80代半ばの曽野綾子さんが2017年2月3日に91歳で亡くなった夫、三浦朱門さんの在宅介護に当たった日々を書き残したものです。
初出は「週刊現代」2016年9月24・10月1日号~2017年7月1日号での連載。
項目分けも長さもスッキリ読みやすいのは週刊誌の連載だったこともあるのでしょう。
すいすい読みやすかった分、介護はさほどキツくなかったように、感じてしまいますが、曽野さんご自身も持病を抱え、90歳を超えた三浦さんも、全身に歳相応の衰弱が現れてきていました。
お二人とも自宅で仕事をすることが多く、日頃からよく話し合う生活でした。
宗教的な支えもあるし、介護される三浦さんは優等生だったように見えます。
曽野さんは中年のころ尊敬する老医師から人間の最期に次の3つのことはやってはいけないと教えられたそうです。
●点滴ないしは胃瘻によって延命すること。
●気管切開
●酸素吸入
若い人の延命治療はあらゆる手段をとっても、するべきだが、寿命としてゆるやかに死に到るときに、最後の一言も交わせなくなるのはよくないと。
お二人は老後は、一切生き延びるための積極的健康診断も、手術などの治療も、点滴などの延命のための処置も受けないと決めていたそうです。
もちろん、死に方に一つの正解などありませんから、こうしなければいけないということとは違います。
参考の一つとして心にとどめました。
曽野さんの考え方には「うん、そうそう」とうなずけるものもあれば、「それは違うでしょう」と反論したくなるものも多い私です。
でもこの本、こんな介護のし方、され方いいなーと、しみじみ思えるのです。
多分、まずできない我が家ですけどね。