高野公彦選
個人店また減りまた減りまた減りて離れ小島のようなわが店 さいたま市 田中富子
「とりあえずビール」の居酒屋ご無沙汰し家で毎日ごちゃまぜ飲みす 伊予市 福井恒博
柚子坊の名があるんだね植えたてのレモンの苗木丸坊主にして 横浜市 岡田紀子
一首目、個人商店の受難の時代は、相当前から始まっていますが、それでもがんばっている「わが店」は、どんなお店でしょうか。仲間が減っていくというのは、本当に心細いと思います。みんながスーパーで買い物するようになってしまった社会が、本当によかったのか、考え直す時がきているのかもしれませんね。二首目、まだまだ不安ですよね、コロナ禍。それでも、やはり外で飲みたいなあ。最近は経済事情でその回数を減らしています。家で飲んだ方が、安い?!私もごちゃまぜ飲み、やりますよ。ワイン飲んで、ちょっと飲み足りないと、今度は焼酎かウイスキーを割って飲み、そのうち、リモンチェッロかフランジェリコか、もういい加減にしろって、残った理性が私に警鐘を鳴らしています。三首目、知りませんでした、「柚子坊」と呼ばれるイモムシがいるのを。それでも、これを詠んだ岡田さんは、優しい目で見ていますよね。私も八王子の戸建てに住んでいたころ、山椒の葉にイモムシがついてしまって、困り果てましたが、まあしょうがないかと思ったものです。
永田和宏選
いつの日かゼレンスキー氏の背広着る日がくることを祈り待っている 町田市 古賀公子
この歌は馬場あき子氏も選んでいます。ウクライナの大統領が、戦争が終わればきちんと背広姿でテレビに登場するはずです。早くロシアが負けて、停戦になってほしいです!
佐佐木幸綱選
焼けてます看板の前通り過ぎおいかけてくるお芋の香り 今治市 気田由紀子
看板だけだと、一体なんだかわかりませんよね。後からおいしいお芋の香り、それだけで幸せいっぱいになります。私もたまにヨーカドーの焼き芋を買って帰るのですが、あれはその日が賞味期限なんですね。それでも、半分残して冷蔵庫に入れちゃっています。焼き芋のそれだけで和菓子のように感じます。お抹茶に焼き芋、合うと思いますね。お腹すいてきちゃいました!