作者のチョ・ナムジュさんは1978年生まれ、梨花女子大の社会学科を卒業して、2011年に作家デビューしています。
この小説は心を病んだ1人の患者のカルテという形で展開されています。
だから、キム・ジョンは一人称ではなく、キム・ジョン氏として登場してきます。
韓国の小説を読んだのは多分初めて。
というか、翻訳小説は滅多に読まない私です。
ああ遠い昔、ハーレクインロマンスは何十冊も読みましたっけ。
ハーレクインのストーリーは、すれ違いはあっても、ほとんどがハッピーエンドの恋愛物でした。
キム・ジョンは1982年生まれの韓国女性で最も多い名前だそうです。
そう、すぐ隣りにいる人。
表紙に顔がないのは誰にでも当てはまるからでしょう。
韓国では2015年に刊行され、107万部を突破した話題作。日本でも昨年12月の発売以来4ヶ月で13万部を突破、異例のヒットを続けているそうです。
進学や就職、昇進での性差別、子どもを持って働く女性の居場所のなさ、日本と韓国は驚くほど環境が似ています。ただ、韓国では男性にだけ課された2年近い兵役が若者を取り巻く環境を複雑にしています。
先日、韓国の旅行者が途絶えた対馬の映像が流れました。とても美しい場所なのに寒々とした景色でした。
徴用工賠償裁判や慰安婦像設置以外に、抗議の仕方があるだろうにと憤慨しつつ、隣国どおしが仲違いしたままではいいとも思えないのです。
両国に優れた外交力を持った人材が現れてほしいです。
他力本願過ぎるかしら?