『希望と期待より、既にそこにある問題・課題群 (土地のこと)』
―「所有者不明土地(宅地と山林)問題」に見る土地制度の課題―
―「ああ、こういう問題もあったのかというふうに感じているだけ』ではだめ―
表題については、悲観的に思い込まず、常々、人々の叡智で解決できると信じています。 最近は、老若男女を問わず、特に広義(物心両面か、精神面だけの場合も)の『弱者』には現状の閉塞感と将来への不安感があります。 問題・課題群を、識っている場合と、感じている場合がありそうですが、どちらも『我がこと、とはせず、無関心でいる常態が』最も心配な点です。
最近読んだ本に、『土地はだれのものか』研究会著の『土地はだれのものか-人口減少時代に問う』ありました。 ここでも問題・課題群がありますが、何故、手が打てないのか、考えてしまいます。
この本の目次だけでも、問題・課題群の深刻さが解ります。
第1章 世界最速で深刻化する日本のマンション老朽化問題
644万戸のストックの行方
最大の背景は、戦後の大都市の人口激増と、その受け皿がマンション
今後は大都市で高齢化が本格化する
現代は江戸時代の『五人組』などの制度もなく『コミュニティー』造りも、維持も下手
老朽化マンションの大修復も建て替えも大変
第2章 土地が見捨てられる?
『所有者不明土地問題』に見る土地制度の課題
相続後の不動産登記は『義務』でなく『任意』
『負の資産』を費用と時間をかけて登記するか
『なんでも先送り』で、将来、手間・暇という多額の税金が必要、対策を決める人の都合で『任意』
でほっておかれる現実、このような事態は世界のどこにあるか、『所有者不明土地問題』はさらに、
拡大し続けているし、これが山林も同様で、水源にまでおよぶ、亡国の買い占めに戦々恐々
第3章 狭隘道路や私道紛争が無くならないわけ
元凶の『土地所有権』のメスを
4m道路規制が遅れたために、4m未満の道路が沢山残り、狭隘道路問題が拡大している、ごく最近も
ニュースに
第4章 今日的課題の底流(1)
人口動態&都市の構造変化が問題を加速させる
これはインドネシアのジャカルタでも同様ですが、高齢化問題は、日本に比べ、まだ先
第5章 今日的課題の底流(2)
法曹界内部から見た、日本の法制度の歪みと限界
マンションの建て替えについての法整備の遅れ、万事が万事先送り
第6章 縮減時代の土地所有と都市計画はどうあるべきか
都市計画の歴史から紐解く
都市計画は、中国をまねた古代、城を中心の区割り・街づくりの中世、以前の日本列島改造論は幹線だけ、
で街の道路までは及ばず、為政者には、常に全国を俯瞰して欲しい
第7章 近代的土地所有権をつくり上げた明治時代
その功績と実態
江戸時代の領主の小作農から、百姓の持地にした大改革は見事、ヨーロッパで、武力や、国家の買い上げ、
支給等で実現
第8章 異次元社会・江戸時代に見るユニークな土地所有
持ち主は多元、持ち方は重層
土地も百姓も、領主のものであった時代は、今よりも確実に保護
第9章 ドイツはどうやって秩序ある都市をつくったのか
その都市計画と建築・開発秩序
ドイツは何度か行ったことがあるが、建物の高さや壁、屋根の色彩、形状等が統一され、市街地と
非市街地・田園景観がはっきりと
第10章 アメリカの縮減3都市の苦悩と戦略
デトロイト、ヤングスタウン、フリントの取り組み
デトロイトの発展とその後の経緯が、これからの日本の都市で
対談≫農地再考 農地の所有権問題は、『集落』の存在抜きには語れない
この本のあとがきに言っています。
『ちょうど近眼の人間がメガネを外していたらぼんやりしか見えなかった世界が、メガネをかけると隅々までクリアに見えるのと同様に、この本を読まれて、ああ、こういう問題もあったのかというふうに感じていただければ、この本の作成に携わった者としては、うれしく思う。』とありました。
横浜市鶴見区住んでいますが、一部の地域には、救急車も消防車も通れないようなで狭隘道路で、一方通行が多く、引っ越してきた当時は、車の運転で、迷い込むと大変な事態になりました。 自分の遅れの心配ではなく他人様に大変なご迷惑をかけてしまいました。 表題のこと、『希望と期待より、既にそこにある問題・課題群』をさらに調べてみたいと思っています。
(20191109 纏め、20210130追補、#132)