自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

森繁久彌さんの震災詩

2010-02-08 | 展覧会

昨日の記事にも登場した「徹子の部屋」は今年35年目に入って、先日「祝35年目へ森繁久彌さんお宝名言集」という特別番組が組まれていました。

森繁さんは「徹子の部屋」の第1回のゲストで、以後通算13回出演しているそうです。
昨年11月96歳で亡くなられ、もうあの博識な森繁さんの言葉と、2人のよどみない会話が新たに増えることはなくなりました。

その森繁さんは少年時代を兵庫県西宮市で過ごしました。
それもあって、阪神・淡路大震災のあと被災者を励まそうと、自作の詩を神戸新聞に寄稿したのです。

その詩を神戸の書家、小阪美鈴さんが震災後15年の今年、書の作品として仕上げました。小阪さんは例年この時期、震災関連の作品を発表してきたのですが、森繁さんの訃報に接して、今年はこの詩を取り上げようと決意されたのだそうです。

作品は神戸大丸南側の三菱UFJ信託銀行のショーウインドー「菱の実ギャラリー」に今日8日まで展示されていました。



全文は以下のとおりです。

我を育てし 兵庫の里よ、 友よ

怨憎会苦(おんぞうえく)といゝます。修羅の巷と化した被災地には、 言葉もつまります。
天災とは全く無残なものですね。
はたして対岸の火事でしょうか。 遠くに居る無私の老人は迷います。そして心を奈落の底にいためます。
やがて 加えて昨日、今日の青空は、生きものへの嘲笑(あざわら)いでしょうか。

紅梅のこの赤の そら怖ろしげな
腕さすり 頬つねる 昨日今日
兄等(けいら)の無事を どう祈るや その術もなき
雲流る 六甲よ

    七年一月二十六日  森繁 久彌
 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする