ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇11月13日

2022年11月13日 15時35分00秒 | 短歌

永田和宏選

「困ったらいつでも言って」のいつでもが分かっていたら困らないのに 吹田市 赤松みなみ

 そう言ってくれるのはありがたいけれど、いつがいいのか、わからない、その通りです。でも、そういってくれる人がいるだけでも、うれしいことです。一度、思い切って「困っている」と言ってみましょう。

佐佐木幸綱選

あごひげを伸ばしてみたら真っ白で浦島太郎と孫が喜ぶ        宮崎市 太田博之

猪が歩道を走り熊親子コンビニのぞく早朝の街            新発田市 北條祐史

 一首目、彼はおいくつなのでしょうか。真っ白い髭とは貫禄がありますね。お孫さんも大喜び。年齢がそれほどでもないのに、老人風の人ってけっこういます。もう30年も前から夫が注目していた古楽奏者で指揮者の鈴木雅明と同じく古楽奏者でやはり指揮者もしている鈴木秀美の兄弟、昔から二人とも老人風でしたね。今は雅明氏の息子、優人氏もとても活躍しています。さっき、エリザベス女王杯があって、私が注目していたジェラルディーノが優勝しましたが、ものすごく血統がいいのです。優人氏も血統がいいんですね。二首目、最近は街中でイノシシが走り回っているというニュースが多くなりました。熊の親子はきっと、ツキノワグマなのでしょう(私が大好きな熊)。人なれしてしまっているのが問題なのですが、何より、彼らの住処を人間が奪ってしまった結果なのかもしれません。鎮守の森があちこちにあって、自然が確保されていれば、そんなことは起きないのではないでしょうか。今さら言ってももう遅いけれど・・。

高野公彦選

この指に止まらなかった赤蜻蛉わたしは次の季節へ行くね       吹田市 赤松みなみ

隣人が良寛さんやイエスなら「鍵」もいらない「銃」もいらない    京都市 前川宙輝

 まあ、赤松さんの歌を二つも選んじゃいました。この感じ、私のお気に入りかもです。蝉は成虫になってから7日間の命だと言われていますが、実は10日以上、1か月くらい生きていることもあるそうです。トンボは、2、3ヶ月、そう季節が変わるまでは生きられないかもです。昆虫の命は、繁殖を終えれば死ぬ運命とプログラムされているそうな。人間とは大違いです。そうはいっても、人間も高齢者になると、あと何回、春や秋を楽しめるのだろうかなんて考えるものです。ずっと昔ですが、私は昆虫に生まれて来ればいいと思った時期がありました。それは、昆虫は一生懸命生きているからです。でも、そもそもそういうことを考えるのも、ヘンですよね。生きていられるだけ、生きていけばいいのです。せめて、殺されて死ぬようなことがないように、祈ります。二首目、人間がみんないい人だったらいいのに。だまされることもなく、だますこともなく。抑止力という考えは、結局、きりがないことだから、だれもが銃を持たなくなれば平和になるのにね。

コメント (2)
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