無職ですから、カルトナージュしながら気ままにテレビを見ています。夕食は遅めで、赤ワインを飲みながら。でも、見たいテレビがあるときは、あまり飲みすぎないよう、セーブしていますが、だめかなー。
昨夜、いつもは夜10時から、カズオ・イシグロ原作の「私をはなさないで」を見るのですが、ちょうど見たい映画と重なったので、ドラマは録画して、映画を見ました。つらい映画でしたが、もう涙ボロボロ。親子のきずなをテーマにした「そして父になる」とは違うアプローチで、母と子の関係を見事にとらえたすぐれた作品でした。
そのあとは、Eテレで11時からの「音楽白熱教室」を見ました。大好きなバッハがテーマだったからです。見て、よかったです。レクチャーコンサートのようなもので、演奏はヴァイオリンが富井ちえりさんという若手演奏家、素晴らしい演奏でした。それと、バッハのカンタータも声楽とオーボエで、よかったです。このシリーズ、最後まで見てみようかしら。でも、ショパンは私、あまり好きじゃないのです。リストの方が、よっぽど好きです。とはいえ、この私の思い込みを打ち砕いてくれるかもしれませんね、この先生は。
子供の頃に、親に押し付けられたヴァイオリンを3年間でやめ、社会人になってから再び始めたヴァイオリンで、バッハがとても好きになりました。プロになる才能も全くないし、バッハの無伴奏のほとんどはうまく弾けませんが、それでも、大好きです。おばあちゃんになっても、ずっと演奏していたい無伴奏、と思っていましたが、50代後半、もう昔話のおばあちゃんの年齢、超えちゃっていますね。変人の夫と結婚して子供は産まずに、二人で好き勝手して音楽三昧(聴く方)して、老後もそのまま楽しく、といくはずが、夫ががんで病死。でも、生まれてきて、バッハの音楽を知ったから、生きていてよかったと思います。
夫はもともと、淡野弓子さんのシュッツ合唱団やリヒターのバッハを聴きながら思春期を過ごし、古楽が大好きだったので、私も影響を受けました。NHKFMの「古楽の楽しみ」でしたっけ、長寿番組が相当彼に影響したと思います。ブリュッヘンが18世紀オーケストラを指揮していたころ、カザルスホールがレオンハルトはじめ古楽の巨匠の演奏会頻繁にやっていたころ、そしてBCJの定期会員になってバッハのカンタータを聴いていたころ、私たちは元気でした。
一人になって、もうそんな元気がありません。
おととい、10年近く所属していた麻生弦楽合奏団のおさらい会を聴きに行きました。私はそこでヴィオラを弾いていたものでした。左肩の骨折以来、もうヴィオラは弾けません。元気でアマチュア活動を続けることは、けっこう大変なことです。本人の「元気」と家族の「理解」、経済的な余裕。
人間には春夏秋冬があるのですから、しかたのないことです。私は夫が亡くなってから、すでに冬に入ってしまったんだと思います。せっかくとっておいたクラシックのCD、じっくり聴くのも、いい時間の使い方ですね。それにしても、「あのころはよかった」なんて思うのは、もうその時点で、老後ってことです。せめて、古文書の勉強で、脳を活性化しないと!まだ知らない世界がある、それを見たい、知りたいとおもうこと、それが「元気」につながるのかもです。
青春は、20代までですよ。まさに、青臭い記憶です。
苦い思い出もたくさんありましたが、若さはエネルギーです。
夏は何かと思ったら、朱夏で、あか。秋は、北原白秋の
白、で、冬がなんと、「玄冬」といって、黒なんですって。
何か、不思議です。卓越した境地の黒、には程遠いです。
冬の時代に入ったばかりで、まあ、玄人になれるくらい
道を究めたいと思います。
やっぱり、見ていたんですね、あの番組。私はテレビ欄で
当日知り、見たんです。面白かったです。
五線譜は世界共通語です。国を超えて、皆が同じ音楽を
演奏できる。壁を超えることができます。
バッハは晩年、時代遅れと見向きもされなかったけれど、
今はクラシックの大御所ですものね。自分の信念を貫く、
すごいことです。だから残ったんだなー・・・。
私も、アジアの片隅でバッハを楽しんでいます。