蕎麦。

コンビニの手ごろなサイズのデザートやお菓子。

甘くて濃いイチゴ。

おすし。







どこで何を食べてもうつくしくて美味しい、それが日本。








にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村

ワタシ シンパイ シナイノデ

2018-03-15 07:45:45 | 日記
同僚のデイビスが、私の顔をのぞきこんでいきなり言った。


「ワタシ シンパイ シナイノデ(日本語で)」


訳がわからん。

「W,WHAT?(な、なによ?)」

すると、また同じことを言い、それでも尚わからずにいると首をかしげた。

「おかしいなあ。知らない?」

日本のドラマを放送しているチャンネルで、女医のドラマがあって(もちろん英語の字幕つき)

その中で女医が言う決め台詞なのだという。

日本のドラマは見ない私はさっぱりわからないのだが、彼が言うにはけっこうおもしろいらしい。

心配しない女医とは、ずいぶん前向きでのほほんキャラクターなのだなあと思いつつ、

同僚の話を聞いていたら、なんだか変だ。

女医のキャラと、その決め台詞が微妙にズレる。

同僚に、その台詞を英語で言ってみろと言ったら、案の定それは



「私、失敗しないので」



の間違いであった。

あれこれ心配したがる癖のある私への、これはメッセージだったということにしておく。














にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村

河津桜

2018-03-14 20:14:41 | 日記
父が昨年、車の運転を断念して車を手放したので、今回日本でレンタカーを借りた。

伊豆半島の河津桜が早咲きで、ちょうど桜祭りをやっており、それを両親に見せたかったからだ。

混雑する週末は避けたかったし、天気予報はその日を逃すと雨模様だったので、曇天で寒かったけれど行くことにした。

ハワイから予約した車椅子を2台受け取ってトランクにいれ、

毛布や飲み物やお菓子を買って両親を乗せ、伊豆にむかって出発。

およそ2時間半で河津町に到着。



川の両側に、桜並木が延々と続く。





平日だったからか、人出も思ったほどではなく、車椅子に両親を乗せて遊歩道を歩いた。

両親は長い距離を歩くのは無理があるので車椅子にしたのだけれど、抵抗するかと思いきや、

「楽だ、楽だ」と案外楽しそうに車椅子を楽しんでいた。

食べ物を売る屋台がいくつも出ていて、いちご大福を買ったり、焼き芋を買ったり。

私達も桜を見るのは7年以上ぶりで、桜がもつ、他の花にはない趣をしみじみと味わった。



「私が子供の頃、お父さんは休みになるといろんな所にドライブに連れて行ってくれたよね」

「そうだったなあ。それが楽しみだったからなあ」



父の記憶が曖昧になってしまったら話せなくなることを、車の中でいろいろと話した。

あの頃の父は、当然今の私よりもずっと若くて、溌剌としていた。

ちょっとドライブに行こうかと言って、姉と私を乗せて出かけ、気がついたら琵琶湖だったこともあった。

家族で出かけると、時々寄るレストランがあった。

そこはジャンボエビフライが看板で、私たち子供はエビフライ、母はいつもカニクリームコロッケを頼んだ。

たまに行ったのは経済的な理由だっただろうが、東名高速を降りて、かがり火が焚かれた店の駐車場に車が入ってゆくと

私は嬉しくて胸が躍ったものだ。


ふとルームミラーを見ると、父も母も眠っていた。


父は若い頃からずっと痩身だったが、このごろめっきり痩せて、体重は40キロを切った。

先月から父は週に1回、姉がむりやり押し込む形で隣町のデイケアに行くようになった。

最初は「行ってもヨイヨイの年寄りばかりでつまらない!」と言っていた父が

だんだん素直に行くようになり、お習字を書いたり、車に乗せてもらってどこかに出かけたりしているらしい。

車の運転を諦めたことも、

デイケアに素直に行くようになったことも、

私が用意した車椅子に喜んで乗ることも、

そうなってよかったと思う一方で、そういう父がなんだかとても寂しいと思ってしまう。

父が入院したときに、いかに父が看護士さんたちを困らせる問題患者であるかという話を姉妹に聞いて、

姉妹や病院関係者に申しわけないと思う反面、父はそうでなければ、という勝手な思いがあった。



日本を発つ時、玄関で両親を抱きしめた。

日本人は、とくに両親の世代は抱きしめられることに慣れておらず、体を固くしてしまうのはわかっていたが

そうせずにはいられなかった。


「おとうさん、おかあさん、ありがとう」


そう言っただけで涙が出そうになって困った。

その数日前に父をMRIの検査に連れていったとき、待合の椅子で父が

「おとうさんはもうそんなに生きられないと思う。理由はないけど、そんな気がする」

と言ったことを思い出した。

「そんなこと言って、検査の結果も異常ないし、あと軽く5年は大丈夫なんじゃないのォ」

妹はそう言って笑った。

そうかもしれない。

私にとって、元気な両親という存在は、切れそうで切れない、切れなそうでいていつ切れるかわからない、

もろくて頼りないものなのである。



「そんなすぐには死なないよ」

私の気持ちを察したか、父が言った。

今回の帰省は、父の86歳の誕生日もあって、父だけには黙って帰って驚かせるつもりだった。

それは成功したのだけれど、私たちが帰る数日前、ソファでうたたねしていた父を母が起こしたら、

「今、シロ(私)が帰ってくるのを待っているからもう少しここにいる」

と半分寝ぼけて言ったのだという。

私の帰省を知らないはずが、父の潜在意識では知っていたということなのだろうか。










にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村

地上の天使

2018-03-13 18:47:11 | 日記
日本からハワイに帰ってくるフライトに乗り遅れたというドタバタ(その記事はコチラ)には参ったが、

そんな中で出会った、何人もの地上の天使たちがいる。




・レンタル携帯電話会社JAL ABCの人達


熱海から東京までの急行電車の中で、レンタル携帯電話の返却場所を確認しようとした私は、

その窓口が9時までであることに気づいた。

順調にいっても空港に着くのは9時半だ。

その書類に記載されている電話番号は、郵送で携帯電話を返却する場所の連絡先だけだったので

ダメでもともとで、電車の中からそこに電話をかけてみた。

応対に出た男性は、私の話を聞くと

「それは大変でしたね。窓口の者に連絡して、閉めずに待っているように伝えます。

それから、そこで精算する時間はないでしょうから、あらかじめクレジットカードを登録していただいているので

こちらで精算させていただき、今はただ電話だけを返却してくださればいいようにしておきます」


「ご迷惑おかけします」


「とんでもありません。お客様がフライトに間に合いますよう、それが1番大切ですから」


結局、フライトには間に合わなかったけれど、9時半頃のはずが9時45分になってしまったのに、

窓口はしっかり開いており、「お話は伺ってますよー」とほがらかに受け取ってくれた。



・成田空港のタクシー乗り場のおじさん


さて今夜はどこかに泊まらなければならなくなり、タクシー乗り場に行き、近くのビジネスホテルまで

行ってくれるように頼んだ。

客待ちをしていたごま塩頭のおじさんが、案内窓口でホテルを決めてからでないと、運賃ばかりが

かかってしまうから、そうしたほうがいい、と言った。

それはそうかもしれないが、今からその窓口に行くのかと思うと気持ちが萎えた。

既に10時になっていた。

「その窓口、あいているんでしょうね?」

そう聞いた私の顔が、そうとうに疲れていたのだろうか。ごま塩おじさんは、もう一人の運転手と

どのホテルが近くてきれいで安いかを相談したあと、自分の携帯電話でそのホテルに電話をしてくれた。

「モシモシ、今夜二人だけど部屋あいてるー?あ、そう、じゃ今代わるから」

私はそこでおじさんの携帯電話で部屋を予約した。

「寒いでねー。気をつけてねー、1番前にとまっているタクシーで行ってねー」

二人の運転手さんは、笑顔で手を振った。




・東横イン ホテルのフロント係の河合さん


予約したのは東横イン。

ビジネスホテルとは思えないほどきれいで大きかった。

翌日はフライトまで丸1日時間があるので、どこか行く場所はないかフロントで聞いてみた。

河合さんという若い男性が、隣のホテルから出ているサークルバスの時刻表や(都合がいい時間帯をハイライトで塗ってくれた)

いくつか提案をしてくれた。

部屋に入り、そのまま眠ってしまいたいところだったが、夫の両親にフライトに乗り遅れた旨を伝えないと

日曜日の朝に空港に迎えに来てしまう。

日本の夜の10時半は、ハワイの夜中の3時半。

せめてハワイの朝の8時半ごろに電話したいとなると、日本の夜中の3時半。

そこで目覚ましを3時半にセットして、寝ようとしたとき、ふと、部屋の電話からハワイにちゃんとかかるかどうか

不安になり、部屋の電話の案内どおりにハワイにかけてみることにした。

1度だけ鳴らせば、安眠妨害にならないだろう。

ところが、説明どおりにかけているのに通じない。何度やっても通じない。

試しに、私が普段使っているKDDIの国際電話番号でかけてみたが、同じだ。

フロントに電話すると、河合さんが出た。

フロントの電話ならかかると思うというので、フロントに下りていった。

しかし、フロントの電話でもかからない。

何度もやって、結局、KDDIでかけてみたら、ようやく通じた。

KDDIだと電話料が高いのだそうだ。

そして3時半に起きて、河合さんがフロントの電話でシュートメの携帯電話にかけたら留守電で、メッセージを残した。

それでも不安だったので、義父の電話、家の固定電話にもメッセージを残した。

部屋に戻り、やっと眠れると思ってまどろんだ頃、河合さんから部屋に内線が入った。



「お休みのところ申しわけありません。先ほど、本館の方に女性の声で電話がかかってきたというのですが

もしかしたら、さっきメッセージを残した方ではないかと思いまして」



再びフロントに行き、シュートメに電話をすると、果たしてそうであった。

メッセージの内容はわかったが、直接話をしたくて折り返しに電話をしたようだ。

到着が月曜の朝になること、夫の職場に連絡を入れてもらうことを頼んで電話を切った。


「これで安心ですね。長い1日だったでしょう、お疲れ様でした」


河合さんの笑顔の、美しいことといったらなかった。

天使だ、これは天使に違いない。

さらには、翌朝精算時に、国際電話代をいっさい請求されなかった。

朝まで起きている夜勤の仕事は心身ともにつらいだろうに、こんなに人に優しくできるのだ。

仕事のしかたは人様々で、私自身も最近、そのことで落ち込んだことがある。

けれど、この日出会った地上の天使たちに背筋が伸びる思いがした。

仕事という括りを超えた、人としての思いやりをもらった私は、

同じものを今度は他の誰かに返していこう、返さなくてはならないと思っている。











にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村