今使っているコスモズファクトリー製エッチング組み立てチェーンを初めて作ったのは10年前の2004年の暮れ頃でした。
プロターのRC166のために初めて挑戦してからもう10年、このチェーンを使って完成させたモデルは7台になりました。
今回8台目になる訳ですが、初体験から学んだノウハウも回数を重ねていくうちにかなり進化してきました。
初めて作った時は何も分からなかったため、コスモズファクトリーのホームページの説明通りエッチング部品の丸い部品(2枚重ねでローラーに使う)も使って組み立てていました。
コマとローラーに開いている穴は0.5mmのピアノ線では緩く、0.6mmではきついのでドリルを使って全ての穴に0.6mmで開け直してピアノ線を通していますが、穴の開け方にもノウハウが有って、ただ開ければ良いと言う物ではなかったのでした。
2台目の製作からはローラー部品はアルミパイプを使うことにして、2枚重ねの変なローラーを作らない様になりました。
チェーンを組む場合は付随して前後のスプロケットを作らなければならず、スプロケットの板厚を何mmに設定するかでチェーンのローラーの幅も設定する必要が有ります。
その辺の微妙なチョイスは回数を重ねて製作しなければ理解出来ませんでした。
スプロケットの板厚が厚くなるほど工作するには労力が加算されて行くので、出来れば薄い方が楽なのですが、縮尺から考えるとあまり薄いと逆に違和感が生じてしまいます。
まあ今だからこそ言える事なのですが、スプロケット作りは一発で仕上げる事が出来なかったから、楽な方へ流れたと言った方が正直なところです。
エッチングチェーンを作る上で最終的な目的は、実車同様にチェーンとホイールが一体となってどこまでもスムースに回転出来る事で、それが出来て初めて意味が有り、作る喜びが味わえる瞬間を迎えられます。
TY125 のチェーン作りで、10年目にしてやっと其の瞬間を迎える事が出来ました。
絶対に忘れてはいけない技術を確たる物にするために継続して作る様にしないと、まぐれ当たりと馬鹿にされてしまいます。
一本のピアノ線を使って、切っては繋ぎ切っては繋ぐ作り方は一個のコマを繋ぐ為に4~5分掛かり、工程は一個繋ぐ為に12の工程を経て終わります。
この工程を1サイクルとして200近く繋げて行くのには相当な忍耐が必要になりますが、今では慣れて来たのと適度な緊張感の中での作業で、逆に楽しい時間を過ごすと言った方が当たっているかも知れません。
こんな作り方をするのはおそらく私だけかも知れませんが、精度を上げるための唯一の方法と考えての事なのです。
可動出来るチェーンにとって必要な条件は実物と同じで、ネジレや歪み、ガタや振れが許容範囲以上に無い事です。
工作機械でミクロ単位の作業が出来るならば可能でしょうが、手内職の様な現場では所詮無理な話・・・だけど作り様によってはいくらでも近づく事は可能な筈です。
6cm程までに繋いだチェーンの端をピンセットで摘み、もう一方の端を浮かせていますが横方向の振れが無いためほぼ一直線で持ち上げられますが、これは何を物語っているかお分り頂けるでしょうか。
メールでノウハウを教えてと言って来られる方が何人かいらっしゃいますが、こればかりは口頭や文章、写真などで伝わるとは思っていないので、先ず一度経験して下さいと申し上げて返信させて頂いてます。
チェーンに関してのノウハウも山の様に有りながら、スプロケット作りにもまた同じ様にノウハウが沢山有ります。
しかし作った事の無い方にいくら語っても理解出来ない話は、ココでは控える事にしましょう。
来年早々にはチェーンセットをもう1セット作る約束が有ります。
そのためにも今回の工作は頑張らなければなりません。